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2019/03/25~2019/09/25のつぶやき

2019/09/26

 

朝は保護者の声ですっきり

 

京都新聞に載っていた話です。小学生5~6年に対して、電子アラームと名前を呼ぶ声で、それぞれ目覚めるまでの時間を計ったところ、電子アラームが平均310秒、人の声が平均39秒でした。また、人の声で起きた場合は、電子アラームと比べて直後のテストで間違いが半減しました。受験生の朝は、保護者の声で起こしてあげるといいですね。その後に計算テストなどをするのもいいかもしれません。

 

 

京都新聞2019/09/23,24面 滋賀大チームの研究。

 

2019/09/23

 

一斉授業の塾か個別指導の塾か その15

 

「問題でやる気を出させるなら、個別」

 

Atkinson & Litwin(1960)の実験。大学生に輪投げをさせます。距離は30センチから、30センチ刻みで、約5メートルまで選べますが、どの距離を選んだ実験参加者が多かったか? きわめて多かったのが2メートル70センチから3メートル30センチまでの間でした。

 

このことは、我々が、いともたやすくできることや、逆に、むずかしすぎてできないことには、やる気を出さないことを示しています。

 

 

勉強にもあてはまると考えられるので、やる気を出すためには、「少しがんばれば、できそう」と感じられる問題を出すのがいいと言えます。

 

この点からは、その子にあった課題を出しやすい個別授業の塾の方がいいと言えるでしょう。ただし、教材をこなすだけの場合もあるので内容の確認が必要です。 

2019/09/21

 

要約

 

「まとめるのでなく、いらないところをとりのぞく」

 

要約については以前簡単に述べました(※2)。この中で、1と2が、子どもにとってやりやすい方法です。「どこが大切?」よりも「どこがいらない」の方がとっつきやすいからです。

 

まず1番の「些細な部分を取り除く」ですが、

具体的に基準を挙げると、

 a 数字を使った部分

 b 修飾語

 c  比ゆ

 d 対立する片方(※2)

この4つを取り除くようにすればいいでしょう。

 

2の、「同じようなことを述べている部分を取り除く」では、同じようなことが複数出てきたら、  

「具体的な方を取り除く」ようにします。

 

苦手な人は「とりのぞく」ことからはじめましょう。

 

※1

1 些細なことを述べている部分を取り除く。

 

2 繰り返しや同じようなことを述べている部分を取り除く。

 

3 複数の具体例を上位概念に置き換える。

 

4 主張が書かれている文を発見する。

 

4 主張が明示されていない場合、自分で主張文を考える。

 (以上は、勉強法-今日のつぶやき-back number2 の2018/10/20参照)

 

※2 「風呂敷が便利で、鞄は不便」という文章なら、「鞄」以下が取り除ける。 

 

2019/09/18

 

LBT 

 

「教えることによって学ぶ」

 

2019/09/18 LBT 「教えることによって学ぶ」

 

保護者を含め教育者のほとんどは「子どもにどうやって教えるか」にとらわれすぎです。その結果、学力の伸びと子どもの成長を阻んでいることが多いようです。

 

コンピューター画面上の女の子に、小学生が教えるという形をとると、その小学生は、「単に教えられた」小学生よりも学力が伸びます(※1)。

 

教える小学生に対して、コンピュータ上の女の子がリアクション(うなずいたり、わからないという顔をしたりすること)をすることが大切で、単にビデオ上の画面(相手が反応しない)に教えるだけでは効果がないこともわかっています(※2)。

 

私も経験があることで、添削やFAXよりも電話、電話よりもスカイプの方が効果があると知り、対面の他にスカイプでも授業を行っています。

 

相手のリアクションが大切な理由としては、教えることの責任感があります。相手がわからないという反応をしたら、今度は説明の仕方を変えなければなりません。そのためには、教える小学生自身が、内容を理解し、わかりやすい例を考えたり、説明の順番を変えたりする必要があります。そうすることが、小学生自身の理解を深め、内容が自然と頭に刻み込まれるのです。

 

このような教え方は、今の教育の現場よりむしろ家庭でこそできること(対面して教えさせる)でもあります。工夫してみる価値はありそうです。

 

※1 LBT(Learning By Teaching);Tan, Biswas & Schwartz,2006

※2 伊藤、垣花;2009

2019/09/17

 

IPEメソッド

 

「まずできる限り考える」

 

Sannomiya & Yamaguchi,2016は、「IPEメソッド」というトレーニング法を紹介して、自分でいろいろと考えたあとに他人の解答を見ることは、その後の別の問題においても考えをめぐらすのに役立つ、としています(※1)。 

 

これを受験勉強にあてはめると、「まず自分で工夫して考えた答えを出してから、解答を見ると、その後の別の問題を考えるときにも役立つ」いうことになります。 

 

わからなかったら答えを見て覚えたり、わからないところをろくに考えずに質問するのはよくないということです(※2)。 

 

ただし、子どもに「自分で工夫して考え」なさいと言うだけでは、結局は「あまり考えずにとりあえず答えを出してから、解答を見る」ことになりがちです。子どもにとって、宿題は早く終わらせたいものだからです。 

 

したがって、まずは「自分で工夫して考え」る練習をすることが前提条件となるでしょう。国語で言えば、2019/08/06のつぶやきで述べた方法などを利用してみてください。 

 

※1 IPE(idea post-exposure)「考えた後に他者のアイデアに触れる」こと。「考えている最中に他者の考えに触れる」IE(idea exposure)と比較するために作られた造語。

※2 これは、※1のIEに当たります。 

2019/09/15

 

常に接する

 

国語がきらい、あるいは苦手な子どもにたいしては、本人にとってやさしめの本を読んだり(または保護者が読んであげたり)、小さくて軽い本(※1)を持ち歩いて時々ながめたり、国語が得意な友達にやり方について聞いた見たりすることで、少しずつ苦手意識がうすくなっていく効果が期待できます。

 

注意点としては、ものすごく嫌いという場合は避けた方がいいです。興味が無い、あまり好きでない場合がいいですね。

 

テレビや新聞・雑誌のコマーシャルや広告の中で、よく見るものに何となく親しみを感じるのと同じで、単純接触効果と呼ばれます。

何度も繰り返し接触することによって、印象がよくなることです(※2)。

 

教室ではなかなかできす、家庭でこそできる動機付けです。

 

※1 辞書であれば写真の『小学漢字1006字の正しい書き方』(旺文社)などは、いいかもしれません。

 

※2 新しいできごとには警戒するけれど何度も接していることには安心するからだといわれています(Zajonc,1968)。

2019/09/13

 

親が決めない。

 

「『自分』で自分にほうびをあげる」

 

「10問解いたら、おやつにしてよい」「かえってすぐに勉強にとりかからなかったら、その日はパソコンにさわってはいけない」などと、賞罰を自分で決めるとやる気がでます(※1)。

 

 

注意するところは、「親が決めない」こと。親が決めると弊害があります。元々やる気がある子にほうびを与えると、やろうとしなくなったり(※2)、勉強の工夫をしない「報酬志向」の子どもになりやすくなったり(※3)します。

 

また、あまり厳しい基準は挫折を生みかえってやる気をなくすこともあるので、まあまあがんばれば達成できる程度にするのがいいですね。

 

※1「道具的条件付け(instrumental conditioning,Skinner,1938)」 

※2「アンダーマイニング効果(undermining effect,(Deci,1971)」。「勉強法—きょうのつぶやき— back number3 の2019/02/19」参照

 

※3 「報酬志向(市川,1998)」。「勉強法—きょうのつぶやき 2019/06/19」参照。

2019/09/12

 

好感情

 

好きなデザインの鉛筆やノートを買う。机や勉強部屋を自分好みに片付けたり飾ったりする。勉強好きな友達を持つ。等々。古典的条件付け(Pavlov,1927)と名付けられるぐらい昔からある手法ですが、好感情(たとえば好きなデザインのノート)と勉強を結びつけることによって、勉強そのものに好感情を持つことが期待できます。。

 

 

大人も、好きなタレントが宣伝する商品をつい買ったり、その人が選挙に出たら一票を入れたりすることがありますね。

2019/09/11

 

観察学習

 

図書館や自習室に行くと勉強がはかどると聞きます。他の人がやっているので自分もつい勉強するのですね。

 

他者の行動を観察すると自然とその行動を取るようになる「観察学習modeling」の一例でしょう(Bandula,Ross & Ross;1963)。

 

 

観察学習は、画像で見るだけでも成立するので、図書館などが近くにないときは、雑誌やネットの映像などで子どもたちが勉強している様子を見ることでも効果が期待できます。

 

2019/09/10

 

慣性の法則 「とにかく始めてみる」

 
本の整理をしている途中で手に取った本をついつい読みふけってしまう。何気なく開いたネットを次々サーフィンしているうちにずいぶん時間がたってしまっている…。
行動にも「慣性の法則(behavioral inertia)」があるのです(Liu & Riyanto,2017)。
これを知っていれば、たとえ気が進まなくてもとにかく勉強を始めると、案外続くという効果が期待できます。

2019/09/05

 

机の上はかたづける

 

「砂糖とクリームの入ったコーヒー」と「クリームだけを入れたコーヒー」を一杯ずつ作ります。上図のような二つの条件のもとでは、散らかったテーブルだと効率が落ちました(鈴木、三嶋、佐々木;1997)。

 

 

以前、「机の上に何も置かない」とつぶやきました(※)。文脈依存効果の観点からつぶやいたものですが、雑多な机は、やはり作業効率も落ちるようです。

 

※ 勉強法—今日のつぶやき—back number 1 2018/07/03参照

2019/09/04

 

ノートの取り方 その2

 

「離し、囲む」

 

こどものノートを見てみましょう。ばらばらに書いてあったり、端から端まで詰めてあったりしませんか?

ばらばらも、すべて詰めるのもよくありません。

 

一つ一つの知識をばらばらに覚えるだけでは、知識どうしの関連を問われたときに答えられません。知識を関連づけることが大切です。

 

人間は情報を固まりとしてみます。このことを利用して、ある程度関連した知識は一つの「固まり」にしてしまうといいですね。そうすると「固まり」の中にある知識が関連していることが自然にわかります。

 

具体的には、ある程度まとまった内容を写したり書いたりしたら、スペースを空けるといいでしょう(※1)。また、時にはまとまった内容を四角や[ ]で囲むのもいいです(※2)。ノートの見開きが四つぐらいのかたまりになっていると、後で読むとき、習ったことがわかりやすくなります。

 

※1 「近接の要因」(近くにある情報はまとまりやすい) Wertheimer,1923

 

※2 「併合の要因」(カッコや枠で閉じられた情報はまとまりやすい)同上

2019/09/03

 

解き方は無限、読み方は一つ

 
算数・理科・社会は、以前に解いたのと同じ問題が出ます。しかし、国語は、同じ文章が出ないので、以前に解いたのと同じ問題は出ません。問題はほぼ無限と言えます。
問題が無限にある以上、問題を解くテクニックも数え切れないほど多くなります。「こうすれば解ける」という方法はないのです。
けれども、文章の読み方は一つ、「丁寧に読む」ことだけです。例えば、2019/08/06に示したような読み方をすれば、読むテクニックは身につきます。
「読解」と言います。「読」めれば「解」けるのです。まずは「読」む技術を身につけること。「解」き方のテクニックばかり気にすることのないようにしたいものです。

2019/09/02

 

字数意識をつけるには?

 

「記述問題を口頭で作らせる」 高学年向け

 
記述問題の苦手の子がいます。全く書けなかったり、書いても短すぎたり、長すぎるのを無理に削って変な文にしたり。
そこで、「自分が今考えている答えが何字になるのか」ということがわかっていれば、かなり書きやすくなります。
もちろんこの意識はメタ認知(※)の発達を伴う必要があり、「何字になるか考えなさい」とむやみに言うだけで簡単に身につくものではありません。
メタ認知を促す指導の具体的な例として、記述問題を作らせます。問題だけをつくるのなら簡単です。適当なところを見つけて、「この時の人物の気持ちは?」とか、「筆者がこう言っている理由は?」と言えばいいだけだからです。そのときに、「何字以内で書けばいいの?」と聞いてあげます。すると、頭の中で、答えを考えた上にそれが何字になるかまで考えなければならないので、自然と、「自分が今考えている答えが何字になるのか」という字数意識が生まれます。
※メタ認知 (「メタ認知」については、勉強法—今日のつぶやき—back number1 2018/08/05等参照。)

2019/09/01

 

線が引けるぐらいなら…。

 

2019年8月30日 線が引けるぐらいなら…

 

大事なところに線を引けと言います。けれど、そもそも大事なところがわからないのが生徒です。

 

8歳~18歳なら、18歳だけが大事なところがわかるという実験があります(Brown & Siley,1977.8歳、10歳、12歳、18歳の四段階で試した)。

 

 

このことからメタ認知の発達に応じてこのような作業ができるようになることがわかります。したがって、線を引けという前に、まずは、大切なところを見分けるメタ認知を促すような指導が望まれます。

 

(「メタ認知」については、勉強法—今日のつぶやき—back number1 2018/08/05等参照。)

 

2019/08/29

 

ノートの取り方 その1

 

「what,how,when,why」

 
子どもは「ノートをとりなさい」とは言われますが、それ以上何も言われません。
ノートを取るというのは、授業を受けるという課題をこなすための方略(strategy)の一つです。方略を知識として知っているだけでは課題をうまくこなすことはできません。方略については以下のことを知っておくことが必要です。
① what それはどのようなものなのか。
② how, どのように使うのか。
③ when, why いつ使うのか。なぜ使うのか。
(以上Schraw & Moshman,1995)  
「授業内容を記憶、理解するためにノートをとるとよい(what)」と知っていても、「どのようにノートをとればよいのか(how)」、「いつとればよいのか(when)」、「ノートをとることがなぜよいのか(why)」がわからなければ、この方略をうまく使いこなせません。
本来、子どもが自分で気づいていくことですが、保護者や指導者は知識として知っておかなければならないでしょう。以下がその具体例です。
① what… 授業内容を記憶、理解するためにノートをとる。
② how…話を前部書くのでなく、要点を自分のことばでまとめ直して書く。
③ when…自分が知らなかったことが話されたときにノートをとる。
  why…自分の言葉でまとめ直すことにより、理解が深まる。

2019/08/28

 

良問・悪問 その2

 

「保護者が知っておくと悩まなくてよい」

 

Pearson & Johnson(1978)によると。読解問題は次の三つに分類されます。

 

① 文章中に答えがある。

② 文章中の隣接部分を組み合わせて答えを作る。

③ 自分の知識(スキーマ※)と関連づけて考え、答えを導き出す。

 

①から③に行くにしたがって、原則として難しくなると考えていいでしょう。③は、知識がないと解けません。

 

下図はある塾の4年テキストを編集したものです。

 

1の問題は、上のパターンで言えば、①(文章中に答えがある)になります。ただ、「収集」という答えが最後の文にしか出てこないので、①のパターンでも難しい方ですね。また、答えを「趣味」と間違えないためには「コレクション」という外来語の意味を知っていなければならないので、③のパターンの要素もあります。したがって、難しい部類の問題になります。

 

2の問題は、上のパターンで言えば、②(文章中の隣接部分を組み合わせて答えを作る)になります。(答えは、「私の知っている七歳の女の子が、道ばたにころがっているうすぎたない石ころを拾い集めること」)

 

3の問題は、③のパターン(知識、スキーマと関連づけて考え、答えを導き出す)です。「系統発生」と「個体発生」という進化論の知識が必要だからです。さらに、要約力、作文力も必要です。4年どころか、6年にも(ひょっとすると大人にも)できない悪問です。

(答えは、「世界を所有し、知る出発点となる【知的活動】)。解説も、「世界を知るだけでは、字数が足りないので、所有を付け加える」などと書かれているだけです。

 

①~③のパターンを保護者が知っておくと、「できない」ことに悩むことが少なくなります。

 

 

※ スキーマ…「勉強法—今日のつぶやき—back number 1」の、2018/07/30,08/02,08/03等を参照してください。

2019/08/27

 

スピード出し過ぎ危険

 

「まずは考える習慣を」

 

6年生の秋からスピード練習をするだけで十分です。それまでは、考える習慣をつけること。

 

初めからスピード練習をすると考えなくなります。(※1)本人にとって余裕が感じられるぐらいで進める方が、学習に必要なメタ認知が働くこともわかっています。(※2)

 

※1 低・中学年から早く解かせる指導に対しては個人的に賛成できません。

 

※2 三宮『認知心理学』ミネルヴァ書房2010年

2019/08/25

 

望ましい勉強とは?

