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2018/12/19~2019/03/23のつぶやき

2019/03/23

 

英語のrとl 

 

「聞き取りは不可能」

 

 日本人は生まれてから6ヶ月以内ならrとlの発音を聞き分けられますが、それ以降は不可能です(※)。

 

もちろんそれ以降に英会話ができるようになる日本人はたくさんいますが、rとlは文脈等で聞き分けているだけです。また、発音は後天的に努力(真似)して身につけたものです。

 

小学校で英語を習うので、知っておいて損はありません。例えば、たいていの日本人はrowとlowを純粋に耳だけでは聞き分けられないということですね。

 

 

(※)脳内でのシナプスの刈り込み(synaptic pruning)によって不必要な知覚が脳矮小化される(perceptual narrowing)ことが原因。他にも、ヒトは、生まれて6ヶ月までならサルの顔を区別できるが、9ヶ月はできない、など(Pascalis et al.,2002)

 

 

2019/03/22

 

成績アップのためには

 

「テストの点数を予測させる」

 

学習塾で働き始めたとき、入試の後に「できた、できた!」と騒いでいた男の子が、不合格だとわかり大泣きしていたのは今でも時々思い出します。

突き放した言い方をすると、自分自身のことがわかっていなかったんですね。認知心理学的に言うとメタ認知(※)が十分に発達していなかったということです。

 

メタ認知は学習成果に大きな影響を及ぼすので、できるだけ発達するように指導したいところです。Calvlbo,2010は、その方法として、共同学習や先生役のロールプレイングなどを挙げています。その他にも、図表による可視化、教訓帰納(市川,1990)などはすでに述べました。

 

ここでは、メタ認知能力を促進する最も簡単な方法として、「点数を予測する」ということを挙げたいと思います。点数を予測すると自分を客観的に見直す訓練になるので、メタ認知能力を促すことになります。

 

個人的な経験でも、テストの成績予測が正確であることと、成績の良さには相関があると感じています。

 

 

(※)キーワード「メタ認知」(Flavell,1987):自分の気持ち、考えなどを客観的に見直し、コントロールすること。9~11歳ぐらいから発達し始めると言われている。

 具体的には、「自分で改善していく」、「勉強の仕方を考える」、「自分の理解状態を把握する」、「どうしたらよく覚えられるかを考える」「自分の行動に自分で優先順位をつける」などの様々な精神活動。

 例えば、自分で○つけをするというのは、初期的なメタ認知活動。言われた通り漢字を10回機械的に書くよりも、10回書く家に覚えてしまおうと考えながら書く方がメタ認知活動をしていると言えるように、学習の成果に大きな影響を及ぼす。

2019/03/21

 

塾の先生は、普段何をしているのか? その1

 

塾によって多少違いますが、一斉授業で大手の塾は正社員の先生が多いです。会社員なので、授業をしないときにも色々と雑用があります。

 

テスト問題作成、会議、説明会などのイベント準備、採点、懇談、資料作成、質問受け、電話かけ、送り迎え等々で、普通のサラリーマンと同じと考えてもいいでしょう。経営規模が小さいので、普通のサラリーマンよりむしろ雑用が多いと言ってもいいと思いま

す。総務兼営業兼その他といったところでしょうか。

 

最も時間を取られるのは問題作成で、完成原稿まで作らなければならないので、印刷屋まで兼ねているかも知れません。国語は特に問題作成に時間がかかり(著作権をクリアーした上での原本探しに時間がかかる)、休みの日にも作っているのが実際でした。

学校の先生が忙しすぎることが問題になりますが、塾の先生もかなり忙しいのです。

 

私も初めて勤めたとき、5時の授業までいくらでも授業準備ができると思っていましたが、そんなことはぜんぜんなく、授業準備の時間を確保するのが難しかったですね。慣れている先生なら授業の予習はしないし、予習が必要な先生は家でやっていました。

 

逆に非常勤の先生は、授業だけなので、直前に来て授業をして帰るアルバイトというのが原則です。個別学習の場合はこのケースが多いです。

 

もちろん、塾によって違いはあります。大まかな話ではあります。

 

2019/03/20

 

家庭教師奮戦記 その2 

 

「解き方を教えるだけでは不十分」

 

学生の頃から現在まで家庭教師もやっていますが、その時の経験です。

 

「生えてくる草を専門に食べる牛がいるんだよ。まず、その分だけ計算してごらん。」「後からやってくる客だけ特別の窓口から入れるんだよ。」

 