 

「フロー体験」

 

様々な職業の人(外科医、作曲家、ダンサー、チェスプレイヤー、登山家など)を調査した結果、「楽しさ」は、上図のようにチャレンジの要素が高すぎず低すぎず、必要とされる能力や技術も高すぎず低すぎないときに感じられることがわかりました。フロー体験といいます。

 

ルールがはっきりしている、やる範囲がはっきりしている、目標が明確である、フィードバックがある、チャレンジの要素がある、有能感を感じられる、我を忘れられる、という特徴があります。

 

また、あくまでもその活動をやること自体が楽しいのであって(自己目的活動)、競争に勝つ・尊敬される・リラックスするなどといったことは、二次的なことです。

 

最も重要なことは、上図に示されるように、「難しすぎない」ということです。難しすぎて技術が追いつかない場合は不安が生じます。簡単すぎると退屈が生じます。チャレンジと能力のバランスがとれているときに、フロー体験が起こり、「我を忘れて」楽しさを感じ、集中できるのです。(以上、Csikszentmihalyi,1991)

 

算数が好きな子が、できそうな問題を解いているときは、このフロー体験に近いものを感じているようです。

 

 

指導者や保護者は、フロー体験に近いものを感じられるように、指導内容の難易度を調整して、少しずつ上げていくようにすることが重要です。 

2019/08/22

 

リハーサル

 

「気持ちのこもらない練習は無意味」

 

覚えるために声にだしたりして繰り返すことを「リハーサル」と言います。

覚えようという気持ちなしに単に繰り返すのが「維持リハーサル」。「維持リハーサル」は、短期記憶になるだけで、知識として定着しません。そのことをクレイクとワトキンスは巧妙な実験によって示しました(Craik & Watkins,1973)。

 

漢字練習帳に義務感だけで何回も書いているだけでは漢字は覚えないのです。

 

では、どうすればよいか? 「精緻化リハーサル」が答えです。

 

クレイクとタルヴィングは、「形」より「音」、「音」より「意味」を意識すると覚えるという実験をしています(Craik & Talving,1975)。

 

また、ブランスフォードらも、単純な例文でなく、理由付きの例文を自分で作った方が覚えるという実験をしています。これも「意味」に目を向けるということです(Bransford et al.,1982;Stein et al.,1982)。

この実験で大事なことは与えられたものを受け身的に繰り返して覚えるのでなく、自分で工夫して理由付きに例文にする方がよいということです。つまり、、覚えるということは、単に知識を与えられるだけではなく、自ら主体的に行動するということなのです。

 

また、両者の実験に共通する前提として、「覚えようとする意図を持つ」こともあげられます。

 

 

覚えようとする意図を持ち、自分で例文を工夫(理由をつける、自分に結びつける等)をすることが、暗記の近道です。

 

2019/08/18

 

書いて「アハ体験」

 

「子どもの作文を簡単に修正してはいけない」

 

頭の中にあるものをそのまま文字にする、それが書くことだと思われる方もいらっしゃるかもしれません。実はそうではありません。書くことによって、例えば違和感を持ち、あれこれと表現を考えるうちに、初めて自分が言おうとしたことがわかるのです(内田,1989)。

 

ヴイゴツキーも、「デパートで自分の身体のサイズに合わせて既製服を選ぶのでなく、はじめは身体の輪郭もあまりはっきりしない状態から、布(表現)を切り取ったり、縫い合わせたりして形を作り出す過程」にたとえています。身体に布を巻き付けて切り取ったり縫い合わせたりしている内に、あ、そうか!と、「アハ体験」をすることによって、身体の実感、つまり表現したかった意図が明確になるのです。

 

したがって、作文指導をするときは、子どもがまちがったことを書いてもすぐに直してはいけません。子どもが気づくまでまつか、あるいは、気づくようにヒントをあたえてあげることが、子ども自身が「アハ体験」をして、成長することになるのです。

 

作文コンクールで入賞した作文はたいてい先生の手が入っています。そのような作文について、書いた生徒は「自分の作文ではないみたい」うしろめたく思ったり、せっかく生み出した表現を大人の感覚や基準で修正してしまわれたことをきっかけに作文嫌いになったという人が何人もいることがわかっています(内田,2010)。

 

 

作文を書くことによって、子ども自身に気づきが生まれ、自分を知ることになるような指導がのぞまれます。それは、学習上にも大きな利点をもたらします。

2019/08/17

 

漢字問題集の例文につけたしてあげる。

 

漢字の問題集を見ると、「かんしんな態度」とか、「事態をしゅうしゅうする」などと、短い文で書かれています。限られたスペースにたくさん入れようとするので、無理もないのですが、これでは、意味がわかりません。

 

「おとしものを拾ってわざわざ警察にとどけてくれるとはかんしんな態度だね」や「クラスの話し合いは大混乱に陥ったが、先生がアドバイスしてやっと事態をしゅうしゅうした」というように、保護者が書いてあげたり、口頭で説明してあげることによって覚えやすくなります。

 

 

できるだけ子ども本人に身近な話題にする方がいいでしょう。「自己関連づけ効果Rogers et al.,1977」と言い、二倍の効果があります(勉強法?今日のつぶやき?back number 2の2018/09/08参照)。

2019/08/16

 

効果的な過去問のやり方

 

過去問は入試情報の宝庫です。一度問題を解いて点数をつけて終わり…。これで学力はつきません。保護者や教師、あるいは生徒の自己満足に終わるかか不安をあおるかのどちらかでしょう。

 

まず、文章についている傍線、傍線番号などを外し、空欄に元の言葉を入れます。普通の文章にするわけです。これは本人以外がした方がよいでしょう。それから2019/08/06で示した練習方法をおこないます。かなりの思考力と集中力が要求されるので、その文章から多くのものが吸収できます。最後にその文章を使った過去問を普通にやります。

 

最初の練習で文章の要約や問題作成の要領をつかんでいるので、後の演習でその学校がどういう問題をだすか、文章のどういうところがポイントになるかということが、身にしみてわかります。

 

 

塾でも過去問をしますが、その前に素の文章を使った練習をしておけばいいでしょう。いきなり過去問をやって力をはかりたいという気持ちもわかりますが、力をはかるのと力をつけるのと、どちらが大事かをよく考えた方がいいと思います。どうしても気になる方は、塾でやらない年度の過去問をネット等で購入して、上記の練習方法でやればいいでしょう。

 

2019/08/15 

 

良問・悪問 その1

 

文章題の本来の目的は読解力を測ることです。だから、読解力が測れる問題が良い問題ですね。

 

下の文章題は、ある塾の3年生用の公開テスト。7は、良い問題と言えます。読解力の多くの部分は要約する力です。二つの段落に分けられるのは要約できているからです。もちろん、二つに分ける問題が必ずいい問題だとは限りませんが。

 

一方、3は、悪問です。読解力に何の関係もありません。

 

どんな形式でも、よい問題とわるい問題があり得ます。例えばよく出題される接続詞でも、良問と悪問があります。

 

題材の選択が悪い場合もあります。

 

下の図表は、ある中学校の入試問題の一部。文章がサッカーに関わるもので、このような図表を使って出題されています。しかし、文章を読むということは、書かれていることを頭にインプットするだけでなく、頭の中の知識(スキーマといいます※)を引き出して参照することでもあります。この題材では、サッカーのスキーマがある生徒が圧倒的に有利になります。架空のゲームで出題する方が、まだましでした。

 

できるだけ良問を解くようにしたいものです。わるい問題をたくさん解いていると、何をしているのかわからなくなったり、国語が嫌いになったりします。大人の良識で理解できる題材、問題で、読解力をはかれるものがよい問題と考えていいでしょう。

 

※「スキーマ」については、 勉強法—今日のつぶやき—back number 1の、2018/07/30,08/02,08/03等を参照してください。

2019/08/14

 

一斉授業の塾か個別指導の塾か その14

 

個別だからできることとは?

 

「子どもに合わせて教える」ことと思いがちですが、少し違います。

 

「教える」というと、教師から生徒へと一方向への流れです。一斉授業で先生の板書をひたすら写す生徒をイメージしてみてください。だから、たとえ個別に子どものレベルに合わせたとしても、先生から生徒へと一方向的に「教える」のであれば、同じです。それでは子どもは受け身的な存在になってしまい。学力の伸びが限られてしまいます。

 

そうではなくて、「子どもが勝手に伸びる」ようにきっかけをまいてあげるのです。具体的な方法の一つとしては、子どもに教えさせます。子どもは教えるのが大好きです。ここで大切なことは、教えるためには深く理解していなければならないということです。必然的に子どもは深く理解しようとします。この経験が生徒自身を「勝手に成長」させます。同時に、その単元だけでなく、他の科目でも深く理解するその経験そのものが活き、全体としての成長も見込めます。

 

以前、よい先生の例として、「生徒に発言させる」ことを上げました(※)。あれも同様の主旨をふくみます。

 

一斉授業でも学校のグループ別学習のように生徒を能動的にするための様々な工夫がされていますが、やはり一人一人の発言を聞いたり、それに的確なアドバイスを与えたりするのは、物理的に無理があります。

 

生徒を受け身にせず、能動的な存在にし、学力を確実かつ迅速に伸ばすことが、個別授業だからできることです。

 

 

※ 勉強法—今日のつぶやき—back number 3 2019/03/11参照。

2019/08/08

 

「何歳で○○できる」の危険

 
幼児教室などで、何歳で○○できるなどと言われることがあります。7/24のつぶやきのように知識要領がわかり、実験で確かめられている課題はともかく、「○○できる」というのは、現実にははるかに複雑な問題を含んでおり、簡単に「何歳」と言えるものではありません。この言い方は、
① 個人差を無視しています。
② 「社会的文脈」を無視しています。成長は何歳になったらできるようになるというふうに、ひとりで遺伝的になされるものでなく、保護者、仲間との交流が重要な役割を果たしています。「何歳で○○できる」という言い方はその「社会的文脈」がないかのような言い方です。
③ 「発達連関」を無視しています。例えば、乳児のときは寝返りなどの運動、幼児のときはことばの発達のみが重視されることが多いですが、運動と言語は相互に関連しています。「○○できる」(例えば、しゃべれる)という言い方は、この関連を忘れさせます。
④ 「領域固有性」を無視しています。将棋であれば大人を負かす子どもがいます。「できる」というのは、何歳になったら一般的にできるようになるのではなく、「領域」によって異なります。「何歳で○○できる」という言い方は、領域による違いを忘れさせます。
⑤ 「最近接領域」を無視しています。「できない」と「できる」の間には、「もう少ししたらできる」という「最近接領域」があります。「何歳で○○できる」という言い方は、その存在を忘れさせます。
そもそも発達は連続的なもので、「○○歳で」と区切るものではありません。この言い方にまどわされないようにしたいものです。

2019/08/07

 

子どものモチベーションを知ろう「2要因モデル」その5

 

「自尊志向」

 

勉強する理由として、以下の心理尺度に当てはまる度合いが強いようなら、自尊志向です。プライドを持つこと自体は悪いことではありませんが、下の図のように、「学習内容の重要性」は「軽視」される傾向があり、勉強に創意工夫をすることは少なくなります。

 

○ 成績がいいと、他の人よりすつれているような気もちになれるから。

○ 成績がよければ、仲間から尊敬されると思うから。

○ ライバルに負けたくないから。

○ 勉強してよい学校を出たほうが、りっぱな人だと思われるから。

○ 勉強が人並みにできないのは、くやしいから。

○ 勉強が人並みにできないと、自信がなくなってしまいそうで。 

 

その他の志向については、6/19,6/25,6/27,7/15,7/23のつぶやき参照。

2019/08/06

 

読解力をたかめるための4つの練習方法

 

1 要約

2 問題作成

3 明確化

4 推理

 

1の要約を、初心のうちは、一段落かそれより少ない程度で行います。2の問題作成は、テストで聞かれるような問題や教師がしそうな質問を子どもが作ることです。1で決めた範囲から問題を作ります。注意点は、書かせないことです。すべて対話で行います。

 

初めはかなり苦しむと思います。特に2が難しいでしょう。教える人が、別の箇所で見本を示してあげると、徐々にうまくなります。うまく持って行くと進んでやるようになります。

 

また、1と2で苦しむということは、はっきりわかっていないところがあるからかもしれません。そういうときは、3の明確化で意味をはっきりさせます。子どもが難しいと感じている部分を、別の言い方で言い直させるといいでしょう。

 

1~3まで進めば、4の推理です。次の段落(あるいは、適当な一部分)にどのようなことが書かれているかを推理します。

 

1の「要約」を行うことによって、2019/08/05に示した6つの頭の使い方(※)のうち、③と⑤を実行していることになります。また、2の「問題作成」を行うことによっても、③と⑤を実行しています。さらに、3の「明確化」を行うことによって、④を実行し、4の「推理」によって⑥を実行しています。そして、4つの練習方法すべてにおいて、②を実行しています。

 

トレーニングのシリーズを始める前と途中、終わった後にそれぞれ10問の読解力テスト(別々の、すべて初見の物語を読んで、問いに答える)を行うと、始める前が正答率15%だったのが、途中と、終わった後では85%の正答率でした。

以上Palincsar & Brown,1984

 

※2019/08/05に示した6つの頭の使い方

 

① テキストを読む目的を理解する。

② 関連する既有知識を呼び出す。

③ 主要な内容に注意を割り当てる。

④ 内容の一貫性や既有知識との適合性を評価する。

⑤ 理解できたかどうかをモニターする。

⑥ 推論をし、それをテストする。

2019/08/05

 

読解力をたかめるための、6つの頭の使い方

 

① テキストを読む目的を理解する。

② 関連する既有知識を呼び出す。

③ 主要な内容に注意を割り当てる。

④ 内容の一貫性や既有知識との適合性を評価する。

⑤ 理解できたかどうかをモニターする。

⑥ 推論をし、それをテストする。

 

テキストの理解をもたらす学習活動として考えられた6項目です。

 

20日の訓練で、5日後の読解力テストでも3週間後の読解力テストでも高い得点を示し、さらに理科や社会の読み物についてのテストでも高い得点を示すようになりました(Palincsar & Brown,1984の実験)。

 

①については、受験勉強なら問題を解くためですね。問題を解くために読むのだという意識がはっきりしていると注意深くなります。

②に関しては、脳内のスキーマを利用するということです(※1)。

③は、特に子どもの場合、細部にとらわれることがあります。そうでなく、文章の主要部分がどこかをわかるということです。

④については、批判的に読むということですが、受験勉強のテキストであれば、原則として内容は一貫していると考えてよいでしょう。しかし、既有知己との適合については、子どもなら一致しないこともあります。例えば、地球は平らだと思っているのに、地球は丸いという文章を読むと、混乱するでしょう。そのときに自分の考え方が一貫するように構築する作業です。

⑤は、自分がわかっているかどうかは、子どもには判断しにくいものです。それを判断するメタ認知的(※2)作業です。

⑥については、次にどのような展開になるかを想像しながら読み、確かめるということです。

 

具体的にどのような方法を使って6つの学習活動を実践していくのか、項を改めて説明したいと思います。

 

※1 「スキーマ」については、勉強法—今日のつぶやき—back number1 2018/07/30等参照。

※2 「メタ認知」については、勉強法—今日のつぶやき—back number1 2018/08/05等参照。

 

2019/08/03

 

大手塾の国語に差はあるか?

 

「ない。違いはある。」

大手塾のAに入ったから、大手塾Bの生徒よりも国語力がつくということはありません。そもそも塾に行って勉強するアドバンテージは、塾に行かない生徒や勉強しない生徒に対して発揮されるものにすぎないからです。実績を見てもあまり差がありませんね。
授業形式もほぼ同じです。最初に漢字・語句などのテスト(と自己採点)、残り時間でその単元のポイントをかいつまんで教えます。
簡単な演習を入れる場合もあります。問題の解き方を一問ずつじっくり教えたり、文章の読み方を教えたりすることはほとんどありません。
ただ塾によってやり方に違いがあるところもあります。一番の違いはテストが多いか少ないかということでしょう。いくつかの塾は、漢字・語句と文章題の復習テストが毎週行われますが、いくつかの塾は漢字・語句のテストだけです。また、前者の方が模試やタイトルのついたテストの回数が多いですね。ただ、どちらがいいということはありません。どちらにも長所・欠点があるからです。
いずれ詳しく述べる機会もあるかと思います。前者に比べて後者の方がおおらかに勉強しやすい傾向があるということはいえると思います。

2019/07/31

 

いい文章と悪い文章

 

「保護者にわからないのは悪い文章。」

 

下スライドのうち、短い方の文章が、灘中の入試問題から一部を採ったものです。六年生でも理解できる程度の文章です。さすがというか、灘中はほぼこのレベルの文章から難しい問題を出します。

 

長い方の文章が、ある学習塾の灘中対策の問題から一部を採ったものです。問題以前に、大人でも理解しにくい文章です。当然解きにくいですね。

 

読める文章を出して、理解できたかどうか尋ねるのと、読めない文章を出して、どうだ難しいだろうと言うのとでは大きな差があります。

 

読みやすい文章というのは、「用語・文法が読者にとって親しみやすく、表現が明晰であり、論旨が首尾一貫しているもの」 (Anderson & Armbruster, 1982)です。

 

保護者が読んでわからなければ、そのうちの多くが欠けている文章と考えてもいいでしょう。子どもを責めることがないようにしたいものです。

 

また、教える時も「読みやすい文章」を使う方が、文章を理解することによって、文章構造を初めとした様々な学びがあるので、国語力が上がります。

 

読みにくい文章で訓練しても、内容がわからないので、その問題にしか通用しない小手先のテクニックで解くことを覚えるだけで、応用が利きません。

2019/07/30

 

段違いの伸び

 

「相互教授法」

 

教室をグループごとに分けて競わせることによって、驚異的な成績を収めた算数教師の話を、

一年ほど前にしました(※)が、私には縁のないことだと思っていました。

 

科目も違うし、その教師のような才能もないし、個別と一斉授業では違うからです。

 

しかし、その手法が科学的に検証されているデータを見つけましたので、ご紹介します。

 

下表の「相互教授」がその算数教師のやり方とほぼ同じです。「直接的教授」が普通の授業です。全く結果が違いますね。しかも算数ではなく、国語の検証です。

 

「相互教授」の具体的なやり方は、文章を理解していくために必要な方略のいくつかを教師の援助を受けながら集団(5~6人)の中で使っていくといういうものです。

 

学校内でも「グループ学習」という名目で似たような授業をしていますが、うまくいっていません。「グループ学習」をしている生徒のノートを見ると、見当違いの身勝手な意見がでているだけで読み取りが深まっていないことがほとんどです。これは、多人数のグループが6つ以上になるので、教師の援助が行き届いていないことが大きな原因でしょう。

 

一つのグループに一人の教師がついて、その教師の技術が確かであれば、よい結果が出るのではないでしょうか。

 

例の算数教師は4人ずつの4つのグループを見て回っていましたが、これは、国語に比べて文章が少なく説明がしやすいこと、人数の少なさ、塾なので生徒のレベルが一定していること、教師のグループ分けのうまさ、および教師の能力の負うところが大きいと思います。

 

個人的にも非常に興味深いので何らかの形で実践していくつもりです。図のPalincsar & Brown,1984以外に、Campione et al.,1991; Palincsar et al.,1993でも実践されています。

 

※「勉強法—今日のつぶやき—back number 1」→2018/06/16のつぶやき

 

2019/07/29

 

問題文の読み方 

 

「速く、同じスピードで読めるのがいいのではない」

 

すらすらと音読するのがいいというイメージから、問題文もすらすらと読めるのがいいように

誤解されているようです。

 

まず、音読と黙読とは違います。理解しなくても音読はできますが、黙読は理解が目的です。

 

そもそも、速く同じスピードで、オートマティックに黙読できる人はいません。

どれほどの読み巧者でも、難しいところにくるとスピードをゆるめます。

子どもならなおさらです。

 

読み巧者は、わからないところにくると立ち止まって、理解するために様々な方略を使います(例えば、もう一度繰り返して読むなど)。

 

速く読むことに力点を置いて子どもを指導すると、わからないところも速く読むようになります。結局、わからないところが残るだけです。

 

むしろ、子どもがどのあたりでわからなくなっているかを知り、そこで考えさせたり話し合ったりする方が、

はるかに読解力がつきます。 

(以上Palincsar & Brown,1984から)

2019/07/28

 

一斉授業の塾か個別指導の塾か その13

 

「熟慮型なら個別、衝動型なら一斉授業」

 

個別指導の塾は、生徒に合わせた宿題を出します。一斉授業の塾は宿題を多く出します(一人一人に合わせていられないので、大は小を兼ねるの原理で、上位の生徒に合わせる)。夏休みの宿題などではこの現象が顕著です。

 

人には認知スタイル(cognitive style)があり、熟慮型と衝動型の違いがあります(※)。熟慮型はじっくり考えて問題解決をするのに対して、衝動型は直感的に問題解決します。

 

どちらがいい悪いではありません。しかし、上記の宿題に関しては、熟慮型は、大量の宿題を出されると処理するのに時間がかかり、負担が大きくなります。悪くすると、宿題をいい加減に片付けざるを得ず、熟慮型のよいところ(例えば、処理容量が大きいとする研究もあります)を失ったり、学力がつかなかったりすることもあります。

 

この点では個別指導の方がいいでしょう。ただし、指導する教師に生徒のできる量を見抜く技量、経験が必要です。

 

※Kaygan,1966。2019/04/23のつぶやき参照 

2019/07/26

 

漢字を覚えるときに、その漢字を使った熟語をできるだけ覚えておく理由の一つ、「形態的隣接語効果」。

 

「読解が速くなる」

 

「大口」ということばより、「大雨」ということばの方が、語彙判断が速い(速く理解される)ことが実験で示されています。「大口」は、「口」を、意味的に近い「目」や「鼻」に代えても、熟語になりません。しかし「大雨」は、「雨」を意味的に近い「風」、「波」、「汗」、「水」に代えても熟語になります。関連する熟語が多いほど脳内の活性化度合いが大きくなるからだと考えられていて、これを『形態的隣接語効果』(※)と言います。

 

もちろん、この効果が生まれるためには、「風」、「波」、「汗」、「水」という字や、「大風」、「大波」、「大汗」「大水」を知っていなくてはなりません。従って、漢字を習うときにその漢字を使った熟語を同時に学習しておくことは、漢字テストのためなるだけではなく、長い目で見ると、読み取りが速くなることにつながるのです。

 

※ 一文字置き換えてできる単語の数が多いほど語彙的判断が短くなる効果(水野 松井 2014)。

 同様の理由で、「堆肥」という言葉よりも「突破」という言葉の方が語彙判断が速くなります。「堆」や「肥」を使った熟語よりも、「突」や「破」を使った熟語の方が多いからです。

2019/07/25

 

知っておくと得する豆知識 その11

 

「リード文の問題は空らんの前後が大事」

 

リード文とは、文章を要約した文です。リード文に空らんを作って、そこに文中の言葉を抜き出して入れる問題が非常に多く出されます。

 

空欄の前後にも本文中の言葉(あるいは似た言葉)が使われています。その言葉をヒントにします。

 

下に6年生用の問題を挙げておきました(※)。文章中の             を引いた言葉が、問いの同じ種類の線に対応しています(「自分の前にいる他者から」→「自分の目の前の人間から」、「奪って」→「とりのぞいて」、「自己に対立する相手であるという」→「自己に対する相手と判断する」)。

 

※ ある公開された模擬テストを編集したものです。この問題が適切かどうかはともかく、上記の方法が適用できます。     

 

2019/07/24

 

子どもができる問題は正確に予測できる

 

 「知識容量を知っておく」

 

同じ大きさのビーカーAとBに同じ量の水を入れます。Aの水を小さいビーカーCに移します。

Aの水とCの水のどちらが多いか?

 

この問題を7歳までの子どもは解くことができません。

 

「AとBの水の量が同じであるという知識」「水は形を変えても同じ量であるという知識」

「AとCが同じ量であると結論を引き出す知識」と、処理容量の数値がが少なくとも3です。

 

しかし、下の図にあるように7歳までの子どもの処理容量は2なのです※。

 

年齢と照らし合わせて処理容量が多すぎる問題は、解けないのが当たり前です。焦る前に、知識がいくついるかを考えてみるのもよいことです。

 

※ kが処理容量、eは生後26ヶ月~28ヶ月の間に発達する、一定の情報貯蔵スペース。 

2019/07/23

 

子どものモチベーションを知ろう「2要因モデル」その4 

 

「関係志向」

 

「ともだちがやっているから」「先生が好きだから」「みんながやっているから」と、他者につられて勉強している場合です。幼少期や勉強がうまくいっていない時など、このモチベーションがきっかけになることもよくあります。

 

小学校の先生が、生徒どうし、先生と生徒の間に楽しい雰囲気を作って、その中に引き込まれて学習する場合もここに含まれます。今教えている生徒が通う、ある有名中学校1年生でも、スタンプを集める授業をしており、本人は結構楽しんでやっています

 

。幼少期だけでなく、少年期、青年期初めにも見られます。テレビに出ている好きな先生がやっているから、という理由で勉強している場合もあります。

 

ただ、「関係志向」によって動機が高まっても、学習のしかたの質があがるかというと、必ずしもそうはなりません。できれば表左上の「充実志向」のモチベーションに移行していく方がよいでしょう。

 

以下の心理尺度にあてはまる傾向が強いなら、「実用志向」のモチベーションを持っていると考えられます。

○ みんながやるから、なんとなくあたりまえと思って。

○ 友達といっしょになにかをしていたいから。

○ 親や好きな先生に認めてもらいたいから。

○ まわりの人たちがよく勉強するので、それにつられて。

○ みんながすることをやらないと、おかしいような気がして。

○ 勉強しないと、親や先生に悪いような気がして。

2019/07/22

 

授業タイプ

 

1 サラリーマン型…生徒の動向とは無縁に淡々と授業をこなすタイプです。学校に多いですね。学習意欲があってできる子に向いています。

2 独裁型…塾では結構見聞きします。先生がこわいので、教室が静かです。このタイプのよいところは、伝えられる情報量が多いことです。

3 芸人型…塾に多いですね。おもしろいのでしばしば教室が笑いに包まれます。よいところは、子どもがリラックスでき、モチベーションにつながりやすいことです。教師には笑わせる技術が要ります。

4 コミュニケーション型…生徒に発言させ、それを認めます。塾より小学校に多い。よいところは、子どもが積極的になり、モチベーションを持ちやすい点です。

5 白熱授業型…『ハーバード白熱教室』のサンデル教授が代表例です。生徒に発言させ、それを認めるのは3と同じですが、その発言を基に、授業内容が組み立てられていきます。3では、生徒の発言をほめるだけで授業内容と無関係になりがちです。3より子どもが積極的になり、モチベーションを持ちやすくなります。 

2019/07/21

 

読解の5レベル 

 

「どのレベルかを知るのが向上のきっかけ」

 

小学校1年~6年までにテキストを読んで聞かせ、1文ごとに深く考えさせ、考えたことを声に出して言うように求めた「発話記録」の分析(※1)によると、

 

レベル1 テキスト中のある単語や語句から連想したことを言う。

    【このレベルは、テキストの伝えようとする内容を理解していません】

 

レベル2 テキストの内容の一部から連想した、自分の知っていることを言う。

     または、テキストの内容の一部を別の単語で言いかえる。

    【このレベルは、テキストの内容と自分の知識とが結びついていません

    (※2)】

 

レベル3 テキストの全体的な意味を、別な表現で言いかえたり、少し減らしたり少し付け加えたりしたことを言う。

    【このレベルは、テキスト全体の意味を理解してます。ただ、それによって本人の持っている知識が修正されてはいません。つまり、「かしこく」なっていません。】

 

レベル4 テキストの意味と本人の持っている知識の間のずれを埋めるような仮説を言う(例…「どうして傷口からばい菌がはいる」という文を読んだら、「どうしてばい菌が入るんだろう?《疑問》 ばい菌は皮膚を通り抜けるのかもしれない《仮説》」と言う)  

    【このレベルは、テキストの意味を、本人の知識と統合しています。つまり、「かしこく」なっています。】

 

レベル5 テキストの意味や本人の知識を超えて、もっと応用的で複雑な知識を構成するための疑問や仮説を言う。

    【このレベルは、本人の知識が拡大されています】

 

この実験では、1,2年生は45%がレベル2、3,4年生は48%がレベル3、5,6年生は38%がレベル3で、39%がレベル4です。

個人差はあります。もし読解が苦手なら、どのレベルかを考えてみるのが読解力向上にヒントになります。

 

※1 Chan et al.,1992

※2 読む行為は、テキスト内容を脳にインプットすることではありません。理解するために脳内の知識を引き出してテキスト内容と照らし合わせる必要があります(勉強法—今日のつぶやき—back number1,2018/07/30参照)。

2019/07/20

 

「難語集」って、要る?

 

言葉は文脈の中で自然に覚えるのが一番いいです。受験勉強で言えば、テキストを読んで、わからない言葉があれば、その文脈の中の意味を調べて理解することが認知心理学的にも一番正しい勉強法です。

 

ただ、子どもによって、その言葉の意味がわからないことがわかっておらず、そのまま通り過ぎてしまう場合があります。わかっているかわかっていないかを確認してあげるのがいいでしょう。

 

データベースを示している難語集はありません。ないよりましといったところです。

2019/07/19

 

小さいときは、「わかり」が早かった。でも…。

 

「目標見取り図をつくる」

 

小さいときに比べて、幼稚園年長、小学校と、学年が上がるにつれて理解がおそくなるように感じます。

 

内容が難しくなるからだと思われていますが、それよりも大きな理由があります。

 

乳幼児の学びは、遺伝的なもので、すでにプログラムされています(馬の赤ちゃんが生まれてすぐに立てるのと同じイメージですね)。しかも学ぶ範囲が狭いのです。したがって、すばやく効率的に、理解したりできるようになったりします。

 

乳幼児に比べて、児童の学びは、脳を作っていく学びです。最終的には目標と手段の因果関係を理解することです。児童の段階ではまだこの因果関係の理解が欠けています。「今やっていることは何のためなのか」「何かを得るにはどのようなやりかたをしていけばいいか」ということを児童は理解していません。そのために学びがゆっくりで、非効率で、表面的であるように見えるのです。

 

児童の学びを助ける方法としては、目標見取り図(目標と、そこに到達するまでの手段を、矢印などで視覚的に表したもの)考案され、実施されています(Siegler & Crowley,1994)。

 

読解を教えるときでも、何のためにこの文章を読むのかという目的をはっきりさせること(例えば、後でお母さんに話してあげるため、など)によって理解が深まります(Palincsar & Brown,1984)。

2019/07/18 

 

算数の問題が、教えてもらったはずなのに、できないのは

 

「前に教えたのに、できない」という嘆きを保護者や教師から聞きます。

 

一度やった問題のしくみを理解して、次の問題に適用することを「転移」といいます。

 

転移は非常に起こりにくいことが知られていますが、Gick & Holyoak,1983やCatrambone & Holyoa,1989によって、「例題を二つ与えた場合」に自発的な転移がおこることが、いくつもの実験で明らかにされています。

 

ただし、これには必要条件があって

 

① 例題を、時間的な間を置かずに続けて解くこと

② 同じような語彙が使われること(1問目が鉛筆の問題なら、二本目はボールペンの問題のように、語彙が近接していること)

 

例えば、授業で教えたから後は類題を家でやっておいてと言ってしまうと、①の条件がないので転移は起こりにくくなります。

2019/07/17

 

国語のノートって見直しますか?

 

「何を得たかを振り返ろう」

 

算数のノートは、式があり、理科・社会のノートは知識が書かれているので見直すこともあります。でも、国語のノートを見直す子どもは見たことがないですね。

 

その日に自分はどのようなことを学んだのか、今後どのように役に立つのかということを意識的に書く訓練をした方がいいでしょう。

ただ、子どもにはなかなか難しいので、保護者や教師が指導してあげることも必要でしょう。

2019/07/16

 

ことわざの覚え方

 

「経験をよびおこす」

 

学習塾ではリストを渡して覚えさせたりテストをしたりするだけなので、覚え方を教えてくれるわけではありません。

一番いい覚え方は子どもの経験を呼び起こすことです。

 

「猿も木から落ちる」であれば、得意なことなのに失敗やミスをしたことがあるかを聞きます。

そして、「猿は木登りが得意だけど、たまに失敗するの。あなたは□□が得意だけど、たまに失敗するのと同じ」と教えます。

 

脳内の知識と、意味が似ていて構造(文のつくりなど)が同じであるほど思い出しやすいという実験があります(Thagard et al.,1990)。経験として脳内に蓄積されていることと、意味が似ていて構造が同じことわざは思い出しやすくなります。

 

こういう勉強は、むしろ家庭でしかできないものでしょう。

 

2019/07/15

 

子どものモチベーションを知ろう「2要因モデル」その3

 

「実用志向」

 
仕事や生活に活かすために勉強しようとすることを「実用志向」と言います。勉強する理由として、以下の心理尺度にあてはまる傾向が強いなら、「実用志向」のモチベーションを持っていると考えられます。
○ 勉強したことを、将来の仕事に活かしたいから。
○ 勉強したことは、生活の場面で役立つから。
○ 勉強で得た知識は、いずれ仕事や生活の役に立つと思うから。
○ 知識や技術を使う喜びを味わいたいから。
○ 勉強しないと、将来仕事の上で困るから
○ 仕事で必要になってからあわてて勉強したのでは間に合わないから。 
このようなモチベーションで勉強を始めるのもいいと思います。できれば、「充実志向」(※1)や「訓練思考」(※2)に徐々に移行していくのが望ましいでしょう。
※1 自ら進んで勉強し、勉強方法も工夫するとされるモチベーション。2019/06/19,06/25のつぶやき参照。
※2 「充実思考」に次いで望ましいとされるモチベーション。2019/06/27,06/25のつぶやき参照。

2019/07/14

 

 

一斉授業の塾か個別指導の塾か その12

 

 「懇談はできるだけ申し込む」

 

一斉授業の塾の講師は多忙(2019/07/06,2019/03/21のつぶやき参照)なので、懇談は大きな負担です。さらに、多人数を見ているので目が行き届きにくいので、一回の懇談で収穫は期待できません。
一方、個別指導の講師は、アルバイトが多いので、知識や経験が不足しており、やはり収穫が期待しにくいですね。室長などの懇談は、逆に生徒を見ている機会がすくないので、やはり期待薄です。
したがって、どちらの塾でも、電話での問い合わせや積極的にし、懇談も規定の時期だけでなく、こちらから申し込んで、回数でカバーした方がいいでしょう。もちろん、話をなんとなく聞いて安心するのでなく、こちらからテーマをぶつけて、返答をもらうぐらいのつもりがいいと思います。それは、塾にとってもレベルアップになることです。

2019/07/13

 

知っておくと得する豆知識 その10

 

「3行以上の問いは、メモを」

 

上の模試は、長い問いでも2行です。しかし、縦に長いので、普通なら3行と見ていいでしょう。

 

例えば、⑹のbは、問題を解くための条件が非常に多いですね。

① 「ひるみたくないという『ぼく』の思い」(※)

② 「このあと」であること

③ 気持ちを表すことばでなく、「態度や様子」であること

④ 「十五字以内」

⑤「一文」

答えは、「てのひらがこぶしに変わる。」

 

 

①~⑤をすべて頭に入れて解く必要があります。子どもが忘れやすいのは、③や⑤です。①と②に気をつけてさがしているうちに、「一文」でなければならないことを忘れたり、「態度や様子」でなく、気持ちを答えたりします。(もっと極端な例は最後に)

 

人間が短期間で覚えていられるのは4項目((Lark & Vogel 1997)。発達途上の子どもであれば、もっと少ないかもしれないので、忘れるのは無理もないのです。

 

問いに印をつけるのもいいですが、それでも忘れてしまう場合には、別紙や文章の下にメモすることをおすすめします(見ながら答えを探せる)。初めは時間がかかりますが、なれるに従って、忘れにくくなり、メモも要らずスピードがでてきます。

 

※ 「ひるむ」ということばを知っているかどうかを条件の一つに数えることもできます。

 

⑻もそうですね。

① 「ちゃんと伝わった」

② 「このように思えずにいました」(伝わっていないと思っていた)

③ 「雰囲気」という言葉に続く

④ 七字

 

項目は少ないですが、①と②は打ち消しあうので、非常に覚えにくい条件です。多くの子どもがここで混乱します。③も忘れやすいです。答えは「重たくて冷たい」 

2019/07/12

 

知っておくと得する豆知識 その9

 

「音読は読み返しが難しい」

 

小学校低学年では音読した方が理解しやすいけれど、中、高学年は黙読した方が理解しやすいことは一般的に知られています。ところが、中、高学年になっても音読させている光景を時々目にします。音読について知っておくべきもう一つのこと(※)は、音読は読み返しが難しいということです。複雑な文章ほど読み返しをしないと理解が難しくなります。したがって、音読することによって、かえって理解をさまたげることになるのです。

 

読書時の眼球運動を記録すると、黙読の場合、後戻りする眼球運動(飛越眼球運動)が見られます。このことからも、我々が「読み返し」をしながら読んでいることは明らかですね。

 

※ 音読についてのそれまでのつぶやきは、2019/04/12参照

 

2019/07/11 

 

想像(創造)的読解

 

「楽しみながら」

 

文章題を解く時に、出典、最後の文、(前書き)、三回以上出てくることばの順で読む方法を紹介しました(2019/06/15のつぶやきが、これにはいい意味での副作用があって、子どもにとって結構楽しいことなのです。

 

多くの子どもは、文章を読むことが受け身でつらい作業だと感じています。ところが、この順だと、出典を読む→どんな話かを想像する。最後の文を読む→さらに想像する、三回以上出てくることばを読む→もっと想像する、というふうに、受け身でなく、能動的な創造的な作業に感じます。クイズのように感じる子どもいます。

 

教える時は、出典を読んでどんな話かを想像してもらい、二人でお話しをする。最後の文を読んでまた、想像し、話をする、という風にしていくのがいいでしょう(※)。読解が嫌いだった子が好きになる子も多いです。

 

※ この方法は、2019/04/03,04/04で紹介したDRAの手法にも関係しています。

2019/07/10

 

独り言は吉

 

「考えている証拠」

 

下イラスト(『図解雑学発達心理学』)のように、言葉はコミュニケーション、社会的な伝達の道具であるだけでなく、思考の道具でもあると考えられています。

5、6歳頃から徐々に、声に出さずに心中でつぶやくことによって考えるようになります。従って、この前後の独り言は、言葉を思考の道具として使い始めている証拠なのです。

 

2019/07/09

 

志望校が決まっているなら

 

「模試よりも過去問」

 

志望校が決まっているなら、その志望校に合わせた勉強をするのが効率的です。過去問を研究し、どのような問題が出るのか、本人に足りないところは何なのかを明確にしてから、残り期間に何を勉強するかのスケジュールを立てます。

 

過去問は20年分は見ておきたいですね。アマゾンやメルカリで入手できます。20年分やっている人はほとんど誰もいないので、これだけでも優位に立てます。本人がやるのは、8月か9月から1週間に1年分ずつでいいでしょう(※1)。

 

入試問題は、学校の存続に関わるので、一年かけて慎重に作られます。短期間で作られる模試とは精度が違う(※2)ので、入試問題を解くことが最も勉強効率がいいのです(※3)。

 

※1 社会は時事問題や資料が古いので注意。

※2 入試問題の精度をオリジナルの模試で復元する技術がある制作者も、ほとんどいないのが現実です。

※3 そもそも、塾のテキストやテストは、ほとんどがあちこちの入試問題から採られています。ある塾の先生は「入試問題のストックが塾の財産」と言っていました。

 

2019/07/08 

 

作文の書き方 5

小学2年生~6年生までで調べると、作文の書き方には四つのスタイルがあることが知られています(安西,内田;1981)。
1 テーマと、大筋・内容構造を決め、それに沿って書き進める。
2 テーマを決め、それに沿って次々と書くことを決めながら進める。
3 書き出しだけ決め、あとは次々とかくことを決めながら進める。テーマはあまり意識していない。
4 浮かんできたことをそのまま書き連ねる。
二年生は1と4が多く、高学年は2が多いことがわかっています。つまり、習い始めのころはきちんと計画を立てて書くか、あるいは浮かんだままを書き連ねていくかのどちらかですが、なれるに従って、テーマや書き出しだけを決めると後は文脈に依存して書くことを決めながら進めるようになることがわかります。
補足実験では、5、6年生に「書く前に、どんなことを書くか5分間考えなさい」と指示して書かせると、一週間後に同じ作文を再生しやすいことが知られています。これは、教師の工夫によって、作文のスタイルを変えられることを示唆しています。工夫に関しては、以前のつぶやき(2019/03/27)をご参照ください。

 

2019/07/07

 

ただいま編集中!?