「ニュートン算」の質問を受けた時のことです。20年前にはこんな教え方をしていました。生徒が問題を解くことはできたのですが、今から思うと反省点が多すぎます。

 

① 二つを別々に教えて、共通点を指摘しなかった(後から増える量を専門に処理するものを仮定することを指摘しておくべきだった)。

 

② 他の方法も触るべきだった(グラフ・線分図・面積図など)。生徒にとってもっとわかりやすい方法があったかも知れない。

 

③ そもそもニュートン算を教える必要はなかった(生徒の志望校には過去から現在まで一度も出ていない)。入試に対する情報がないままに教えていた。

 

④ それでも教えるのなら、応用が利くように教えるべきだった(ニュートン算は、仕事算と旅人算の応用)。

 

等々です。解法の解説をするだけでなく、まず目的(~を受験する等)をはっきりさせてそれを分析し、生徒のタイプに合わせて教え、後々応用が利くようにする。これが教えるときに大切なことです。 

2019/03/19

 

知っていると得する豆知識 その5 家庭で読解力アップ!

 

 

「二項対立の話をしてあげる」

 

 

 「対比」とも言われますが、ほとんどの説明的文章で使われるので、知っておくと有利です(2019/01/27参照)。

 

よく出る「二項対立」ベスト3

 

① 日本と外国、

② 昔と今

③ 自然と人工

 

例えば、「昔はこういういいところがあったのに、今は失われている」などと使われます。二つのうち、最初に挙げたものを貶し、後のものを持ち上げることが多いですね。

 

このパターンを知って脳内のスキーマとして蓄えておくと、読解力につながります(2018/08/03参照)。

 

この勉強は塾より家庭でやるのに向いています。話題が至る所に見つけられ、時間も豊富に取れるからです。

 

意識して三つの二項対立パターンを話してあげて見て下さい。 

2019/03/18

 

保護者が読解を教える時 その20

 

「区分け問題→全体問題」

 

子どもが文章を読んだ後、最初の辺りを忘れていて問題が解けないことがあります。かと言って、文章を読んでからでないと難しい問題は解けません(2018/8/25,2019/02/13参照)。

 

このジレンマを解消するためには、文章を区分けして問題を出し、最後に文章全体の問題を出すことです。

 

下のイラストは、一年生の、やや苦手な生徒用です。

 

① 最初の1段落程度の文章で問題を出します(イラスト1番目と2番目)。

② 続く1段落程度の文章で問題を出します(イラスト3番目と4番目)。

③ さらに、今の二つの段落に関する問題を出します(イラスト5番目)。この問題は、一番最初の段落にヒントや答えがある方が いいです。

 

こうして、最初の辺りをおぼえていなければいけないことを実感させます。

 

これをくり返して文章と問題を進めます。文章の切り方と問題の出し方は生徒のレベルに合わせます。」

 

⑤ 最後に文章全体に関わる問題を出します(イラスト6番目)。

 

このような「区分け問題」→「全体問題」という教え方は、塾などよりもむしろ家庭の方がやりやすいのです。

 

低学年でやっておくことなので、問題が作りやすいこともあります。また、適当な文章を選んで、適当に区分けして質問をくり返し、最後に全体の問題や、最初の方に答えやヒントがある問題を出せばいいだけです。

 

簡単で効果があるので、試してみてください。 

2019/03/17

 

なぜ「頭がいい」のか?

 

あの子は「頭がいい」ですませてしまいがちです。では、なぜ「頭がいい」のか? そう聞かれるとたいてい遺伝、DNAという答えが返ってきます。

 

しかし、人の能力は遺伝(生まれ)と環境(育ち)が基礎になるというのが現代の定説です。環境についてもっと考えてみてもいいでしょう。

 

「親の学歴や社会的地位と子どもの学力に相関関係がある」と言われます。これは経済的環境のことです。経済的に恵まれていれば、塾や家庭教師などの経済的投資ができます。

 

ただ、「親の文化的環境も子どもの学力に大きく影響する」とも言われているのです。例えば、親の読書量と子どもの読書量とは相関があると言われています。

 

従って、経済投資だけでなく、勉強やコミュニケーションに対する親の価値観が子どもの学力に大きく影響するのです。

 

例えば、勉強にはコミュニケーション力が背景にあります。人の言っていることを理解する力は読解力に、自分の言いたいことを相手に伝える力は表現力につながっています。このような力は幼少期の親と子の会話において十分に高めることができます。

 

2019/03/14

 

知っていると得する豆知識 その4

 

「20字の長さを測っておく」

 

中学入試の記述問題は20字~100字程度ですが、子どもは自分の書いている字数が何字かということがよくわかっていません。

20字程度で書きなさいという問題でも、文中から30字ぐらい写してから、あれ? などと言っています。時間を浪費して無駄が多くなります。

 

テストや練習問題を時始める前に、「文章のどこでもいいから20字数えて線を引いておく」といいです。いつでもそこを見れば、20字というものが「視覚的」な情報によってよくわかるのではるかに効率がよくなります。

 

抜き出し問題でも20字が視覚的にわかると、どれぐらい抜き出せばよいかがすぐ判断できるので、無駄な所を答えかと思って数える手間が省けます。

 

10字なら半分、30字なら1,5倍、100字ならその5つ分と考えて応用することもできます。少ない手間でかなりの時間と試行錯誤を節約できます。

 

20字数えて線を引く手間は10秒程度です。そのうち線を引かなくても字数がわかるようになります。

 

2019/03/13

 

図による説明の落とし穴

 

「もう一度、子どもが図を書いて説明ができるか確認する」

 

図に書いて説明すると、子どもは「わかった」と言ったはずなのに、後でやらせるとできない、図が書けないということはありませんか?

 

問題と図の関係が「わかっている」のは教えている側だけだったという証拠です。

 

○○○○

○○○○

○○○○

 

上のような図を書いて、「おはじきが、たてが3で横が4だから、3×4は12」と形式的に教えたとします。しかし、子どもによっては、指で○を数えながら「どうして左上のおはじきだけ、たてで一回数えたのに、横でももう一度数えていいのだろう?」と疑問を持つケースがあります。

 

子どもにとって、問題と図の関係は大人が思っているほど自明なものではないのです。

 

その子どもにとってわかりやすい図と説明を考えてあげるのが一番ですが、そうしなくても、親が説明した後に、もう一度同じ事(図を書いて解き方を説明すること)ができるかを確認することによって、後でできなくなるということは少なくなるでしょう。 

2019/03/12

 

一斉授業の塾か、個別指導の塾か その7 

 

成績を上げてくれる教師とは? そのC 「生徒に発言させる教師」補足

 

前項の注意点ですが、何でも発言すればいいというものではありません。生徒の発言の中で、「答え出し屋方略」というものがあります。これは、巧みな質問によって、自分で考えずに先生から答えを引き出すものです。例えば、「アかな?」とか、「後ろの方からさがそうかな?」とつぶやくことによって、教師から「そうだよ」とか「違うだろ」などという答えやヒントを引き出そうとするものです。特に考えていなくても「アかな?」などとは聞けるので、生徒は考えることなく答えにたどりつけます(詳しくは2018/11/18のつぶやきをご参照ください)。

 

教科そのものは非常にできるのに、子どものこの種の発言に乗ってしまっている先生もいます。まずは、このような発言を子どもがしていないか、保護者が教える時にチェックした方がいいでしょう。 

2019/03/11

 

一斉授業の塾か、個別指導の塾か その6 

 

成績を上げてくれる教師とは? そのB 「生徒に発言させる教師」

 

これは、個別指導においては、特に重要な要素であり、一斉授業においてもかなり重要です。

 

おしゃべりは楽しいですよね。無口な人でも、親しい人と二人きりだったり、お酒を飲んだりすると、結構自分のことを話します。

ストレス解消になったりもします。反対に相手の話を聞くだけというのは結構つらいことです。

 

自分が話すことが楽しい理由の一つは、自分が主体となって周囲に働きかけているからです。勉強でも、受け身で先生の言うことを聞くのでなく、自分が主体となって他者に働きかけながら自律的に勉強する方が望ましいとされています(「自己調整学習」self-regulated learning;Zimmerman & Schunk, 2011)。

 

実際に、先生の話を聞いているだけではすぐに忘れてしまいます。ひたすらしゃべる教師の授業で眠くなったことはありませんか?これに対して自分から質問したことはよくおぼえています。生徒は、自分が能動的に参加した内容の方が頭に入りやすいのです。

 

良い教師であれば、できるだけ生徒が質問したり、自分の考えを言ったりするように持っていきます。その方が授業内容が生徒の頭に残り、生徒自身が伸びるからです。未熟な教師は、ひたすら自分がしゃべり、後で生徒が理解していないといって嘆きます。これは個別でも一斉授業でも同じです。

 

ただし、生徒と友達のようにしゃべったり、生徒のペースに巻き込まれたりすることはよくありませんので、注意が必要です。これについては、長くなるので、次項で触れます。

 

どれだけ子どもが授業中に発言できているかを知ることは、良い教師を見分ける上での手がかりの一つです。

 