 

「『えーと…』『あのね…』は待ってあげよう」 

幼児から低学年にかけては、内容を整理してから話す力がついてきます。三歳ぐらいの「えーとね」「あのね」は、主につぎの単語を考えているのですが、六歳ぐらいになると、「えーと」などという言葉はというときは、自分の話の内容を編集しているのです(藤崎,1982)。
大人からすると聞きづらいのですが、子どもにとっては話す内容を計画的に構成するという非常に大切な作業をしています。受験勉強の面から見ると、記述問題を、考えてから書く力につながっています。
こういうときに、子どもの話をせかしたり、子どもが言おうとすることを十分に聞かず、大人が子どもの意図を先取りして言ってやったりすることは、子どもの成長をさまたげることにもなるので控えるべきです。

2019/07/06

 

塾の先生は、普段何をしているのか? その2

 

(一斉授業の塾か、個別指導の塾か その11)

 

「結構しんどい個別チェック」

 

宿題をチェックして、アドバイスや応援を書き込む作業をする塾もあります。一斉授業であれば一人で何十人(場合によっては百何十人)もの生徒を持っているので、講師に言わせるとこれが一番しんどい。どの講師もこの作業や採点を持ち歩き、時間が空けばやっています。

 

一斉授業の塾は、個別に負けないために、このような作業を取り入れるのですが、どうしても一対多数になる作業、個別チェック、採点、懇談などは講師に負担がいき、場合によってはおざなりになってしまいがちです。

 

ただし、一斉授業の塾は正社員が原則で、個別はアルバイトが原則なので、仕事に対する責任感、経験の質などを考えると、どちらがいいかは、個別チェックに関しては微妙です。 

2019/07/05

 

短期的に効く動機付け

 

「授業前に、成績がよくなるor将来役に立つと考える」

 

確認テストを毎週やっている塾もあります。

 

授業前に、「今から受ける授業が翌週の成績に表れる」と意識的に考えるようにすると、授業に集中しやすくなるという研究結果(大浦,楠見;2018)があるので、認知心理学的にも理解できます。

 

同様に「将来役に立つ」と授業前に考えることによっても授業に集中しやすくなります(大浦,楠見;2018)。

 

もちろん、勉強そのものを好きになるわけではありません(※1)。また、その科目が好きになるわけでもない(大浦,楠見;2018)ので、短期的なモチベーションとして持たせるのがいいでしょう。そこから少しずつ勉強が好きになっていってもらえばいいのです(※2)。

 

※1 このようなモチベーションの持ち方は、2要因モデルの「報酬志向」(2019/6/25のつぶやき参照)に当たるので、勉強に工夫したり、自発的に勉強したりすることは、あまりありません。

※2 2019/6/25,6/27のつぶやき参照。

2019/07/04

 

頭をよくするためには

 

「本来持っている柔軟性を活かす」

 

例えば、小学校に入る前から、子どもは数と計算について相当豊富な考えと経験をもっています。4、5歳の幼児に3+5の答えを求めると、状況に合わせて、5種類のやり方の中から使い分けて答えを求めます(※1)。

 

また、成長の時期によって、5種類だけでなくさまざまなやり方をさまざまに組み合わせて行きます(※2)。

 

つまり、人はもともと柔軟性があり、状況に合わせた作戦をとることができる(同じく※2)のです。これは、つねに変化する状況に対応するという意味で、生きていくときに必要な能力です。人は本来頭がいいのですね。

 

本来持っている柔軟性を活かす方向で伸ばしていくことが、将来、様々な困難や課題を処理していく能力につながります。逆に、必ずこのやり方でやりなさい、という「押しつけ」はその柔軟性を殺すことになりかねませんので注意したいものです。

 

※1 5種類とは、① 最初から順に数える ② すでに覚えている答えを記憶から取り出す。

  ③ 当て推量(当てずっぽう) ④ 大きい数(5)から数え始め、次に「6,7,8」と数える。 ⑤ 分解(5を3と2に分け、3+3をした後、2を足したり、3+2をした後、3を足したりする)

 さらに、例えば、早く答えを出すときは②、正確に答えを出すときはいろいろなやり方(①、③、④、⑤)を用いる。(Siegler & Shranger,1984 ; Siegler & Jenkins,1989)

 

※2(Siegler,1991)

 

2019/07/03

 

機械的勉強法 その2

 

「子どもを『支配』していないか、ふりかえる」

 

なぜ、なにも考えずに、漢字をひたすら書く、農産物をひたすら覚える、○○算ばかりひたすら解くというような機械的学習(※)をしてしまう背景には、一時期大流行流行した行動主義心理学の影響があります。

 

パブロフの犬の実験(※)に始まり、「実験室の中の動物に報酬と罰を与えて実験者の思い通りの行動をいかにとらせるか」を調べていたのが行動主義ですが、その影響はすさまじいものです。

 

反復、ほうび、体罰などが教育に有効であると無意識的に考えている人は今でも案外多いです。さらに、「学習は教え手が学び手に知識を伝達し、学び手の誤りを正していくこと」という考え方が社会通念になっていることからも、その影響の強さがわかります。

 

しかし、この学習観は、「学び手(子ども)は受け身の人間であり、教えられなければ学ばない無能な、怠け者である」という考え方と結びつきやすく、そのような学習観によって、「徹底的に教え、管理」すると、人間も受動的になり無能性を示すようになります。

 

そのような学習観によって教えられ「優秀な」成績を収めた人間が官僚などになったらどうなるか、近年のできごとが示しているかもしれません。

 

人間は本来、教えられなくても積極的に環境に働きかけて学ぶ(幼児を見ればわかります)し、本人にとって意味のあることをするときには、進んで知識を得ている有能な存在です。子どもの持っている知的好奇心に寄り添う工夫を考えることが機械的学習におちいらない第一歩です。 

 

※ 2019/06/24のつぶやき参照。「漢字をひたすら書く」意外の学習法については、以下のつぶやきをご参照ください

(2019/06/21,06/14,06/09,04/25;2018/11/01,10/30,1022)。「農産物をひたすら覚える」以外の理科・社会の勉強法については2014/05/23,05/05,05/03,04/29のつぶやき参照。「○○算ばかりひたすら解く」以外の勉強法については、2018/12/29,12/28,12/27,12/16,12/24,09/20のつぶやき参照。 

※ 犬にエサを与える時、ベルを鳴らしてから与えるという事を繰り返していると、ベルを鳴らすだけで犬がよだれを垂らすようになるというもの。

2019/07/02

 

内言の五段階

 

「難しい問題はつぶやきながら」

 

ひらがなを覚え始めたた子どもは、大きな声を出しながら書きます。これを「外言」といい、内田(1989)は、黙って書ける「内言」までを図のように五段階(口頭でつくった物語を文字で書く時の段階)に分けています。

 

  第一段階 書く文字を最初に大きな声で言ってから書き始める

  第二段階 ささやき声で言ってから書く

  第三段階 難しい文字や言葉だけささやいてから書く

  第四段階 時々ささやいたり唇をうごかしたりしながらも比較的すらすら書く

  第五段階 黙ったまますらすらと書く

 

ただ、鵜呑みにする必要はありません。個人差もありますし、大人でも難しいことを考えるときや、集中しようとするときは「外言」する場合があるからです。むしろ「外言」を利用することを考える方がいいでしょう。

 

例えば、高学年でも、国語の問題に限らず、算数の文章題が解けないとき、考えようとすることを『外言』することによって解ける場合は多いのです。  

2019/07/01

 

リベリアの仕立師

 

「答えを書いてから文章を読む」

 

保護者が記述問題を教えようとしても、

① 子どもが書かない

② 子どもが答えを書いてもどこを直していいかわからない

③ なぜ正答なのかを説明しにくい

 

など、困難に当たります。手順通り教えるのは結構難しいのです。

 

そこで、

A まず答えを写させる

B その答えが本文中のどこを使っているかを探させる

C どんな問題かを読ませる

D 文章を該当箇所まで読ませる

 

この手順でやらせます。これは問題を解く時の「逆の手順」です。保護者は、子どもが間違った答えを書かないので直すのに苦労しなくてすみます。子どもの方は、どのようにして答えが作られるのかを無理なく学べます。

 

リベリアの仕立屋は、徒弟にまずはアイロンがけやボタン付けをやらせ、なれてきたら縫製をやらせ、さらになれてきたら生地の裁断をやらせるそうです。洋服やボタン付けで洋服の大まかな作りを知り、縫製の過程で服を作る布地の関係を理解してそのように布地を裁断する理由がわかり、最終的に自分で型紙を作り布地の裁断ができるそうです。Lave,Wenger(1991)は、この「逆手順が最も合理的」とし、実践的な作業のフィールドワークから「学習」を捕らえ直しています。

2019/06/30

 

いくら教えても成績が上がらないのはなぜか?

 

「『知識』と『情報』が対応していないから」

 

学習、勉強というと、「知識」を得ることのように思われがちです。しかし、目の前に現れた「情報」(例えば、国語のテスト問題)と、すでに自分の得ている「知識」が、どのように関係しているのかわからなければ、問題は解決できません。いくら教わっても成績が上がらないのは、「知識」を教わっているだけで、「知識」と「情報」をどのように結びつけるかを教わっていない、あるいは考えていないからです。グリーノ(Greeno,1991)は、「知識」と「情報」をどのように結びつけるかを学習に含めるべきだと指摘しています。

 

まずは「知識」を学習すること、次いで、蓄えた「知識」が、どのような「情報」(問題)に使えるのかということを学ぶ必要があります(※)。

 

※ このように、公式などの「知識」(内的世界)とテスト問題のような「情報」(外的世界)を対応させることを「マッピング」といい、熟達(成績が上がること)の一条件とされています。

2019/06/29

 

読解ルーティーン例

 

ここに挙げた例は、過去一緒に三ヶ月間勉強しながら、本人が気づいたことを、問題を解くときの順番に沿って私がまとめ直したものです。比較的優秀な生徒なので、内容がかなりつめこまれています。

 

やり方は人によって違うので、違う生徒なら違うルーティーン例になります。

 

練習→気づき→フィードバック→練習の循環が基本ですが、「気づき」がたくさんになった時にこうして整理すると本人だけの読解法ができあがります。これをもとにして入試問題に立ち向かっていきます

2019/06/28

 

幼児はトリリンガル

 

「苦労が多い」 

 

一次的ことばと二次的ことば(岡本,1985)という区別があります。一次的ことばは、本人と親、本人と友達などのように、本人と相手との間で使われることばです。文法的に正しくなくても通じるし、単語だけでも通じます。身振り手振りやアイコンタクトの助けも有効です。赤ちゃんとお母さんとの間のコミュニーションから始まり、「フロ、メシ、ネル」や、言わなくてもわかる老夫婦のあうんの呼吸まで、一生の間使用します。

 

二次的ことばというのは、第三者が介入します。幼児が、友達の気持ちを、先生に伝える場合は二次的言葉です。三人以上の会話だと、相手がいつも自分だけに注目しているわけではないので、一次的ことばだけでは、通用しません。不特定多数に向けて作文を書く、テストの答案を書くというのも二次的ことばです。二次的ことばは学習に関係します。

 

おおよその目安として、幼稚園までは一次的ことばが優勢で、小学校で集団生活をするにつれて徐々に二次的ことばを習得していきます。

 

それだけでなく、幼稚園から小学校へ移行するときには、日本語そのものも習得していかねばなりません。つまり、幼児や低学年の児童は、一次的ことば、二次的ことば、日本語と三つのことばを習得していかなければならないのでする。これは本人たちにとってはとてもつらいことだと岡本は言っています。

 

ことばの習得は保護者との間でもなされます。保護者としては、上記の意味で、幼児は苦労が多いのだということをわかってあげることが大切です。そして、具体的には、禁止や命令でことを運ぶのでなく、提案したり、くわしく言い直してあげたり、時間がかかっても自分で考えるようにしてあげたりすることが、こどもにとっては自然にストレスなくことばを、特に二次的ことばを習得していくことができます。

 

二次的ことばは、社会性に直結しています。「トリリンガル修行中で苦労が多い」子どもの将来のためにも、二次的言葉をスムーズに獲得する手伝いをしてあげてはいかがでしょうか?

2019/06/27 

 

子どものモチベーションを知ろう

 

「2要因モデル」 その2

 

比較的望ましいとされる「訓練志向」のモチベーションを具体的に紹介します。2要因モデルで(※1)は、学習内容の重要性を重視するモチベーションで、功利性は中程度です。内発的動機付け(※2)が比較的生まれやすい、モチベーションとされています(※3)。

 

○ 頭の訓練になるから勉強する

○ 学習の仕方を身につけるために勉強する

○ 合理的な考えができるようになるために勉強する

○ いろいろな面からものごとが考えられるようになるから勉強する

○ 勉強しないと、筋道だった考え方ができなくなる

○ 勉強しないと、頭の働きがおとろえてしまう

※1 2019/06/25のつぶやき参照

※2 2019/06/25のつぶやき参照

※3 もっとも望ましいとされる「充実志向」については、2019/06/19のつぶやき参照

 

2019/06/26

 

知っておくと得する豆知識 その8

 

「長目に書く」

 

入試や模試で、二、三行分の解答欄に答えを書く記述問題(字数制限なしの記述問題)が出ることがあります。入試では、灘、東大寺、星光、甲陽などですね。模試でも見かけます。

 

こういう問題は、長目に(二、三行分の空欄なら、四行分ぐらい)書いた方が得なことが多いですね。キーワードで採点しているケースがほとんどなので、長く書くほどキーワードが含まれる確率が増えるからです。このケースは比較的多く、これを実行するだけで点数が数点上がります。

 2019/06/25

 

子どものモチベーションを知ろう

 

「2要因モデル」 その1

 

勉強へのモチベーションとして図に6種類が示されています(※1)。

 

上の段3つのモチベーション(充実志向・訓練志向・実用志向)は、下の段3つのモチベーション(関係志向・自尊志向・報酬志向)に比べて、学習内容を重視します。この内容だからこそやりたい、と子どもが思うわけですね。逆に下の段だと、別に、この内容でなくてもいいわけです。

 

また、右に行くほど勉強を賞罰としてとらえています。やれば得をするし、やらなければ損をすると考えているのですね。左の方のモチベーションは学習に対する賞罰を意識していません。

 

どのモチベーションがすぐれているというわけではありませんが、左上に行くほど勉強に工夫をすることが知られており、これを内発的動機付け(※2)とよぶことがあります。

 

※1…二要因モデル(市川,1998)

※2…内発的動機付け(Grolnick, Ryan & Deci,1991)2019/06/24

2019/06/24

 

機械的勉強法 その1

 

(意外に気づいていない落とし穴)

 

何も考えずにひたすら何度も漢字を書く(※)、意味を調べなさいと言われたら辞書に出てくる最初の意味を書く、などという勉強をしていませんか? このような機械的な勉強法は弊害も大きいのです。

 

まず、考えるという習慣がつきにくくなります。考えなくてもできるわけですから。それから、勉強というものがつまらないものだと思うようになりがちです。肉体的な反復運動と似ていますからね。

 

この問題は根が深いので、一言で解決できるようなものではありませんが、それでも教える側としては、勉強とは考えることでありおもしろいことであると子供が感じるような教え方の工夫をする必要があることは確かです。この問題については今後書くこともあると思います。 

 

※まったく無意味なわけではありませんが、もっと効果的な方法があります。以下のつぶやきをご参照ください(2019/06/21,06/14,06/09,04/25;2018/11/01,10/30,1022) 

2019/06/23

 

試験の記述問題はどのようにして採点されているか

 

「案外…」

 

① 一部の入試では

 模範解答を作っておきます。採点時には、同じ場所で複数の教師が模範解答と答案とを比べて相談しながら、採点したり、模範解答を修正したりしていきます。模範解答で想定していなかった解答がでてくるからです。できるだけどの答案の意図も汲もうとします。

 

② 模試や一部の入試では

 模範解答を作り、その中のキーワード(それがないと減点される言葉)を決めておきます。キーワードを決めておくのは、アルバイトを含めて誰でも採点でき、また、複数の採点者が同じ場所にいなくても採点できるからです。模範解答で想定していなかった解答や、キーワードが入ってなくても正しい解答などは、×になったり減点されたりします。

 

2019/06/22

 

なぜ時間内に解けないのか

 

「ルーティーン化」

 

 

テストで時間切れになる子がいます。最初に知っておくべきことは、この時期に時間切れになってもかまわないということです。

 

大手の塾であれば秋頃からすべての授業で時間を計って練習問題をします。この練習によって時間内で問題を解くことができるようになります。

 

 

 

それでも、この時期にテストで時間切れになると、テスト結果がクラス分けや受講資格に影響するのではと気になることもあります。

 

そこで、どうしてもこの時期から時間内に解けるようにしたいと思われる方は、時間内に解けない理由を考えて、対策を練るようにしてもいいかもしれません。

 

 

 

私の経験では、時間内に解けないのは、「読むのがやや遅め」、「考えるのに時間がかかる」、「別のことを考えてしまう」の3パターンがあります。

 

 

 

「読むのがやや遅め」の場合、無理に早く読もうとしても内容が頭に入ってきません。即効性のある対策としては、2019/06/15のつぶやきをご参照ください。内容の理解が速くなり、結果的に読むのが速くなります。ちまたで言う「速読」に飛びつくのはあまりおすすめできません(※)。

 

 

 

「考えるのに時間がかかる」場合は、ルーティーン化という方法があります。読解問題は、「選択」「書き抜き」「記述」が主ですから、それぞれのパターンごとに、考える順序を決めておきます。

 

 

 

たとえば「選択」問題であれば、

 

 

 

① 傍線部を含む一文を読む

 

② わからなければ傍線部の前後一文ずつを読む

 

③ わからなければ傍線部を含む段落を読む

 

④ わからなければ選択肢を二つに分けて○×?をつけていく

 

⑤ 最も×が少ないものを選ぶ

 

 

 

などです。この手順は、その子の解き方や教わり方によって調整します。

 

 

 

「別のことを考えてしまう」場合は、性格的なものがあるので難しいですが、ただ、入試が近づくにつれて集中できるようになっていくので、本番の心配はいらないでしょう。

 

 

 

繰り返しになりますが、秋頃には時間練習に入り、時間内に解くことになれていきますので、現時点で時間内に解けないことを心配しすぎる必要はありません。また、ルーティーン化も慎重に行う必要があります。考えなくなる結果になることもあります。

 

時間を気にする前に、まずはよく考えること。それができてから時間内に解くことを考えるべきです。

 

 

 

※ 「速読」がおすすめできない理由はいずれ書こうと思います。一つだけあげると、本来ビジネス用の方法で、多数の資料中にあることがらがあるかないかを判断するためのものです。 

 

2019/06/15

 

先行オーガナイザーの具体的利用

 

「出典→最後の文→キーワード」

先行オーガナイザーとは、文章を読む前に与えられる概略のことです。先行オーガナイザーを与えることによって理解が進むことがわかっています((Ausbel,1960)(※1)。何度か触れましたので、読解での使い方をまとめます。下写真は、最難関レベル演習問題の文章部分です。
① 出典を読む(写真…「日本人としての自覚が国際性を高める」)
② 最後の文を読む(写真…  D  ~自分の根を深く深く追求することによって、他と交わることを考えるべきであろう。)
③ キーワードを探す(写真…「日本」※2)
①から、日本人であることを自分でみつめることが、かえって国際性を高めることになるという逆説的な主張であることが推察できます。②の「自分の根」は日本人しての自分をみつめること、「他と交わる」は国際性と考えれば、①と同じ主張をしていることが確認できます。③では、キーワードが「日本」なので、やはり日本人としての自覚についての主張であると推理できます。速ければ1分以内でここまでできます。
あとは、なぜそのような逆説的な主張が成り立つのかを考えながら本文を読めばよいので、かなり理解がしやすくなります。
※1 先行オーガナイザーがあると読みやすくなる根拠の理論として、文章を読むときには人間は自分の中にある知識の体系(スキーマ)を参照して読んでいるという理論があります(Bartllett 1932)。先行オーガナイザーによってスキーマから知識を呼び出し、それと照らし合わせて文章を読むということです。参考書を見ながら読むようなものですね。スキーマについては、2018/07/30のつぶやき(Back Number1内)等をご参照下さい。
※2 キーワードの探し方については、2019/06/13のつぶやきをご参照ください。

2019/06/14

 

漢字の書き取りが苦手な子には(低学年向け)

 

「漢字分解カード」

図のように、子どもが好きなことが多いパズルにします(下写真左と中央)。裏側に筆順などを書きます(下写真右)。数字の好きな子は筆順を見て組み立てさせるのもいいですね。Excelで作り、ケント紙などに印刷してはさみで切ります。あくまでも書くための前段階なので、書く練習にもうまくつなげて下さい。

                           

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2019/06/10

 

思い出し効果

 

「勉強の途中に自分で思い出してみる」

 

始めにテスト範囲のテキストを5分ほど読む(1000字程度)。次に、

 

① テキストをさらに3回読む(表ではssss)。

② テキストをさらに2回読み、その後にテキストの内容を自分で思い出して書き出す(表ではssst)。

③ テキストはもう読まない。思い出して書き出すことを3回行う(表ではsttt)※。

 

一週間後のテストが一番よかったのはどれでしょうか?