2019/03/10

 

自律性への道 その2

 

 「自分と競争をする」

 

自分との競争によって大変やる気がでることがあります。

 

例えば、計算の時間を計って前と比べる、漢字テストの点数の記録をつけるなどです。これは、2019/02/22でつぶやいた、「自分自身を高めたいというモチベーション」に当たります。さらにいいいところは、自分で成績をつけることによって、自律的にやっているという感覚を持てることです。

 

辞書で引いた言葉に付箋をつけるというのも、この変形です。大人でも走ったりジムに通って数値を記録したりすることによって、やる気を引き出しています。

 

この方法の欠点は、初めは記録が伸びるけれど、やがて頭打ちになってしまうということです。従って、この方法にのみ頼るのでなく、他のモチベーションと組み合わせることも大切です。 

2019/03/07

 

一斉授業の塾か、個別指導の塾か その5 

 

成績をあげてくれる教師とは? そのA 「好かれる教師」

 

「好かれる」というのは、特に一斉授業の教師には大事な資質です。個別の場合は一人に合わせる技術を持っているかどうかということが大切になってくるので、その分、好かれるかどうかということの大切さが占める割合が減ります。「面倒くさい」先生だと思われても、生徒の力を伸ばすことはあります。これについてはいずれ述べる機会もあると思います。

 

2019/02/21に「社会的関係によるモチベーション」についてつぶやきましたが、先生が好きだというのはこの社会的モチベーションに当たります。

 

逆に、先生を好きになれないと、モチベーションの低下を招いて成績が伸びないことがあります。小学生によく見られます。

 

先生を好きになる理由には色々あって、教え方がうまいことも理由の一つになり得ます。しかし、たとえ教え方が下手でも、面白さや人柄で生徒に好いてもらえれば、生徒のモチベーションが増加し、進んで勉強するので、成績が上がりやすくなります。好かれる、というのは、それほど重要な要素です。 

2019/03/06

 

自律性への道 その1―自己強化―

 

「自分で自分にほうびをあげる」

 

勉強することの意味を考えて自律的に勉強してほしいと思いますが、幼少時にはなかなか難しいことです。

 

どちらかというと、小さいときには、「楽しいからやっている」「ほめられるから」「みんながやっているから」「先生が好きだから」などということが勉強をするモチベーションになっています。

 

けれども、いつまでもそれでは困りますね。次へのステップを考えてみましょう。

 

例えば、「ほめられるから」勉強するというのは、称賛という「報酬」をもらうことがモチベーションになっているということです。

先生がノートを見てかわいいハンコを押してくれるとか、シールを貼ってもらうというのも同じです。

 

そこで、このモチベーションを利用しながら、次の段階として、自分で自分にほうびを与えるというのもいいのではないでしょうか。これを「自己強化(self-reinforcement;Bolstad & Johnson, 1972)」と言います。大人でも「がんばった自分にごほうび」などと言う時がありますね。同じように、例えば、勉強したら後でお菓子を食べようとか、テレビを30分見ていいとか、親から言うのでなく、「自分で」決めるように、親がうまく持っていってあげるのです。

 

自己強化のいいところは、「ほめられる」とか「ハンコを押してもらえる」などのように、他人から「報酬」をもらうのでなく、自分で自分に「報酬」を与えるところです。自分で自分に与えることによって、自律的にやっているという感覚が得られ、やる気を引き出すきっかけになることがあります。

 

お母さんから「8時までにやりなさい」と言われるのでなく、自分からお母さんに「いつまでにやるかを決めてほしい」と言ってもいいのです。結果的に「8時までにやりなさい」と言われたとしても、決めてほしいと言ったのは自分なので、強制されているという感覚もなくなるし、やらなければ何かしら申し訳ない気分になります。作家のエッセイでも、「締め切りを決めてくれ」と編集者に頼んで、ホテルに缶詰になるという話がよく出て来ます。大人でもいっしょなんですね。

 

テストを受けることを自分で決める、勉強計画を自分で決める、などというのもいいですね。

 

自己強化を上手に利用して自律性に結びつけられるといいと思います。

2019/03/05

 

知識はAIに任せて、人間は考えることをすればよいか?

 

「人間は知識がないと考えられない」

 

よくある誤解ですが、知識がなければ考えることはおろか、読んだり人の話を聞いたりすることすらできません。これらの行為を、人間は頭の中の知識(スキーマ)を参照しながらしているからです。現代の心理学者であれば皆そういうでしょう。この話は2018/08/30のつぶやきなどで詳しく述べましたので、お時間があればご参照下さい。

 

生徒の通っている学校でも、表題のような誤解に基づいた「考える」国語の授業を行っているところがあります。予備知識なしに「さあ、みんな、考えよう」と言って、生徒に考えを述べさせるだけで、ひどい場合には生徒の間違いを正さないままにしている場合もあります。

 

知識と考えは常にセットであることを忘れたくないですね。

2019/03/04

 

望ましい動機付け

 

「親が権威を持っていることを忘れない」

 

アンダーマイニング効果(自発的に行っている者に報酬を与えると自発性が薄れること。2019/01/19参照)に触れましたが、そもそも子どもが自発的に勉強を行うまでに段階があります。

 

① 全くしようとしない状態

② 強制や報酬によってさせられている状態

③ 必要性を感じて納得して行っている状態

④ 勉強の面白さや意義を感じて自発的に行う状態

 

以上のようにDeci(1995)は分けており、④に近づくほど望ましいとされています。

 

難しいのは②と③の区別です。私が見るところでは、保護者は③のつもりでも、子どもは②と感じていることが多いようです。

 

これは、保護者であれば子どもに対して「権威」を持っているので、知らず知らずのうちに権威的になってしまうのを子どもが「強制」に近いものとして捉えているからではないでしょうか。

 

親には「権威」があり、子どもには「権威」がありません。権威のないものは権威に従うしかないと思いがちなもので、権威のないものにとって、権威のあるものの発言は強制に近く感じられることもあります。

 

難しいことですが、親としては自分が「権威」を持っていることを意識しておき、命令的にならず、子どもと対話するような気持ちが常に必要とは言えるでしょう。

2019/03/03

 

「子どもの考えを書き取ってあげよう」

 

これは私が取り入れている方法ですが、文章を読ませた後で「どんな話だった? できるだけ簡単に教えて。」と言います。子どもによって、言い方は違いますが、それをできるだけ紙に書き取ります。その紙を子どもに見せて、「君は頭の中でこういうことがわかっているんだよ。」と言い、問題を解いてもらうと、何もしないときよりもよく解けるようになります。

 

最終的には、助けなしに頭の中でこれができればいいわけです。

 

紙に書き取る時にコツがあります。短く、しかも子どもが言いたいことだけは逃さず書くことと、書いたことを文章の展開に即して一種の文章地図のように並べることです。どうしても必要なところが抜けていたら、子どもに質問したり、もう一度読んでもらったりしながら気づかせるようにします。

 

図や表による視覚化(NRP4-6)、モニタリングによる理解の深化(同4-6)、話をインタビューのように聞き、その価値と努力を認めて真正な誇り(authentic pride,Lewis2000)を持たせることによるモチベーションの増加、などの効果を組み合わせています。

 

※NRP(National Reading Panel)は、読解力を科学的に分析した報告。

※モニタリングは、自分がどこまで分かっているかを自分で振り返るテクニック(Weinstein & Mayer, 1986)

2019/03/01

 

猿回しのサル?

 

「将来のためにもなる勉強を」

 

大手塾の算数トップ講師が「曲芸のように難しいことを教えてるから、4月までには忘れてる。」と言った後、上記のセリフが出ました。

 

国語でも、あれだけたくさん文章を読んだら、読書好きが増えそうですが、そうでもないようです。昨日述べたこととも関係しますが、多くの生徒にとって文章は答えをさがすための場所に過ぎなかったということになります。

 

読書が好きな人は、国語の問題を解きやすい(「読書」→「問題を解く」)ですが、「問題を解く」→「読書」とはならないんですね。

 

読書も含めて読む楽しさを教えることが、問題を解く力にもつながるし、将来にもつながります。(三月二日は休みます) 

 

 

2019/02/28

 

ウォーリーをさがせ!?

 

「その子にあった文章レベルと演習時間から始めよう」

 

国語が苦手な人は、「解く」ことを優先し、文章は答えをさがすための場所のように思っています。『ウォーリーをさがせ』では、ウォーリー以外の人物はまったく意味がありません。同じように文章をゆっくり読んでいるひまはない、というわけです。その結果はどうなるか? 無事にウォーリーをさがせればいいですが、とんでもない答えを拾ってきたりします。

 

本来、文章が読めれば自然に問題が解けるはずです。にもかかわらずこうなりがちな理由は二つ考えられます。

 

一つは、文章が難しいから。読めないので答えをさがすしかありません。対策としては、読みやすい文章から始めて、少しずつレベルを上げていくのがいいですね。

 