 

図にあるように、③が一番でした(Roediger & Karpicke,2006)。

 

この実験では、自信度も測られていて、できるという自信を一番持っていたのは①の勉強法を実施したグループの人たちでした。くり返し読むほど「大丈夫」という自信が生まれるのは直感的にもそう思えますが、実は効果が小さいのです。ただし、5分後にテストを行う場合にだけは、効果があります(表左)。

 

※ sはstudy,tはtestを表しています。

2019/05/21

 

連想記憶法

 

「できるだけたくさんのことばを連想する」

 

どの科目でも言えることです。生徒が、cleverという単語は、ゲームの登場人物なのですぐに覚えられたと言っていましたが、ここにも連想が働いています。例えば「枕草子」ということばを覚えるなら、自分の枕の色(緑、など)や、十二単(じゅうにひとえ)、「春はあけぼの…」ということばを連想してもいいです。

 

図は、連想したもの(上で言えば「緑」「十二単」「春はあけぼの…」)を思い出してから、覚えなければならない言葉(「枕草子」を思い出した割合です。連想した言葉が多いほど、覚えなければならない言葉を思い出す割合が高くなっています。

 

この記憶法と概念図法(2019/04/29のつぶやき)を組み合わせるのも面白いですね。

2019/06/21

 

漢字の意味を理解する大切さ

 

「読解力にも影響」

 

漢字を覚えるためには、意味も考えた方がよいということは私もつぶやいていますが、案外見過ごされがちなのは、読解に必要だということです。

 

日本人の成人は文字を読むときに、音ではなくて漢字の意味で理解しているという研究があります(廣瀬,2002)。つまり、「ユウシャノレツデン」と音で理解するるのでなく、「勇者の列伝」と漢字の意味で理解しているということです(最近の研究では、第一文字を理解してから第二文字を理解することがわかっています(水野、松井,2018))

 

これは、漢字の意味を考えずに書き方だけを覚える勉強をしていると、文章理解がおくれることを示唆しています。

 

漢字の意味を理解する勉強は、面倒くさいようですが、漢字そのものを覚えるためにも、読解力のためにも、とても大切なことです。

2019/06/20

 

動機付けの3水準

 

「まずは小さいところから」

 

動機付け(モチベーション)について私がつぶやいているのは、一般的学習に対する動機付けですが、

動機付けを3水準にわける研究があります。

 

① 全体的な動機付け…一般的学習

② 領域的な動機付け…ある教科・科目

③ 状況的な動機付け…特定の授業・特定の課題(Lalande,2011)

 

①のモチベーションを持っているのが望ましいと思いますが、③から②へ、②から①へと進んでいくケースもあります。

たとえば、ある先生の授業が好き(③)で、ある教科が得意になり(②)、勉強そのものに興味が出てくる(①)ということもよくあることです。(Lalande,2011)

 

まずは③や②から進めていくというのも有効な考え方です。

2019/06/18

 

将来のために勉強しなさいと言っても、子どもが勉強しない理由

 

 長い時間の後に来る、遙か遠い未来のために、なぜそんなに急ぐ必要がある? と考えて、むしろ後回しにしようとする。まして目の前におもしろいものごとがたくさんあるので(現実)、そちらに誘惑される。未来は現実ほどの刺激力指導力を持たない。それでも勉強させようとすれば、現実の報酬や罰を与えざるを得ないが、報酬や罰は過酷でありまた効果が薄い。とデューイは言っています(※1)。

 

 現代の認知科学による研究でも、このようなモチベーションの持たせ方(将来のために勉強させる。報酬や罰を与える)は、勉強方法の工夫と相関しないことがわかっています。報酬や罰の場合はそちらにばかり気が行って、たとえば「しかられなきゃいいや」と、適当にやってしまうことが多いようです。

 

 企業が成果主義を導入したものの、失敗しないように、給料が減らないようにと考える自己中心的な仕事をする社員が増えたため、結果的に思ったような成果が上がらなかったという話も同じ仕組みのようです(※2)。

 

※1 Dewey,"Democracy and Education" chap.5

※2 『学ぶ意欲の心理学』市川伸一 第一章

2019/06/17

 

よくある言い訳 3つ

 

国語はどうしたらあがりますかという保護者の質問に対して、塾講師がよく言ってことばは、「すぐには力がつきにくいので長い目で」というものです(※1)。

 

「授業中のテストや応答はよくできているので、もう少し様子を見てあげてください」というのもあります。

 

 もう少し誠実なのは「漢字と語句でとれていないところがまだあるので、まずはそこを」というものです(※2)。

 

 私は方略を一つお教えします。男子より女子の方が読解の成績がいいことは知られていますが、女子が方略を好むという研究があることはほどんど知られていません。この事実をお話しした上で、その子が男子なら(ほとんどの場合が男子)合うと思われる方略を一つ教えて様子を見ます。

 

※1 それを信じて力がつくのを待っていたら最後までつかなかったという笑えない話を聞いたことがあります。意地の悪い見方をすれば、保護者も直前になると、もう国語について聞こうと思わなくなるので、長持ちする、いいわけなのです。

※2 ただし読解力の問題に対して答えていません。

2019/06/19

 

望ましい勉強の動機付けとは

 

「幼児のころのもの」

 

勉強する動機(モチベーション)として、「充実志向」というものがあります。安定した結果が出るとされて発表された1995年度の心理尺度によると、

 

・新しいことを知りたい

・いろいろな知識を身につけた人になりたい

・わかること自体がおもしろい

・何かができるようになっていくことは楽しい

・勉強すると充実感がある

・わからないことはそのままにしておきたくない

 

以上のようなモチベーションは勉強方法の工夫と相関があるそうです。結果的に成績もよくなるでしょう。

 

この6つのモチベーションのほとんどは、幼児のころにはみんな持っていますよね。

それが年齢が上がるにつれて少なくなっていくとしたら、教育方法を見直す必要があるかもしれません。

 

ちなみに、勉強方法の工夫と相関がないモチベーションの代表は、「報酬志向」というもので、

 

・成績がよければこづかいやほうびがもらえる

・成績がいいと親や先生にほめてもらえる

・学歴があれば大人になって経済的によい生活ができる

・学歴がいい方が社会に出て得なことが多い

・勉強しないと親や先生にしかられる

・学歴がよくないと、おとなになっていい仕事がない

 

だそうです。

  

これらがいけないとはいいませんが、これだけだと十分でないことが多いでしょう。

2019/06/16

 

保護者が読解を教える時 その22 

 

「○つけをしない」 

高学年になるとメタ認知(※)が発達して自分を客観的に見られるようになります。○つけをしてあげていた保護者は、このころになると自分で○つけをするように指導したほうがいいですね。受け身から能動へ転換することによって自律的な学習姿勢が生まれ、飛躍的に学力が伸びます。
具体的には、まず自分で○つけをしてもらう。ここで終わると、まだ恣意的な○つけに終わってしまう場合もあるので、それを見て、なぜ○なのか、あるいは、なぜ×なのか、どこがちがうのかを説明してもらうのです。まずは自分の責任で○つけをすることによって、問題を正解すると言うことがどういうことなのかがわかってきます。
これは、○つけをしてあげて、ここがちがうよ、などと言って「あげる」こととは、全然違うことなのです。
※ メタ認知…自分自身の知的活動等を客観的に見ること(Flavell, 1987)学業成果と関連がある。 

2019/06/12

 

勉強好きな子にするには その3(小学校入学時) 

 

「易しすぎることも難しすぎることも、し過ぎない」

前項(2019/06/03)までは幼児期についてつぶやきました。小学校に入学すると授業を中心に多くの情報が入ってきますが、よく理解できなければ、面白いとは思えず、勉強が好きにはなりません。
したがって、この時期に教師や保護者が留意すべきことは、わかりすく教えることです。ただし、単にわかりやすいだけでなく、がんばれば分かる程度のレベルのことを教える必要があります。
というのは、簡単にわかりすぎると知的好奇心を刺激しないからです。たとえ興味や関心がないことでも、内容が理解できればやがて興味や関心が生まれます((Allport, 1937))。 

 

2019/06/13

 

キーワードの探し方

 

「三回以上出ることばを見つける」

キーワードに印をつけなさいと教えられることがあります。素直に言うことを聞いて、文章中印だらけにしてしまい、結局何のことだか分からなくなる子が出てきます。
生徒によっては私もキーワードに印をつけさせることがありますが、そのコツは、「パッと見、三回以上でてくることば」です。
キーワードを見つけるのは、難しいと感じる文章を理解しやすくするためです(※)。かと言って時間をかけるとテストにたいおうできません。そこで、「パッと見」で決めるのです。
たいていの文章は「三回以上」でてくる言葉がキーワードです。三回未満のキーワードをさがすと、たくさんありすぎて時間がかかり、テストに対応するという目的から言うと、本末転倒です。むしろ探さない方がいいでしょう。
※課題を読む前に、あらかじめ概略を与える「先行オーガナイザー(Ausbel,1960)」の利用です。先行オーガナイザーについては、2019/02/15のつぶやきをご参照下さい。

 

2019/06/11

 

塾のテストはどのようにして作られているか

 

「絶対視しない」

 

① 講師が分担して作っている塾もあります。主に大手です。テスト一つにつき作成担当一人、チェック担当二人が標準です。2019/03/21のつぶやきでも触れましたが、講師は授業だけをしているのでないから大変ですね。教える能力と作る能力はちがうので、作成者によって当たり外れがあります。かなり実戦的な問題に仕上がる場合もあれば、変な問題になる場合もあります。記述問題が多いテスト(3以上)だと講師が作っているケースが多いと考えていいでしょう。

 

② 塾とは別のテスト作成業者がつくっているところもあります。小さい塾のテストは100%そうです。大手でも、その塾の名前になっているけれど、業者が作っているところがあります。テストの当たり外れは少ないですが、かゆいところに手が届くようなテストは少ないです。記号が多く記述が少ない(1~2)テストなら業者が作っているケースが多いですね。

 

塾のテストと言っても欠点もありミスもあります。絶対視しないで、あくまで途中経過と割り切って参考程度にするのがいいと思います。一番大切なのは、子どもと志望校をよく知ることです。

2019/06/09

 

 暗記には(低~中学年向け)

 

「筆箱に小さなカードを入れる」

 

漢字などの暗記ものをなかなか覚えてくれないというときには2~3㎝のカードをつくって筆箱やポケットに入れておきます。いつでもどこでも確認できます。「分散効果」(※1)にもかなっているので効率的。子どもはカード類が好きなので、可愛いくオリジナルなものをつくってあげるといいです。上は一例で、「教育漢字なのに学校で習わない読み」(※2)を中心にしたものです(一部)。裏側に答えを書きこませます。

 

※1 同じ時間をかけて記憶するなら、1度でするよりも何回にも分けた方が覚えるという効果(Toyota,2012;Ebbinghaus,1885)。

※2 教育漢字なのに教えない漢字があります。2019/06/01のつぶやき参照。

2019/06/08

 

自己説明効果

 

「どの科目でも」

 

例えば、「体のつくり」は小学校6年で学習します。

 

テキスト:心臓は真ん中で二つに分かれています。右側は血液を肺に送り出し、左側は血液を体のほかのところに送り出しています。

 

生徒:「二つに分かれているから、血液が混ざらない。それで右からは肺に、左からは体に。だから、心臓はかべみたいなしきりがある…しきりがあるから、血液が混ざらない。」

 

上記のように、まず、テキストを一文ずつ示します。生徒は、それぞれの文で「どんな新しいことをならったのか」、「前の内容とどうつながるのか」、「自分が新しく理解できたことはどんなことか」、などを考えながら読み、考えたことを声に出します(自己説明)。この方法と比較するために、テキストをくり返し読むだけの方法も試されました。すると、学習後のテスト結果は、「自己説明」した生徒の方が、くり返しテキストを読んだだけの生徒よりも、よかったのです(Chi et al.,1994)。

 

どの科目でも、「何度も読みなさい」と言うよりも、この方法を教えてあげた方が成績は上がるでしょう。保護者がしてあげやすいことですので、お試し下さい。

 

ただし、効果がある「自己説明」とそうでない「自己説明」とがあります。

 

 効果がある「自己説明」…テキストに書かれていないことを自分で推理したり例を考えたりする説明(上の例では「血液が混ざらない」「「かべみたいなしきり」)

 

 効果が薄い「自己説明」…書かれたことを単にくり返すだけの説明 

2019/06/07

 

出題のミスをどうして見分けるか

 

出題のミスは結構あります。よくニュースで報道されるように、大学の先生方が一年かけてつくった入試問題でもミスがあります。まして、毎月あるいは毎週、テストを作成していればミスが出るのはしかたがないでしょう。ただ、かわいそうなのは子どもです。正解なのに「まちがい」と言われ、考え方を否定されるわけですから。
算数・理科・社会のミスは少ないです。計算や資料で確かめられるので、ミスがあったとしてもすぐに気がついて修正されたり、あとから指摘されて訂正されたりします。
けれど、国語は確かめにくいので、「そんなものか」ですまされて、ミスだと気がつかれないまま終わってしまいます。
① 選択肢問題のミスに気がつく方法…正答率を見ます。20パーセント以下であればミスの可能性がかなり高いですね(※1)。
② 書き抜き問題のミスに気がつく方法…別解があれば、ミスです。
③ 記述問題のミスに気がつく方法…本人の答案と解答例を照らし合わせて、矛盾があ
ればミスです(採点ミス)。多いですね。
ミスに気がついたら、子どもには、この考え方でもいいことをさりげなく伝えてあげましょう。
    
(※1)簡単な問題であれば、正答率が70%を越えます。少し難しい問題であれば、非常に紛らわしい選択肢がひとつあります。だから、正解を選ぶ生徒と紛らわしい選択肢を選ぶ生徒に分かれるので、正答率は50%前後になるはずです。また、四つとも紛らわしい選択肢であるとすれば、正答率は25%(4分の1)前後になるはずです。したがって、正答率が20%を切るケースは、ほとんどの生徒がある選択肢Aを選んでいる(本当はこれが正解)のに、別の答えBが正解とされている場合です。ただ、ミスの数は少なくて、一年に10個以内だと思います。

2019/06/06

 

勉強好きな子にするにはその3

 

「3、4歳までは、あれこれとやってみたがるのが吉兆」

 

 

幼児の段階ではつぎつぎと興味の対象が変わるかも知れませんが、それは知的好奇心が育まれている証拠なので心配はいりません。

 

将棋の藤井聡太七段もカバンつくりやパズルなど、色々なものに関心を持っていたそうです。

 

 

 

4、5歳になると、その子の興味の対象は定まってきます。前述の藤井七段の場合は、将棋だったわけですが、子どもは自分が興味を持った対象を掘り下げる形で知的能力を育てていきます。この頃からは、あれこれと色々なことをするより、一つのことに集中した方が、勉強もできるようになるでしょう。また、この頃の関心が、一生の関心、仕事に関連するようになると言われています。

2019/06/03

 

勉強好きな子にするには その2

 

「質問攻撃に応答する」

幼児期に知的好奇心が芽生えると、「どうして?」「どうして?」の質問攻撃が始まります。はぐらかさずに自分の答えられる範囲で答えてあげるのがいいとされています。知的好奇心を育むことが学習意欲を産むからです(『学習心理学』太田信夫・中條和光)。

2019/06/04

 

保護者が教える時

 

「教えさせる」

 

次の①~③の勉強法では、①が、テスト結果が最もよくなります。

 

① テキストの内容をだれかに説明する。

② テキストの内容をビデオに向かって説明する。

③ テキストをノートなどにまとめる(説明はしない)。

 

「教え手学習効果」と呼ばれています(伊藤・垣花,2009)。

 

さらに、

a 聞き手が「わからない」という様子を示し、それに応じて説明をする。

b 話し言葉でなく書き言葉で説明する。

c 仲間ではなく他人に説明する。

d 言葉だけでなく図も使う。

e 自分の言葉や図を、考えたり見直したりする時間の余裕をあたえる。

f 他人との交流がある。

g 質問を受ける時間を設定する。

 

以上の6点が、さらに効果を上げるとされています(伊藤,2006)。

 

保護者が教える時にぴったりなので、お試し下さい。cのみ、保護者向きではありませんが、2018/10/03でご紹介した「仮想的教示」を使い、子どもが「先生役」、保護者が「生徒役」をすればいいでしょう。また、年少の子どもには、2018/11/22でご紹介した「年下の子に教える」手法を使ってもいいでしょう。 

 

2019/06/03

 

勉強好きな子にするには その2

 

「質問攻撃に応答する」

幼児期に知的好奇心が芽生えると、「どうして?」「どうして?」の質問攻撃が始まります。はぐらかさずに自分の答えられる範囲で答えてあげるのがいいとされています。知的好奇心を育むことが学習意欲を産むからです(『学習心理学』太田信夫・中條和光)。

2019/06/01

 

知っておくと得する豆知識 その8 

 

小学校学習漢字は、学校で全部教わるわけではない。

 

一年生を例にとりましょう。「花」は一年生学習漢字です。書き方、書き順と「はな」という読み方は学校で教えますが、「か」という読み方は教えません。したがって、「花だんにうえたチューリップがさきました」という文を、一、年生に読ませると「はなだん」と読みます。成長するにつれて読めるようになることに任せられているのですね。教わらない読みだけれど、小学校を卒業するときには習ったことになっています。他の漢字についても同じです。

 

全部教えると負担が大きいからでしょうが、少し問題ですね。

 

(習った読みが読めるようになった頃合いに)お家で教えてあげた方がいいでしょう。教科書の末尾を読めば、どの読みを習っていないかがわかります。 

2019/05/31

 

勉強好きな子にするには その1

 

「アタッチメント」

 

乳幼児期(幼稚園まで)には

① 親との間に十分なきずながあること

② 旺盛な好奇心があること

 

の二点が大切です。

 

親は母親であることが多いですが、親が子どもにとって信頼できる存在であり、自分を愛してくれている存在であることを、子どもが十分に感じで育つことが大切です。これをアタッチメントといいます。

 

安定したアタッチメントがあると、子どもは(母)親を、いつでも帰り着くことができる「安全基地」のようにして、自分の周囲を好奇心のおもむくままに探索していきます。このことが学習意欲につながります(櫻井・佐藤,2013)。

2019/05/29

 

どのような学習環境がよいのか?

 

「教え方と評価が合理的で優しく、サポートがある環境」

 

前日に学習環境の大切さに触れました。

 

適当な温度と湿度がある、危険がない、落ち着けるなどの物理的環境はもちろんですが、それ以外の環境は大切なわりに見のがされがちなので、子どもが勉強に行き詰まっているときには以下の点を見直してみるといいと思います。

 

① 教授システム

 ⅰ その子の成長度に合った教え方      

      a 年齢に合った教え方…低学年~中学年であれば、教師主導。中学年以降は、生徒の自立を促す指導(例えば、中学年以降にプレッシャーを与え、やり方をたくさん覚えさせて、自ら考えさせない指導法は、能力が伸びにくく、精神的にも不健康(Grolnick & Ryan,1987)。

      b 個人にあった教え方…思考スタイル(※1)や認知スタイル(※2)に合わせた指導。 

 ⅱ 教師と生徒数のバランス。

 ⅲ 教師の専門性。

 

② 評価システム…その子ががんばったことが反映される評価システム。

  (例えば、偏差値は相対評価なので、本人のがんばりが反映されやすいとは言えないので注意が必要です。前項で述べたように、がんばっても評価につながらないと、やる気を失いかねません)

 

③ サポート体制…サポートしてくれる人(保護者・教師・友人)がいる。

  思考スタイル(※)が「独行型」の子は、サポートは控えめに(困った時などにアドバイスを)するのがよく、「共同型」の子は、友人といっしょに考える方が効果があることもあります(ただし、保護者や教師が何でもかんでも教え込むのはNG)。友人との競争や励まし合いが有効であることも多いです。

 

※1 思考スタイル…人それぞれにちがった、考え方のスタイルのこと。思考スタイルが合うと能力との相乗効果が見られるので、近年、思考スタイルに合わせた指導が模索されている。2019/04/17,2019/04/22のつぶやき参照。

 

※2 認知スタイル…2019/04/23のつぶやき参照。

 2019/05/28

 

「やる気がない」は性格ではない。

 

「まず学習環境を」

 

やる気がない子に対して、「根性がない」とか、「性格がだらしない」とか、いうように本人の精神性に結びつける人がいますが、それは短絡的です。
近年の認知的動機付け理論によると、無気力は後天的に環境とのやりとりの中で「学習」するものであるとされていますSeligman(1975)。これは、生まれつき無気力な子どもはいないということを示唆しています。
どの子も最初は意欲的に取り組んだにちがいありません。けれど、やってもやってもうまくいかない、わからないという経験のくり返しをさせる「学習環境」に置かれると、ついには無気力にならざるを得なかったのです。
したがって、「やる気のない子」に対しては、根性とか精神性を取り上げる前に、その子をとりまく学習環境、例えば「教え方」や「評価・フィードバックのしかた」が、どれくらい合理的であり、その子にやさしいものであるかをチェックすることが大切です。
そのチェックなしに、いくらがんばってもうまくいかない、認めてもらえないという学習環境におかれてきた子に対して、「がんばれ」というのは酷な話です。一番つらいのは本人なのです。 

2019/05/27

 

子どもを勉強嫌いにする最も効果的な方法

 

自分の周りの環境を思う通りに作り変えていきたいのが人間です。だからこそ進歩したのですが、保護者や教師が子どもに接するときには注意が必要です。保護者や指導者にとって、「自分の周りの環境」とは、この場合は「子ども」だからです。
子どもが勉強しようと思っているときに、「勉強しなさい」と言うのが、勉強嫌いにする最も効果的な方法です。にも関わらず、つい言ってしまうのは、「自分が勉強しなさいと言ったから、勉強しているな、よしよし。」と、子ども(環境)をコントロールしている実感をどこかで求めているからです。
けれど、子どもまた人間なので、環境を思う通りにコントロールしたいという気持ちがあります。したがって、目に見える形であるかどうかは別にして、どこかで対立心が生まれます。教育とは、ある意味で教育者と学習者のせめぎ合いの場なのです。
保護者や教師は、「子どものためを思えばこそ」と思っていますが、その意識の底に他者をコントロールしたいという気持ちがあるかどうかは、本人にもなかなかわかりにくいのです。
仕事をしているとこのケースの保護者に出会うことがままあります。また、保護者だけでなく教育者自身(私も含めて)も常に振り返る必要があることなのです。
参照 『学習を支える認知カウンセリング 心理学と教育の新たな接点』市川伸一 ブレーン出版

2019/05/24

 

間違いを消す子

 

「気持ちを考えてあげて」

すぐに間違いを消す子どもは多く見られます。
「見直しができないからと」言って消さないようにと指導することはもちろん重要です。
しかし、間違いを消そうとする子どもの気持ち、なぜ間違いを消そうとするのかということを考えることはより重要です。
人は誰でも、自分が有能であることを自分自身にも他人にも見せたいという傾向があり、それが勉強の動機になっていることもあります(Covington & Beery,1976;Nicholls,1984)。間違いをすぐに消すというのは、自分が有能であるという肯定的な自己イメージを保つための防衛反応でもあり、誰にでもあることです。
ただし、気を付ける必要があることでもあります。
「記述がどうも苦手だ」という6年生がいるとします。でも、この子は「他人と比較すると、自分はよくできる方だ」と思っている。実際、5年生までは(あるいは、4年生までは)できる方だった。でも、6年になるとどうも調子が悪い。今日やった記述問題も、どう書いてよいかわからなかった。それでもがんばって書いてみたが、先生の模範解答と照らし合わせてみると、やっぱり間違っている。でも、間違いはカッコ悪いし、どこを直していいかわからない。こういうことをたいていは無意識のうちに考えて、自分の答案を消して正解を書き写します。そしてまた無意識のうちに「自分はできる」と思い続ける。同じようなことは算数でもおこります。
このような行き過ぎた防衛反応が続くと、正しい学習の邪魔になり続け、分からないことが雪だるまのようにふくらんでいきます。それでも「自分はできる」という思いに固執すると、ついには、一切努力をさしひかえることによって「やればできるんだけど、やっていなんだから今はできなくてもしかたない」という作戦をとるようになり、周囲から見ると現実逃避的な無気力な子どもになります。
これは極端な例です。しかし、間違いを消すという行為が自分を肯定しようとする気持ちから生まれていることを知っていれば、自己肯定的なイメージを保たせつつアドバイスをし、正しい学習方法に導くことが可能になるのです。それが本当に子どもに寄り添った教え方です。

2019/05/23

 

万能暗記法

 

「適切精緻化文で!」

 

さくらんぼ生産量一位の県を覚えるとします。「山形県」ですね。

 

① さくらんぼの生産量一位は「山形県」。(基本文)

② すずしいところでとれるさくらんぼの生産量一位は「山形県」。(適切精緻化文)

③ パフェによくついているさくらんぼの生産量一位は「山形県」。(不適切精緻化文)

 

①~③の例文なら、「山形県」を最もよく覚えられるのは②で、「山形県」を最も覚えないのが③です(Stein et al,1978※)。

 

情報「量」だけが記憶を左右するなら、②と③は同じ長さなので、同じように覚えられるはずです。そして①が最下位のはずです。

そうならないのは、②は、「すずしい」と「山形県」の間に関係性があるからです。③は、「パフェ」と「山形県」の間には何の関係もありません。

 

つまり、情報の「質」も記憶を左右するのです。暗記物は、②のように情報の量と質がそろった「適切精緻化文」で覚えるのがいいです。

 

 

社会を例にとりましたが、漢字、語句、ことわざ・慣用句、理科の暗記次項など、すべてに通じることです。暗記用の参考書や問題集を選ぶなら、例文の量と質をチェックしましょう。よいのがなければ作ってあげてもいいですね。

 

※Stein et al,1978の用いた文例

① 背の高い男がクラッカーを買った(The tall man purchased the crackers.)。「基本文」

② 背の高い男が一番上の棚に置いてあるクラッカーを買った(The tall man purchased the crackers that were on the top shelf.)。「適切精緻化文」

③ 背の高い男が特価のクラッカーを買った(The tall man purchased the crackers that were on sale.)。「不適切精緻化文」

 

「背の高い(tall)}という言葉を思い出すテストをすると、②を一番覚え、③が一番覚えられなかった。

 

②は、「背の高い」と「一番上の棚」には関係がある『適切精緻化文』だが、③は「背の高い」と「特価」には何の関係もない『不適切精緻化文』なのが理由。 

2019/05/22

 

一斉授業の塾か、個別指導の塾か その10

 

「原則は一斉授業の塾」

 

まったく塾に行かない生徒と、一斉授業の塾で対策をした生徒とでは明らかな差があります。しかし、大手塾どうしの優劣はないと考えていいでしょう(※1)。また、同じ塾であれば原則的に同じことを教えます。従って、どこであれ大手の塾に通っている生徒であれば差はなく、通っていない生徒より有利だということにすぎません。

 

それでも様々な原因により差は生まれます。そうした差が生まれて補強したいとき(あるいはさらに差を広げたいとき※2)に、個別指導や家庭教師に頼る(※3)というのが原則でしょう。初めから個別指導の塾で全科目教わるというのは得策ではありません。スケールメリットが失われるため、マイナス面が大きいからです。マイナス面については、2019/01/10,2019,01/14のつぶやきをご参照下さい。 

 

※1 多少のやり方の違い、生徒にとっての向き不向きはあります。また、ある中学校に多数の合格者が通っているかどうかという違いはあります。しかし、これも塾の優劣を決めるわけではありません。そういう生徒がたくさん集まっているということを示しているだけで、そういう生徒同士にとっては切磋琢磨の意義はありますが、他の生徒にとってその塾が有利だと言うことを示しているわけではないし、教え方が優れているというわけではありません。

 

※2 ただ、国語は点差が開きにくいので、国語で差を広げるというのは得策ではないでしょう。  

 

※3 大手塾も個別に対応するようにしているところが多いですが、まだ十分とはいえません。これについては2019/01/14,2019/01/23のつぶやきをご参照下さい。

 

2019/05/20

 

 『できない』の第三段階には

 

「主に練習を」

 

 

第三段階は、やり方を使おうとしているが、うまくできない場合です(Bjorklund,Miller,Coyle & Slawinski;1997より)。二段階が主に「理解」が足りていないのですが、三段階は、どちらかというと「練習量」が足りていません。ただ、練習を増やすだけでは十分でなく、仕事算なら仕事算の仕組み(理論)に常に立ち返ること(理論へのフィードバック)も、応用力をつけるためにはたいせつです。 

2019/05/18

 

『できない』の第二段階には

 

「コスト軽減、その他の工夫」

 

『できない』の第二段階は、やり方は教わっているが、「そのやり方を使いなさい」と言われないと使えない状態です(一昨日参照Bjorklund,Miller,Coyle & Slawinski;1997)。
いくつかの理由がありますが、一つは、「コスト感」です。つまり、めんどうくさく感じるのですね。例えば、接続詞に印をつけなさいとか、線を引きなさいとか言われても、それをコストと感じると実行しません。
また、これに関連して、「そのやり方に効果があることを信じていない」ということもあります。上の例で言えば、接続詞に印をつけたからといって、本当に問題が解けるのか? という疑問を心中に持っていれば、実行しません(市川,1993)。
上記のような「コスト感」や「不信」がある場合は、効果があることをはっきり示す必要があります。具体的な方法については、
2019/328のつぶやきをご参照下さい。
次に、算数などでよくあるのですが、「コスト感」はないけれども、目の前の問題が習ったやり方を使うのだとわからないということがあります。算数で言えば、過不足算をならったけれども、目の前の問題が過不足算であることがわからない場合などが、これにあたります。
 この場合、基本的に「理解」が足りていません。もう一度教わったり、たくさんの問題を解いたりすることも解決に近づく方法です。それ以外の工夫としては、つぶやき(2018/12/23,12/27,12/28,12/29など)をご参照下さい。

2019/05/17

 

『できない』の第一段階には

 

「やり方を教える」

 

一昨日に、『できない』状態の三段階についてつぶやきました。この中で、第一段階にいるのであれば、やり方を教える必要があります(Bjorklund,Miller,Coyle & Slawinski;1997)。

 

国語の文章題の読み方については、過去のつぶやきも参考になるかも知れません(※1)。

 

算数や、理科の物理、化学分野の一部は、塾などでやり方を習います。他の科目については、やはり過去のつぶやきもご参照下さい(※2)

 

(※1)低学年の読解(2018年の7/21,2019年の4/3、他)。高学年の読解(2018年の6/30,8/25,9/30,10/8,10/14,10/15、他、2019年の1/19,1/25,1/27,、他。)漢字(2018年の8/22,9/10,11/1,2019年の5/14、他。)

 

(※2)(2018年の6/21,7/28、2019年の4/29,5/3,5/5、他。)

2019/05/15

 

なぜ問題が解けないのか?

 

「『できない』の三段階を知る」

 

どの科目でも、なかなか問題が解けるようにならないという悩みに出会うことがあります。やり方(方略)をキーワードにして考えてみると、

第一段階…やり方を知らない。算数で言えば、例えば「ニュートン算」を知らないからできない、ということがあります。国語で言えば、文章の読み方を知らないからできない、あるいは、時間がかかるなどということがあります。

 

第二段階…やり方は知っているが、そのやり方を使いなさいと言われないと使えない段階です。例えば、「ニュートン算」を習っていても、目前の問題が「ニュートン算」であるとわからない、といった状態です。もう少し初歩の段階では、かけ算を使いなさいと言われないと、足し算だけを使ってしまうという状態です。

 

第三段階…やり方を使っても、うまく使いこなせない状態です。「ニュートン算」や「かけ算」を使っても、うまく正解に導けない場合が、これに当たります。

(以上Bjorklund,Miller,Coyle & Slawinski;1997より)

 

生徒が今どの段階なのかを知ることによって、適切に教えることができます。

2019/05/14

 

漢字の覚え方

 

「『意味』を考えると3倍覚える」

 

 

左のグラフは、覚え方による再生率(その言葉や字を覚える率)を示しています。『意味』による覚え方の再生率(黒い部分)が『形態』や『音韻』の覚え方による再生率の約3倍になっています(Craik & Tulving;1975)。

 

例えば、「沿」(6年の漢字)を、

①「さんずい」に「はち」「くち」と覚えるのは、『形態』による覚え方です。

 

②「円」と同じ「エン」と覚えると、『音韻』による覚え方です。この漢字に限らず、熟語を書くときに、意味を考えずに音だけ合っている漢字を書く子どもさんが多いですが、その子はこの覚え方をしています。

 

③「海沿い」や「沿岸漁業」などの、「水のそば」と覚えるのが「意味」による覚え方です。

 

①と②の覚え方を複合して使っていることもありますが、③の「意味」を考えるようにすると、よりいいでしょう。

2019/05/13

 

気がつきにくいこと

 

 

「大きく広く」

 

 

大人にとって大きさは読解にほとんど影響しません(新聞の様々な大きさの字を同じように理解できます※)が、

年齢が下がるに従って、「紙の大きさ、字の大きさ、字間、行間」が影響します。紙や字が小さく、字間、行間が狭いほど、読解力が下がるのです。

 

入塾テストに合格できるように教えてほしいと言われる時があります。ある大手塾は、テストが「小さく、狭い」ので、大きめに編集し直して練習し、徐々に「小さく、狭く」していくと、解けるようになります。

 

中学入試でも、理解のある学校は「大きく広く」した問題を出しています。具体的には、A3用紙に大きめの印字を使っています。

学習塾はほとんど一回り小さいB4を使っています(経費の問題もあるのでしょう)。会社などはさらに小さいA4です。

 

どうしてできないのだろう? と思われるとき、「大きく広く」してあげてみてください。他に原因があることももちろんありますが、案外できるようになることもあります。

 

※ 大人への影響については、宮崎,湊&大橋;1987参照。

 

2019/05/08

 

間接プライミング効果

 

「新しいことを学ぶ前に、関係のあることを思い出させておく」

 

 

 

漢字の書き取りを①、②の二通りの出し方で出すとします(3年生の漢字。カナカナ部分を漢字に直す。aの答え合わせをした後、bの問題を出す。)。

① a たて一「レツ」に並ぶ。 b ごろんと「ヨコ」になる。   

②  a 先生に「ア」てられる。 b ごろんと「ヨコ」になる。

 

①の出し方のほうが、「横」という漢字が早く書けたり早く思い出せたりします。aで「たて」という言葉を見ているからです。

 

このように、先に意味的に関係のあることばを示しておく(aの場合)と、関係のないことばが示されている時(bの場合)と比べて、明らかに反応が早くなるのです(理論的な説明は下方にあります)。

 

例えば、漢字の問題を作ってあげるときに、関係のある例文を順番に作ってあげて、逆からやらせるというような利用法が考えられます。

 

また、学習すべき新しいことがらと関係のあることをあらかじめ思い出させておくと、新しいことがらが学びやすくなるということを示唆しているので、どの科目でも、学習内容や授業、教材の配列によって、学習効果が変わるということになります。

 

この「つぶやき」で言えば、先に文章の題を読ませる手法(2019/02/15)、話題について先に知っていることを聞いてみる手法(2019/04/04)、漢字の例文の工夫(2018/11/01)などは、この効果と整合性がとれています。

 

【理論的説明】

  知識や記憶は下の図のようなネットワークで結びついていると考えられています。例えば、図の中の「乗り物」という言葉を見たり聞いたりする(活性化する)と、その活性化のエネルギーがリンク(線)を伝って「車」や「バス」、あるいは「通り」という言葉にも広がっていきます。「車」や「バス」は意味が近いのでリンクが短く、「通り」は意味が少し遠いのでリンクが長く表してあります。したがって、「たて」という言葉(概念)が活性化されると、そのエネルギーがリンクを伝って「よこ」という言葉(概念)も活性化水準が高められ、処理が促進されます。

2019/05/07

 

漢字の勉強

 

「読解にも役立つように」

 

漢字の形だけを覚えている子がとても多いですね。無理もないかも知れません。画数、書き順、バランス、トメハネなどの「形」を中心に大人が指導するからです。当の大人が漢字を書くときは、書き順やトメハネがあいまいなのですから皮肉なものです。

 

中学入試では、画数やトメハネがチェックされる(書き順はほとんど出題されない)ので、私も教えます(高校以上の入試ではチェックされない)が、それだけでは漢字の書き取りにしか役立ちません。

 

やるからにはもっと役立てたいですね。単に形を覚えるだけでなく、部首を中心にして漢字の意味を覚えた方がいいでしょう。

① 読解に役立つ…知らないことばがでてきても、漢字の意味から類推して読み進めることができます。例:「備忘録」ということばに出会った時、忘れることに備えるための記録だということがわかる。また、「蓄           積」ということばに出会った時、「積」がつみあげることだと知っていれば、大体の意味がわかる。「庁           舎」ということばに出会った時、「まだれ」が建物を意味することを知っていれば大体の意味がわかる、など。

② 漢字の書き取りにも役立つ。 例:「義」が「意味」を表すと知っていれば、「同音異義語」(音が同じで意味が異なる語)、「講義」(意味を講ずる(教える))と考えて、漢字が書ける。

 

意味を覚えることによって国語力が広がります。中学年までに習慣づけたいところです。

2019/05/06

 

保護者の出番

 

「子どもが行き詰まったときに教える」

 