もう一つは、時間を制限するから。あまりに短い時間だと読んでいる暇はありません。これも、本人の読める時間を知り、少しずつ時間を短くするのがいいです。

2019/02/27

 

記述問題の解き方 その3 

 

「下書きのすすめ」

 

頭の中で考えたことをそのまま書くことが記述だと誤解されがちです。実は、書くことによって考えが進む(市川,2000)のです。これは、我々がものを書くときもそうですし、作家などの話を聞いてもそうです。

 

考えを深めるテクニックとして、絵や図を書くということがありますが、下書きをして見ること自体が、絵や図に書くのと同じ役割を果たしているとされています。

 

子どもが記述問題を解くときも同じです。下書きをすることによって、考えが進み、完成度の高い答案ができあがります。

2019/02/25

 

ラポール

 

「親子関係を過信しない」

 

勉強でつまずいている生徒に対して、勉強は楽しいし意味があるよと言っても、やる気につながるとは限りません。強制したり報酬を与えたりしても、勉強が好きになるわけではありません。むしろ、雑になる場合さえあります。

 

そのような生徒を教える時は、最初にラポール(信頼関係)(※)を築くようにします。「この人とだったらいっしょに勉強してもいいな」と思ってくれるような関係づくりから始めるのです。学校でも、好きな先生の科目はやる気になる、と子どもは言いますね。ラポールがあるからです。

 

親子であっても同じです。親子の方がかえって必要だという場合もあります。

 

よく、「自分の子どもに教えていると、つい感情的になってしまう」という言葉を聞きます。結びつきが強いからこそ、つい、ぶつかってしまうのですね。

 

親子だから信頼関係があるのは当たり前です。が、それが過信につながると、子どもができないことに感情的になったり、報酬を与えることによって統制しようとしたりと、マイナスの方向に向かう危険性があります。

 

勉強においては、親子の間でもラポールを築くことが大切です。具体的には、子どもは「わからない者」であり、「忘れる者」であり、「できないと、つらいのは、自分よりも子どもの方だ」という事実を、心に刻み込んで接するようにすることが、信頼関係につながると思います。

 

(※)キーワード「ラポール」:相互信頼の関係(Mesmer,1734)

 

2019/02/24

 

スモールステップ その2

 

「算数・数学以外は教材つくりがほぼ不可能」

 

 

現実世界の具体的な要素を極度に排除し論理を表す記号だけで行う、算数や数学なら、スモールステップが可能です(教材の数字を変えれば良い)。しかし、それ以外の科目では現時点でほぼ不可能でしょう。

 

 

 

例えば国語であれば、ことばを変えればよい、というわけにはいきません。1という数字が2に変わっただけでは、脳内に大きな変化は起こりませんが、ことばが一つ変わっただけで、脳内に大きな変化が起こります(いやな言葉を一つ、好きな言葉を一つ思い起こしてみて下さい)。

 

 

 

さらに、読むという行為は、情報をインプットするだけでなく、脳内の知識(スキーマ※)を呼び出してすりあわせる行為だからです。文章によって、子どもが読めたり読めなかったりする(大人でもそうですが)理由はそこにあります。

 

 

 

スモールステップの次に「踏み出す」必要もあるのです。 

 

 

 

※キーワード「スキーマ」:過去経験や外部環境に関する長期記憶中の構造化された知識の集合であり,出来事,行為,事物などの一般的知識。読むことと、スキーマの関係については、つぶやきの2018/07/30,08/02,08/03を参照。

 

2019/02/23

 

スモールステップ その1

 

「盲進は禁物、使い分けを」

 

スモールステップとは、学習の目標に向かって課題を小さなステップに分け、達成できるたびに正しいか間違っているかのフィードバックを与えることです。間違えようもないくらいやさしいことをスモールステップでやっていくと、スムーズに勉強が進むし、やる気につながる――順を追ってできるだけ挫折させずに――という考え方です。公文式などはこのテクニックを使っています。

 

1950年頃まで非常に流行した行動主義心理学から生まれた考えです。元々は動物実験から生まれており、細かい芸ができるたびに餌(フィードバック)を与えると、例えばアシカなどは非常に高度な芸ができるようになります。それを人間に当てはめたもので、人間の場合はほめ言葉や○×をつけることがフィードバックになります。

 

しかし、人間は動物よりも知的好奇心をたくさんもっています。スモールステップが同じ事のくり返しのように感じて飽き始めることもあります。そうしたときにスモールステップに固執すると、かえって知的好奇心の成長を邪魔することにもなりかねません。

 

また、スモールステップは、できるだけ失敗させないという考え方なので、失敗から学ぶという経験がしにくくなります。失敗や間違いをいかに情報として活かし、やる気につなげるかということも大切です。そしてその方がずっと難しいのです。

 

スモールステップに頼りすぎないで、知的成長を促す機会を見失わないことが大切です。

2019/02/22

 

小学生で勉強しない子は その2 

 

「内容そのものに関わるモチベーションも」

 

きっかけとして、その1で述べた外的な要素によるモチベーションが必要なときがあります。やがては、次の様な、内容に関するモチベーションも持つようにしたいものです。多くの動機に支えられている方が学習の上でくじけることが少ないです。

 

「学習自体が楽しいというモチベーション」例:新しいことを知りたい。分かること自体が面白い。できるようになっていく過程が楽しい。わからないことをそのままにしておきたくない

 

「自分自身を高めたいというモチベーション」例:勉強が頭の訓練になる。合理的な考えができるようになる。いろいろな面からものごとを眺められるようになる。頭の働きが衰えにくくなる。

 

「将来に役立てたいというモチベーション」例:仕事や生活に役立てたい。知識を技能を使う喜びを味わいたい。仕事で必要になってから勉強したのでは間に合わない。(以上 市川,1991)

 

上記のようなモチベーションを持ってもらう機会もできるだけ作ってあげるといいでしょう。

 

2019/02/21

 

小学生で勉強しない子は その1 

 

「外的なモチベーションから入っても可」

 

勉強以外のモチベーション要素としては、以下のようなことが考えられます。

 

「社会関係によるモチベーション」例:友達といっしょに勉強するのが楽しい。親や好きな先生に認めてもらいたい。周りの人達がよく勉強するのでそれにつられて、など。

 

「プライドによるモチベーション」例:成績がいいと自分がえらく感じる。周りの人からえらくみてもらえる。ライバルに負けたくない。勉強して良い学校を出た方がりっぱな人だと思われる。勉強が人並みにできないのはくやしい。勉強がが人並みにできないと、自身がなくなってしまいそう。

 

「報酬によるモチベーション」例:勉強ができたらシールを貼るのが楽しい。成績が良ければこづかいやほうびがもらえる。テストの成績が良ければ、親や先生にほめてもらえる。学歴があれば、おとなになって経済的に良い生活ができ、得なことが多い。勉強しないと親や先生に叱られる。

 

「おまえら、ベンツに乗りたいやろ!」と言って、ある大手塾のトップが教えていましたが、これは「報酬によるモチベーション例」ですね。

ただ、勉強しない子に対しては、とりかかりとして、以上のような外的な要素によるモチベーションを持たせることは決して悪いことではありません。もちろんこればかりでは困るので、勉強そのものの面白さを知ったりや自分を向上心も持つ必要はあります。

2019/02/20

 

知っていると得する豆知識 その3

 

「二つ以上のことがらは、すべて書くかまとめる」

 

次の様な文章と問いがあるとします。

 

文章「クラブ活動も休まなければならないし、勉強もおくれてしまう、親友のユカとの約束を果たせなくなってしまう。…気持ちが滅入ってくるような、薬やトイレの匂いが交ざったな空気の中でベッドに寝ながら『そんなこと』を考えていた。」

 

問い 「そんなこと」の内容を三十字以内で答えなさい。

 

答えA クラブ活動も休まなければならないし、勉強もおくれてしまうこと30

答えB 親友のユカとの約束を果たせなくなってしまうということ。27

 

Aのように初めからぬきだし(句点を省略した)答えや、Bのように後ろの内容だけ書いて、「という」を入れて水増ししている答えを見ます。かなり極端な例を挙げているので信じがたいかも知れませんが、もっと長い文章で、指示内容が長かったり接続詞で結ばれている場合には結構見られます。

 

ここで大切なことは「並べ挙げられている(並列されている)指示内容はすべて書くか、まとめる」というのが鉄則だということです。「クラブ」「勉強」「約束」をすべて書いた答えが要求されます。(例:勉強やクラブに差し支える上に親友との約束が守れなくなること。30)(すべて書いた上で、少しまとめている)

 

もう一つ例を挙げておきます。これも極端な例ですが…。

 

文章「地球温暖化、酸性雨、砂漠化、オゾン層破壊などは数十年単位の未来を考えたときに解決しなければならない問題です。……私たちはこのような問題について、普段あまり考えることをしません。」

 

問い「『このような問題』とは何ですか。五字以内で答えなさい。」

 

解答例「環境問題」(全部書けないのでまとめている)

 