1 やり方を教える→ひたすら問題を解く

2 ひたすら問題を解く→やり方を教える→ひたすら問題を解く

 

例えば、合計時間が1時間というように、かかる時間が同じなら2の方が「自己効力感」と「持続性」が高まることが研究で示されました(市村&楠見2018)。

 

「自己効力感」とは、自分はできるという自信のこと(Bandura,1977)で、学習する上で最も大切なことの一つとされています。

 

① 「学校や塾で習う→宿題(復習)をする」

② 学校や塾で習う→「宿題(復習)をする→やり方を教える→宿題(復習)を続ける」

 

「」の部分が上の1、2と同じです。宿題を自力でやれとほったらかしにするのでなく、②の方が良い結果を生むことがわかります。

 

やり方を教えるタイミングは、解答者が行き詰まった時です。保護者なら見ていて分かるときが多いと思います。ある意味で、保護者だからこそ手伝えるのです。

 

また、(家庭)教師であれば、上記のタイミングの重要性を経験的に知っている人が優秀な(家庭)教師だと言えます。

 

上記研究では、ドリル形式の問題(練習問題)について言えることだとし、どの勉強にもあてはまるかは、今後の研究課題と断っています。ただ、学校や塾は習ったことの復習問題を出しやすいので、家庭学習にこの研究が活かせそうですね。

2019/05/05

 

社会の農作物暗記

 

「語呂合わせも活用して」

 

 

地理でも工業地などは、なぜその場所なのかということが、比較的説明しやすいです。例えば、原料を船で輸入するから太平洋側に工場があるとか、大きく急な川が流れているから、水を大量に使う製紙業が発達するとか。

 

しかし、農作物の上位産地は覚えにくいですね。なぜこんな問題を出すのかと文句を言いたくなります。

 

例えばナスは1位高知、2位熊本、3位群馬(農林水産省HP)です。

脈絡がなくて、覚えにくいですね。

 

ただ、予備知識としては、野菜は一年を通して「分業」しているということは教えておいてあげるといいでしょう。

ナスで言うと、冬は暖かい高知や熊本が出荷し、夏は涼しい群馬が出荷するためにこのように散らばっているのですね。

このような理由付けを知っていれば、散らばっているのも理解できます。他の野菜も同様の理由で産地が散らばっています。

 

ただし、それでも、なぜ宮崎でなくて熊本なのか? なぜ栃木でなくて群馬なのか? ということまでは、理由はあるにしても、説明するのは現実的には不可能でしょう。

 

そこで、語呂合わせで覚えるという方法が考えられます。

年号などでよく使う語呂合わせは、心理学的に言っても立派な暗記法です。

 

例えば、ナスは「こっち(高知)のナスにクマ(熊本)が群がる(群馬)」です。どこかのお母さんが考えてネット上に乗せていたもので、農作物全体に語呂合わせが作ってあります(https://www.jukuerabi.info/1426)。

 

ただし、産地上位統計は年度によって変わることもありますので、信頼のできるテキストか、最新版の『日本国政図絵』で確認した方がいいです。(上記に紹介したURLも、トマトなど間違っていました)

 

私が教えるとしたら、まずは「分業」や流通などの理屈を説明し、次になぜ熊本なのかという理屈を(調べた上で)説明し、その後で語呂合わせを使ってもいい、とするでしょう。子どもからはずいぶん理屈っぽいおやじだと思われるかも知れません。

2019/05/04

 

記述問題の解答は信用できるか

 

「先生に質問することが大切」

 

以下に、二つの代表的な塾の公式解答と、赤本の解答を引用します。(洛星(前期)2010年の1 の問七)

 

1 おばあちゃんの病気によって、学校を燃やすかどうかの迷いにけりをつけることができ、むしろおばあちゃんに感謝しているから。(赤本)

 

2 大河の誘いに答えられなかったのは、自分の具合がわるくなったからだとおばあちゃんがまるで思っているように感じられたから。(塾A)

 

3 おばあちゃんが死ぬかもしれないときに、大河のことばかり考えていたので、謝られると申し訳ない気がしたから。(塾B)

 

全然違いますね。ここ以外でもかなり違っています。

 

勉強するときには、解答を鵜呑みにせずに、自分が出した解答のどこが違っていてどこが合っているのかをわかるまで先生に聞き、自分の中で納得する過程を経ることが大切です。そうすれば、外れることの少ない解答が書けるようになります。

 

(※)2の「まるで」の使い方は、ミスタッチではなくそのまま書かれていたものです。

 

 

2019/05/03

 

保護者が手伝える「語源暗記法」

 

 

甥が中学受験をしたときに親が漢字の練習問題を作っていましたが、それは問題集に任せて、覚えにくい言葉の語源を教えた方がよっぽどいいと思ったことがあります。

 

 

 

理科の暗記二大分野は生物と地学(※)です。

 

 

 

生物なら、例えば「おしべ」「めしべ」の「しべ」は「わらしべ長者」の「しべ(細長いもの)」です。

 

 

 

めしべの「柱頭」はもちろん、柱の頭(めしべのてっぺん)です。

 

 

 

「しぼう」は漢字で説明して「子房」。「子」は実のことで、「房」は部屋を表す(暖房・冷房と言いますね)ので、実が入る部屋、つまり、めしべの下のふくらんだところです。

 

 

 

「花弁」なら、「弁」は開いたり閉じたりするものだから(心臓にも弁があります)、花びらのことです。よく開いたり閉じたりする花びらもありますが、つぼみが開いていく美しいイメージからつけられたものかと思われます。

 

 

 

こういうことは参考書に書かれていないので、子どもは(苦しんで)丸暗記しています。保護者が少し考えたりネットで調べたりしてあげれば、負担を軽減できます。

 

 

 

(※)地学…岩石の名前が覚えにくいところです。例えば「安山岩」はアンデス山脈(安山)で取れるからだそうです。ダジャレみたいなものです。「玄武岩」は黒いから。「玄武」は中国由来の北方の神で、黒を意味します。ゲームなどで知っている男の子も多いと思います。「斑糲岩(はんれいがん)」は、「斑」は「まだら(斑点)」のこと。「糲」まで漢字で書く必要はありませんが、こめへんであることから創造されるように、黒いごま粒のことです。白黒まだらの見た目を表したものと考えればむしろ覚えやすいです。  

 

(※)また、社会であれば、漢字を使うことが多いので、漢字の意味から語源を考えれば覚えやすくなる言葉は多いでしょう。2019/04/30

 

2019/04/30

 

知っておくと得する豆知識 その7

 

「象徴」(高学年向き)

 

「…おぼろ月夜だった。桜のつぼみは赤くふくらんで、今にも咲き出しそうだった。」とありますが、この風景は、宗一郎親子のどのような状況を表現していますか。文章全体をふまえて五十字以内で説明しなさい。

 

これは、洛星中学校の問題(2011)ですが、「桜のつぼみ」が「希望」を象徴していることを答える問題です。できれば「おぼろ月夜」が「先行き不透明」の象徴であることも踏まえた方がいいですね。「この先に苦労があるとしても、二人でやっていけばなんとか生きて生きるという希望が生まれてきた状況」という内容の答えになります。

 

「象徴」は、物語の中で問われることが多いので、あらかじめ教えておいてあげるとよいでしょう。厳密には違いますが、「たとえ」、「比喩」と似たようなものですね。

二歳ぐらいの子が、積み木を持って「ブーブー」と言っているのも、象徴を使っていると言えます(「積み木」→「自動車」)。

 

 

月は、

地球のまわりを回り出して久しく、/その軌道が/すっかり身についている。

(略)

たまに、でも、月は道に迷ってみたいと思う。/そんな思いがだんだんと溜まり、

日常におしつぶされそうになると

日食が/月食が/やってくる/この道でよかった。

 

灘中で出された詩です(2009)。「月の動き」が「日常生活」を象徴していることを前提として出題されています(平成21年)。例えば、最終行の「この道でよかった」を、「日常を誠実に暮らしているうちに変化はおのずと訪れる」という意味でとらえる問題が出されています。

2019/04/29

 

社会・理科の勉強法

 

「概念図法」

 

「源頼朝が1192年の日本初の武家政権である鎌倉幕府を作った」という文を、「源頼朝」→「鎌倉幕府」―「日本初の武家政権」―「鎌倉幕府」というように、語句を○で囲み(ここでは「」)、→や―でつなぎます(ここでは、→は主語と述語、―は言い換え)。

 

知識は参考図のようにネットワーク構造になっていると考えられています。新しい情報を上記のようにに紙の上に表すことによって、既にネットワーク構造になっている知識と、新しい情報との関係とに学習者が気づき、理解と記憶が強化されると考えられています。

 

(Novak & Gowin,1984 福岡&弓野―監訳『子どもが学ぶ新しい学習法―概念図法にようるメタ学習』,東洋館出版社,1992)

 

 

 【参考図】

○で囲まれたことがらが線で結ばれています。線が短い方が関係が近いことを示します。一つのことがらが脳に入ると、線を伝って次々にことがら(概念)が脳内で活性化されると考えられています。

 

(collins & Loftus,1975)

 

2019/04/25

 

漢字短期記憶法

 

「間違った問題だけ3回まで」

 

いい点数を取って自信をつけたい時。1回目は普通に解いて答え合わせと直しをします。20秒程度後に間違った問題をテストして直しをします。また20秒後に2回目に間違った問題をテストして直しをします。以上なので、時間がかかりません。テストが始まる日の直前に家でやればいいでしょう。通学、通塾時の電車やバスで空書(指で空中になぞること)してもいいです。

 

短い時間で点数が取れるので、応急処置としてお奨めです。ただし長く頭には残りにくいですね。とりあえずこの方法で達成感が得られれば、3回目の直しだけ覚えるまでやるようにするとか、直しの時に書く回数を増やすなどしていって、長期的に頭に残るようにしていきます。

 

漢字の学習に王道はありません。ただし、どうしても覚えられないのでとりあえず自信をつけたい場合とか、時間がない場合などは

ここから始めてもいいでしょう。

 

本来の漢字の勉強法については、2018/11/01のつぶやきなどに示しておりまので、低学年で余裕のある時は本来の漢字の勉強法を身につけるようにしてください。

2019/04/24

 

どうして国語の解説を読んでもわからないのか

 

「解説そのものが文章読解」

 

解説自体が文章読解だからです。文章読解がわからないので解説を読もうとしても、また文章読解をしなければならないことになります。ある意味で無理難題です。

 

大学入試共通テストの試行調査で、記述式問題を生徒が自己採点すると、30%が間違った採点になることが問題になっています。

自己採点が間違っていると出願に不利益が生じるからです。これも同じことです。センターの全審議役は「自己採点自体が国語の思考力・判断力が必要」と言っています。自己採点自体が国語の問題になっているからです。

 

解説でわからないところは、問題と同様に、納得するまで質問する必要があります。

2019/04/23

 

タイプ別教え方 

 

「熟慮型と衝動型」

 「熟慮型」と「衝動型」という認知スタイルによる分類はKaygan(1966)によって提唱され、この分類に基づいた研究が今も続けられています。タイプを見分けるテストも開発されていますが、テストでうっかりミスが多い子は「衝動型」と考えていいでしょう。
「熟慮型」…問題に対する反応は遅いけれどもミスが少ないタイプです。教え方としてはその長所を伸ばしつつ、一通りの範囲を終えてから、問段演習によってスピードを上げれば良いでしょう。最初からスピード練習をすると苦しくなるので気をつけてあげましょう。PCやウェブなどのデジタルコンテンツにはあまり向いていないという研究があります(市原,森山;2009)。
「衝動型」…問題に対する反応は早いが、ミスが多いタイプです。デジタルコンテンツに向いてます(同上)が、受験などペーパーテストを受ける場合は、最終的にはミスを少なくする指導が必要です。
見直し、やり直しを義務づける、反応を強制的に遅らせるなどの方法によって、「ある程度までは」ミスをなくすように指導できます(『プランする子ども』近藤文理 青木書店 1989)。  

2019/04/22

 

思考スタイル(受験勉強に向いた「やり方」は?)

 

「序列型」

 

4月17日に「立案型」「順守型」「評価型」というタイプ分けをご紹介しましたが、これはSternberg(1997)が思考スタイルの「機能(働き)」として理論化したものです。

 

思考スタイルには「形態(やり方)」による分類もあります。

 

① 単独型…一度に一つのことに集中し、すべてのエネルギーを注ぎ込もうとする。

② 序列型…多くのことをしようとするが、優先順位を決める。

③ 並列型…多くのことを同時にしようとする。優先順位を決めにくい。普段から一    度に複数のことをする。

④ 任意型…多くのことに順序なしに取り組む。取るに足らない問題であっても取り

     組もうとする。精度・指針や制約を嫌う。

 

①の単独型は、男性、芸術系に多く見られる傾向で、「立案型」(自分なりのやり方を試すタイプ;4/17)とつながっています。

 

②の「序列型」は、人間関係をうまく保つ対人スキルにつながっています。

 

③の「並列型」は、「順守型」(指示・規則に従うことを好む;4/17)とつながっています。

 

④の「任意型」も、男性に多く見られます。

 

(以上、落合・真家・和田;2016)

 

受験勉強に向いているのは、②の「序列型」でしょう。思考スタイルは、先天的なものだけでなく、環境によっても変わるので、教育の指針にもなります。

2019/04/19

 

長期的成功と関係のある性格

 

「誠実性」

 

4月14日のつぶやきで、長期的成否の原因は、才能でなくGRIT(※)であり、後天的に伸ばせるものである(Eskreis,Winkler et al.;2016)と紹介しました。

 

追加研究において、 GRITに関係がある性格が報告されています(竹橋,樋口,尾崎,渡辺&豊沢;2018)。

その性格は「誠実性」です。

 

性格の5因子モデルというのが学問の世界ではコンセンサスを得ています。「外向性」、「調和性」(協調的な性格)、「誠実性」、「神経症的傾向」(情緒がやや不安定)、「開放性」(好奇心旺盛)ですが、上記研究の両方で

「誠実性」との相関があることがわかっています。

 

「誠実性」は、責任感があり勤勉でまじめな傾向の性格で、良心的なところ、慎重さに特徴があります。

性格といっても、後天的な原因によって形作られる部分もあります。教育方針の参考になるかもしれませんね。

 

(※)Guts(度胸)、Resilience(復元力)、Initiative(自発性)、Tenacity(執念)の頭文字

2019/04/18

 

読解力を上積みする

 

「段落役割」(小学校高学年以上向け ハイレベル)

 

下に引用したのは2000年の神戸女学院の入試問題です。

 

「要約」すると、

 

① 偉人伝は子どものための本の有力な一分野。

② 偉人伝は面白くて役に立つ。

③ 大人は偉人伝を読まない。

④ 自分の子どもには読んでもらいたがる。

⑤ 大人が読む偉人伝があってもいい。

⑥ 偉人とは、献身的行動をする人。

⑦ 偉人伝は感動と希望を与える。

 

「段落役割」を書くと、

 

① テーマの提出

② テーマの性質

③ テーマに対する態度

④ テーマに対する態度

⑤ 主張

⑥  テーマの定義

⑦ テーマの働き

 

「要約」を読むと、おおよその内容がわかります。「段落役割」を読むと、どのように文章が展開されているかがわかります。両方考えるようにすると読解力が上積みできます。

2019/04/17

 

保護者が読解を教える時 その21 

 

「子どものタイプに合わせて教える」

 

子どもがどんなタイプかということを見極めた上で教えることは大切です。ゆっくりと学ぶのが好きな子もいれば、どんどん進むのが好きな子もいます。体験から学ぶタイプもいれば、理屈を先に教えてもらって試してみるのが好きな子もいます。子どもの学習傾向を把握し、その子に適した学習法を用いることで学習効果を高めることは、学校よりも保護者だからできることでもあります。

ここでは、よく用いられるタイプの分け方として、「立案型」「順守型」「評価型」を紹介します(Sternberg,1997:松村,2003)。

 

「立案型」は、どのようなことでも自分のやり方を探すことを好み、自分の行動を自信で決定する型で、創造、発明、デザインを好みます。

「順守型」は、規則を守って行動することをタイプで、指示通りにする、言われたことをする、型が決まっている、などはこの型になります。

「評価型」は、人や物事、規則や手続きを分析し、判断し、評価することを好みます。

 

日本は、教師や保護者の言うことを聞かなければならないという社会的圧力が高いので、「順守型」の子どもが多くなっていると思います。このタイプの子どもには、漢字やことわざ・慣用句意味調べなど、やり方通りにすれば結果が出るものを最初に教え、語彙を高めるところから読解力に結びつける方法が向いています。また、くり返しを重視する教え方が比較的向いています。

 

「立案型」の中には、漢字の練習など、何回も書くようなことをいやがる子どももいます。このような子には、語源を絵に描いたり(漢字は象形文字なので絵に描ける。教材としては『白河靜式小学校漢字字典』小寺誠・フォーラムAなど)、パズル的な教材を使ったりと、工夫する方が良いと思います。

 

「評価型」は、漢字などのやり方はどちらのやり方(順守型・立案型)でもよいと思います。読解の教え方については、総合より分析を好むので、先に段落ごとの意味を教えて、後で全体の意味や要旨をやる方が向いています(中村,1981)。

 

子どもは一つの型だけを持つのではありません。それぞれの型をもっていますが、中でもどの型の割合が高いかという意味でこのように分類されています。測定するテストもありますが、保護者は大体のところがわかると思います。

 

注意点としては、同じ子どもでも、課題や状況に応じて好みが変わることもあるということです。 

2019/04/16

 

保護者が知っておいてもいいこと(幼児向け)

 

「子どもは頭の中で行動できない」

 

「少し幼いのかなという気はしますね。たいていのおこさんは…なじんできますから。…これからのことを考えますと、どうしても不利になってしまいます。…幼稚園でのんびりされていたお子さんは、どんな小学校にいっても必ず苦労することになるんです。先ほどのコースは、受験というよりはむしろ、すんなりと小学校生活に移行できるよう準備させて頂くことを目的としたコースなんです。」

 

 幼児教室で母親が言われた言葉です。といっても、実話ではありません。角田光代の『森に眠る魚』の一節です。この前に行われた体験授業では、とても幼稚園児にはできないような課題が与えられています。できなくて当たり前です。その後にこんなことを言われると、母親は動揺しますね。

 

発達に従ってできるようになるので本当は気にしなくていいのです。個人差もありますし。

 

例えば、アメを2つ持っていてもう2つもらったら全部でいくるになるかを知るという課題があります。これは6歳までは一つずつ数えることによってしか正解を得られません。頭の中で考えて(暗算で)正解を得るのは7歳以降です。もちろん個人差はありますが(Piaget,1956)。この課題を幼児教室で出されたらできないのが当たり前です。

 

保護者としては、6歳までは「行動を頭の中で代わりにすることはできない」(「行為を内化して表象できない」Piaget,同)

ということを知っておいた方がよいでしょう。 

2019/04/15

 

一斉授業の塾か、個別指導の塾か その9 

 

成績を上げてくれる教師とは? そのD

 

「援助」

 

成長には3段階あります。ある課題が

①できない時期

②助けや協力があるとできる時期

③独力でできる時期

 

①→②→③の段階で成長するのですが、テストや検査は独力で受けるので、①と②の区別がつきません(Vygotsky『思想と言語』)。

 

よい教師や指導者とは、①と②の区別がつき、②の時期を集中的に助けて③の段階に進ませる教師です。

 

①~③の時期は、個人によって、また、課題によって異なります。したがって、一斉授業か個別かと言えば、個別の方がいいでしょう。ただし、①~③を見抜く目を持っている教師である必要があります。一斉授業でも優秀な教師であればカバーできる部分もあります。

 

具体的な見分け方としては、「結果だけでなく途中経過も見ている」教師というのが一つの基準になると思います。

 

例えば、算数の「式」を見て、ここまではできているという所を見るような人がいいでしょう。

 

結果だけを見てほめたりしかったりするのはあまりいいこととはいえません。これは保護者でも同じですね。

 

また、①~③の段階を考慮せずにむやみやたらに「教え込む」のも、いいやり方ではありません。成長の段階から見ると無理なものを、見よう見まねを覚えるだけで、結果的に考える習慣がつかなくなったりしがちだからです。これについては項を改めることもあると思います。

2019/04/12

 

音読

 

「文章理解に効果なし。短い言葉なら…。」

 

何度か音読について触れました(※)が、「内容理解」に効果がないことは確認しておきたいと思います(寺尾,高橋&清河;2018)。

 

「語順」や「どんな言葉があったか」を短期的に思い出すことには効果が見られます(同上:Greene & Crowder;1986)。

 

ことわざ・慣用句や、理科のイオン化傾向の順番などを覚える時には音読してもいいでしょう。ただし、短期記憶である可能性が高いので、長期記憶にするためには、「意味の理解」や「自分への結びつけ」などの工夫をした方がいいと思います。工夫の仕方については2018/11/01をご参照下さい。漢字の覚え方について書いていますが、他の暗記項目に対してもほぼ同じです。イオン化傾向などは、語呂合わせも使えますね。

 

(※)音読については、2018/06/04,10/18のつぶやきもご参照下さい。

2019/04/11

 

記述問題の解き方 その4 

 

「字数が足りない時は、理由か具体内容を入れる」

 

「試合に出られると思っていたのに、先生が出さないと言ったから。(30字)」

これが、「50字以内で答えなさい。」という問いに対する答えだとしたら、少し足りません。そこで

「試合に出られると思っていたのに、中間テストの成績が悪かったので先生が出さないと言ったから。(45字)」

これは、「理由」を入れる例です。

 

「奉仕活動義務化は、生徒にとってマイナスになる面があること。(29字)」

同じくこれが「50字以内で答えなさい。」という問いに対するだとしたら、やはり少し足りません。

「奉仕活動義務化は、自主性の目をつむという、生徒にとってマイナスになる面があること。(41字)」とします。

これは、「具体内容」を入れた例ですね。

 

生徒達の答えを見ていたら、字数が足りない時はたいてい理由か具体内容が欠けています。にもかかわらず、他の所で字数をかせごうとします。「こと」を「ということ」に直したり、どうでもいい修飾語を付けたり、ひどい場合には漢字をひらがなに直したりします。

 

このコツを知っていた方がよいでしょう。 

2019/04/10

 

生徒列伝  その3

 

「聞く」

 

大学生の時に初めて家庭教師をしました。登校拒否で、親ともほとんど話さないの中2男子です。少しでも勉強に触れさせてほしいという依頼でした。

 

勉強よりもほとんど話し相手です。学校や親に拒否感を抱いている(風呂に一ヶ月入っていなかった)けれど、話す相手も同時の求めていたのではないかと思います。それがたまたま私だった。彼は最後まで登校拒否の理由を話さなかったのですが、世間話程度なら色々としました。音楽の話、大学の話、時々勉強という感じでしたね。

 

結局大学資格検定を受けるまでつきあいました。

 

「聞く」ということをこの時学んだ気がします。誰でも自分の感覚や考えを持っているので、それを一旦聞き、理解した上でこちらからアプローチする。また、相手の反応を聞く。このくり返しが「教える」ことだということです。

 

時間内でできるだけのことを教えようとする指導者がいます。気持ちとしては理解できます。しかし、後になって、あれだけ教えたのにできていない、と無力感を覚えることになりがちです。

 

そうではなくて、千差万別の相手あっての学習なので、相手がどのような理解の仕方をするか、どのような学習観を持っているか、どのような動機で勉強しているかということを知った上で、相手が最も成長する可能性の高い教え方をするのです。かみ合わせがうまくいけば、子どもは勝手に成長し、教える必要がないぐらいになります。

 

その第一歩が「聞く」ということです。(もちろん聞きっぱなしではよくありませんが。) 

2019/04/09

 

知っておくと得する豆知識 その6 

 

「泣く理由は4つ」

 

「泣き問題」というものがあります。登場人物が泣いている理由を答えるものです。

 

一つ目は、「悲しいから」。これは低学年(小学校1、2年)でも答えられますね。二つ目は、「うれしいから」。この辺りは中学年でしょう。三つ目は、「感動したから」。これが高学年。一つ目や二つ目のように自分自身の身の上に起こるというより、できごと・映画・音楽・本など、自分以外のものを対象にするところが高学年向けというところでしょうか。では、4つめは?

 

「これまでの緊張が解けたから」です。芥川龍之介『トロッコ』、伊集院静『皐月』の最終場面がそうです。どちらも、登場人物に緊張を強いられる場面(前者は家までたどり着かなければならない、後者は父を助けなければならない)が続き、それが終わった後、自然と涙が出てくるというものです。どちらも中学入試問題で出題されています。

 

4つは多少重なり合うこともあります。また、読書好きの私としては、単純化することに抵抗もあります。けれど、それはそれ。

この4つを知っておけば、「泣き問題」に対応できます。

 

2019/04/08

 

解き方でなく、読み方 その2の3

 

「読む目的を与える」

 

DRA(2019/04/03,4/04)の三つ目以降のステップです。読む直前に、「『ゾウの墓場』とはどんなものかがわかったらノートに書きなさい」とか、「主人公が困ったことを見つけなさい」などと、はっきりとした目的を与えてから読ませます。漠然と読むのでなく、知りたい目的のために文章を読むことを教えます。

 

あとは読むだけです。黙読させて、分からなそうなところがないかを観察したり、聞かれたら答えたり、「ここ、わかってる?」と聞いてあげたりします。あくまで子どもに快適に読んでもらうことを優先します。

 

最後に理解しているかどうかのテストをします。家庭であれば、口頭でいいでしょう。ここからは「読み方」でなく「解き方」の範疇に入ります。

 

日本の学習塾では主に「解き方」を教えますが、DRAは主に「読み方」を教えます。「解き方でなく、読み方その2の1」で例に挙げた、読むのに抵抗感がある子どもなど、タイプやレベルによってうまく使用すればよいと思います。例えば高学年なら、読む前に「問題提起を見つけなさい」「比較されている二つのこと(対比)を見つけなさい」「主人公が得たものを見つけなさい」など、文章構造に関わる「読む目的」を与えることもDRAは指摘しています。

 

DRAという教え方に対するNRP(※)の評価は、他の方法に対する評価と同じです。「科学的に確かだという結論は出せない。ただ、たくさんの教え方を混ぜて使う方と生徒の力を高めるとは言える。」

 

(※)読解力を科学的に分析した報告(National Reading Panel U.S.)

2019/04/07

 

どれぐらいのスピードで読めばいいのか

 

「子どもは『1秒間に学年数の文字+1』が平均」

 

科学的な研究は見当たりませんが、大人は1秒間に10字読めるそうです(※)。国語の問題集にある文章が1000字~2000字程度です。1200字なら2分、2400字なら4分ですね。
私は生徒が読む時間を計ることもあります。その記録によると、全国平均ぐらいの3年生だと、一秒間に3字~4字。6年生だと6字~7字ぐらいです。ざっと見て、「学年数+1字」が全国平均ぐらいでしょうか。
1200字(説明文程度)なら、3年生で5分、6年生なら3分弱です。中学受験をするなら、もう少し早くてもいいです。
もちろん、文章にもよるので一概には言えません。また、早いからといっていいものでもなく、理解が伴わないと意味がありません。
ちなみに、いわゆる「速読」には、理解を伴うという科学的根拠はありません。
(※)JISX8342-32004「高齢者・障害者等配慮設計指針―情報通信における機器、ソフトウェア及びサービス―第3部:ウェブコンテンツ」技術解説 第1.1版 委員会ワーキングドラフト(7月22日版)」 

2019/04/04

 

解き方でなく、読み方 その2の2

 

「生徒の知識を引き出す」

 

DRA(2019/04/03)の二つ目のステップです。例えば、「月」についての説明文であれば、「月」について、子どもの知っていることを聞いてみます。あらかじめ知識を引き出すことによって、本文が読みやすくなります。

 

 この手法は、確かに認知心理学のスキーマ(※1)や先行オーガナイザー(※2)の考え方に合致しています。

 

一つ目(04/03)と二つ目のステップを踏むことによって、子どもが文章を読むことをコストと感じにくくなり、読むことに対するハードルが下がります。前日に見たプロ野球の試合をスポーツ新聞で読むのが楽しいのと似た理屈ですね。

 

(※1)「スキーマ」:過去経験や外部環境に関する長期記憶中の構造化された知識の集合。出来事,行為,事物などの一般的知識(Minsky,1975;Rumelhart,1980など)。つぶやきの2018/07/30,08/02,08/03を参照。

(※2)「先行オーガナイザー」(Ausubel,1960):前もって(生徒に)知らせるおおよその枠組み、知識。つぶやきの2019/02/15参照。

先行して提供するおおよその枠組み) 

2019/04/03

 

解き方でなく、読み方 その2(※1)の1

 

「知らなそうな言葉を十分な文ごとぬきだして推理させる」(年長・低学年向き)

 

ひらがなは覚えても、長い文章が読めなかったり読むのをいやがったりする、ということはありませんか。

 

DRAと呼ばれる方法を紹介します。アメリカの学習塾で使われているようです。NRPにも紹介されています。ネットでも検索できます。

 

最初のステップ。

文章中に出てくる、知らなそうな言葉を十分な文ごとぬきだして意味を推理させます。「十分な文ごと」というのがコツです。推理できる情報が必要だからです。一つの言葉だけでは推理できませんね。

 

文章のように長くないし、教える側が書き出して「読んであげる」ので、子どもがコストを感じることなく、嫌がりません。

 

子どもは知らないことばがあると読むのを嫌がります。先に意味を推理させておくと読みやすくなります。読みへの橋渡しをするわけです。

 

また、「知らない言葉を推理する」というのは読解力の基本ですから、その力をつけるという重要な意味もあります。

 

DRAでは、文章中からそのまま文を抜き出しますが、言葉の意味を推理しやすい文を作って示してもいいでしょう。ただ、子どもにとっては少し高度になります。

 

下の最後のイラストが、知らなそうなことばを含む文です。ここでは複数挙げましたが、文は一つでも構いません。上の右端が本文の一部。イラストを書いてあげてもいいでしょう。

 

 

(※1)その1は、2019/02/15のつぶやき参照

(※2)Directed Reading Activities

(※3)読解力を科学的に分析した報告(National Reading Paned U.S.)

 

2019/04/02

こんな時に怒ってはいけない(※) その4 

 

「テストが悪かった時。まず見極めを。」

 

怒っていいことは一つもありません。自信をなくしたりすねたりしかねません。

まずは、努力不足なのか、努力してもできなかったのかを見極める必要があります。

 

努力不足であれば、次回に努力するように指導すればいいでしょう。

 

努力してもできない時もあります。問題が難しすぎるとできないし、国語であれば、文章になじみがあるかどうかで左右されます。また、塾などの偏差値は相対評価なので、他の生徒のできに本人の成績が左右されます。そういう、本人が努力しても結果に結びつかない場合は、慰めたり、努力をほめる方に力点をおきます。今はあくまで実力をつける過程であって、最終目的(例えば入試)ではないからです。

 

まずは、努力しているかどうか。次に、努力の仕方、方略が正しいかどうかを見極めることが先決です。

 

(※)こんな時に怒ってはいけない その1~その3(2018/11/08,17,20)

 

2019/04/01

 

一斉授業の塾か、個別指導の塾か その8

 

「先生を選ぶ(変える)なら個別」

 

一斉授業の塾で合わない先生に当たっても変えてもらうわけにはいきません

 

合わない先生に教えられて成績が伸びることはあまり期待できません。

例えば、過去にできない問題を与えて生徒に自信をなくさせた教師が、次にできそうな問題を与えても生徒は失敗するけれど、同じ問題を別の教師が与えると生徒は成功するという実験があります(Dweck & Reppuch,1973)。

 

個別なら先生が変えられるところが多いです。この点では個別が優れています。 

2019/03/31

 

自律と孤立は違う

 

「限界を見極める」

 

前項の「難しすぎる問題をやらない」に関連します。

 

時々、「できるまで自分で頑張って解いてみろ」というスパルタ式の発言を聞きますが、正しいとは限りません。

 

やはり、限界はあって、できないものはできないのです。できない経験(制御不可能な経験)が長く続くと人間はやる気を失うので、限界を見極めた上で、もう一歩前に進めるように手をさしのべてやるのが指導者の役割であることは前項で述べました。

 

子どもからすると、本当の限界に来たときに、助けを求めることは当然のことです。それは、自分が生きていくためには援助を必要とするという判断ができているわけですから、「自律」しています。「孤立」というのは、そうした時に助けを求められない、求めようとしないことです。

 

安富歩は「助けを求められる時、その人は自立している」と言っています。これは、助けを求められないとき、その人は孤立しているか、一人に従属しているという意味で、少し違う文脈での話ですが、勉強でも同じだと思います。

 

まずは自分ができるところまでを精一杯やる。その上で行き詰まったら援助を求めるということは自律のあかしなのです。指導者はそこ(生徒の限界や自律的な援助要請)を見極めて、時には厳しく、時には優しく手をさしのべるべきです。 

2019/03/29

 

やる気を出すために

 

「難しすぎる問題をやらない」

 

難しすぎる問題は、制御不可能な経験の一種と言えます。人間は、制御不可能な経験が続くと、やる気・モチベーションを失います。例えば、乳児は自分からの問いかけに母親からの適切な応答が無い状態に長く置かれると無気力になります(宮田,1991)。

 

親ができるからといって、子どもができるとはかぎりません。その子が努力してできる問題を見極めた上で、やってもらい、補助がいるときには補助してやることが大切です。

 

 

3月30日(土)は休みます。

2019/03/28

 

教えても実行しない子どもには

 

「コストカット」

明らかにそうした方がよいことを教えても、子どもが実行しないことはありませんか?
実行することが子どもにとってコストと感じられるのが理由の一つだ、と言われています(1998,佐藤)。
そこで、コストにならないことを示す必要があります。
例えば、問いに線を引くという方略があります。『なぜ』や「~『こと』ですか?」『』部分にに線を引くことによって、答えの文末が確定されるので、見落とさないように引くべきなのですが、教えても引かない子どもは大勢います。コストだと感じるからですね。
こういう場合の一つの方法としては、この種の問題の文末を間違ったときに、答えを示さずに、もう一度問題を読ませて時間を計ります。次に『なぜ』や『こと』などに線を引かせながらもう一度問題を読ませて時間を計ります。それから問題を解かせます。たいていの場合線を引かせたら文末の間違いに気がつくでしょう。
最後に二つの時間を示して、ほとんど変わらないないことを示します。こうすることによって、線を引くことによる時間的コストがないことをしめし、さらに、線を引くことによって問題が解けるという「収穫」をしめします。子どもは、時間的コストが(ほとんど)なく、収穫が得やすくなるのであれば、実行しやすくなるでしょう。
この例に限らず、方略を教える時は、相手が時間的コストや心理的コスト(めんどうだと感じること)を感じることを知っておき、コストがない(少ない)ことを示したり、多少コストがかかっても収穫が多いことを示したりする必要があります。

2019/03/27

 

作文・読書感想文の書き方その4(※)

 

「メモをとる」

 

春休みも宿題に出されるようですね。私はメモを取ってから書くことをすすめています。いきなり原稿用紙に書き始めると、途中で書くことがなくなったり、書きすぎて尻すぼみになったり、場合によっては途中で考えが変わり、書き直すためにかえって時間がかかったりします。メモの取り方はマインドマップ風がいいですね(下イラスト参照)。

 

まず、自分の考えを目でみることができ、つなげたり発展させたりしやすくなります。それに、書き残すので忘れにくくなります。

 

作文に限らず、小論文や会合のレジュメ、日常の考えをまとめるときにも先にメモを取るのがいいと思います。

 

 

(※)その1~3については、2018/07/17~07/19(勉強法―今日のつぶやき―back number1)参照。

2019/03/26

 

知っていると得する豆知識 その6

 

「下から数える」

 

~字(以内)で抜き出しなさいという問題があります。長い字数の場合は下から上に数えるといいです。

 

下は答え方が限定されてるので、数え始めるときに間違いにくいのです。例えば、「どういうことですか」であれば、下(最後)は「こと」か「名詞」に限定されます。「なぜですか。解答欄に当てはまるように答えなさい」という問いで、解答欄が「(   )から。」なら、「から」に続く言葉に限定されます。

 

上(最初)は修飾語があるので、その修飾語を入れるかどうかで、下(終わり)の区切り方が違ってきます。

 

例えば、主人公の気持ちを15字以内で抜き出しなさいという問題で、「やっぱり謙太と一緒に公園で遊んでいたい」という部分を上から数えると、「やっぱり謙太といっしょに公園で」で15字となり、答えでないと思う子はかなりいます(答えは、「謙太と一緒に公園で遊んでいたい」で15字)。

 

上記の問題は、厳密に言うとバグ(不適切な問題、ミス)ですが、この程度のバグは実際には多いです。ひっかからないためにも下から数える習慣をつけるといいでしょう。

 

2019/03/25

 

Language Experience Approach(LEA)  音読への橋渡し

 

「楽しいことを話させて、読ませる」

 

アメリカで開発された教え方ですが、年長~小学2年向きです。小学校1年前後で、一字のひらがなは読めるけれど、文章を読むのが苦手という段階が出てくることがありますね。そういう生徒にも向いています。家庭でも手軽にできます。

 

色々なバリエーションはありますが、基本は、

 

 

① 生徒に楽しかった話などをさせる(動物園に行ってキリンを見た話など)。

② それを教師が忠実に書き取る。

③ 教師が書き取ったものを生徒に音読させる。

 

以上です。

 

①は、生徒にとって、楽しく興味深い話題を選ぶことがポイントです。教科書であれば、すべての生徒にとって興味深いとは限りません。それをむりやり音読させられることが苦痛になる場合もあります。これに対して、自分にとって楽しかった話であれば、学習意欲が高まります。このことは心理学の動機付け理論にも合致しています。

 

③は、自分が話したことだから、音読しやすいはずです。

 

補足として、

 

①については、実際に何かをさせるというやり方もあります(お父さんといっしょに公園に遊びに行ってきてもらう、など)。

 

③の前に先生がまず音読するということもできます。

 

③については、子どもが読んでいるときに、手短に発音を正してやってもいいでしょう。すらすらと読めるまで練習させるのもいいです。別の日にもう一度読ませるのもいいことです。

 

 

LEAのコンセプトは、自分が話したことは読める。そこから読み書きに慣れていこうということです。

 

 

私自身も利用して効果があったこともあります。NRP(読解力を科学的に分析した報告)にも登場していますが、科学的な裏付けが確かだと報告されているわけではありません(上記のように動機付け理論には合致しています)。試してみる価値はある、というところでしょうか。LEAについては、Language Experience Approachでネット検索できます。