以上のことは、2019/01/25で紹介した「文章中の線の引き方 その2」の「並列」に関係しています。「並列」されているときは

そして・また・さらに」などの接続詞を伴うことも多いので、それに印をつけるのがいいでしょう。

2019/02/19

 

やる気のある子どもにごほうびをあげてはいけない

 

 「やっていたことへの興味をなくす」

 

 

アンダーマイニング効果といいます(Deci,1971)。たとえば、幼児にマジックインキのようなものできれいな絵を描いてもらいます。楽しんで絵を描く幼児が多いですが、「それを書いたら、こういうごほうびをあげるよ」と言ってしまうと、ほうびがもらえないときにはさっぱりやろうとしなくなります。報酬のためにかえってその活動自体への興味が失われてしまうので

 

 

 自分で行動を決めていたのに、他人に行動を決定されたという感覚になるからだとか、描くことそのものが目的だったのに、報酬が目的になってしまい、描くことが単なる手段へと格下げされてしまうからだとか、様々な理由付けがされています

 

 

いずれにせよ、子どもがやる気を出したときには、純粋にそれを楽しませてあげることが大切で、勉強でも同じです 。

2019/02/16

 

教わることから、できることへ

 

「教えたからといって、安心しない」

 

読解の方略を紹介していますが、方略が分かれば、次は使えるようになることが大切です。いくらやり方を教えても、それを本人が利用しなければ意味がありません(※)。

 

教えるだけで満足しないで、子どもが使えるように導いてあげることが大切です。子どもは方略を使うことを「コスト(手間がかかる)」と感じたり、効果を疑ったりします。実際に時間を計って、大した手間でないことを示したり、目に見える形で効果が現れるような工夫が必要になります。

 

例えば「問いに線を引く」(2018/09/30)という方略なら、問いの条件を読み落として間違えたときに(子どもにはよくあります)、もう一度問いに線を引かせて問題を解かせると、子どもは効果に気づきます。

 

(※)方略を知らずにただ問題を解いている状態が「媒介欠如mediation deficiency」、方略を知っていたり教わったりしていても利用しない状態が「産出欠如production deficiency」として理論化されています(Bjorklund,Miler,Coyle & Slawinski,1997)。

2/17、18日は、つぶやきを休みます。

 

2019/02/15

 

解き方でなく、読み方 その1

 

「最初に出典を見る。または斜め読み」

 

問題の解き方の解説をしている参考書は多いですが、文章の読み方を教えている参考書はほとんど見ません。

「読解」というぐらいだから、「解」(解き方)についての説明だけでなく、「読」(読み方)についての説明を、このシリーズで行います。そもそも、読めれば解けるはずです。

 

まず、「先行オーガナイザー」の利用からです。

 

課題を読む前に先立って、あらかじめ与える概略が先行オーガナイザーです(Ausubel,1960)。新聞で言えば、本文の前にあるリード文や見出しがに当たります。先にリード文や見出しを読んだ方が本文がわかりやすくなります。文章を読むときにも、先行オーガナイザーに触れることによって、理解が深まります。

 

 文章の場合、題や前書きがこれに当たりますが、気がつきにくいものとして、文章末の「出典」があります。ここには、文章を何という本(のどこ)から採ったかが書かれていますから、これを先によむことによって、文章がわかりやすくなることがあります。

 

題も、前書きも、出典も記されていない場合、どうすればいいでしょうか? 保護者が手間を惜しまないのであれば「文章の概略」を作ってあげて、先に読ませます。説明的文章であれば、「何についての話か」、「筆者は何が言いたいか」を先にまとめて読ませます。物語であれば「誰々が何々する話」程度にまとめます。物語のもう少し詳しいまとめ方については、2018/10/14のつぶやきをご参照下さい。

 

普段から以上のような練習を行っておいて、十分慣れてから、今度は先行オーガナイザーなしで読ませ、後から上記のような「文章の概略」を尋ねるようにします。このような手順を踏むことによって文章を読む意味が分かってきます。

 

保護者に時間がない場合、最初に斜め読みさせるのも先行オーガナイザーになります。もちろん、それで終わらずに、二回目は丁寧に読むようにします。斜め読みで何を読み取ってもらうかは、レベルによって違いますが、初級レベルだと「一番多く出て来た言葉」「初めと終わりに出て来た言葉」程度で構いません。 

2019/02/14

 

漢字を覚えるときに、してはいけないこと。

 

「ながら勉強、きままな筆順」

 

漢字のおぼえかたについては、大体のことはつぶやきました(※)。後は、「いつも同じ筆順で書く」ことも付け足しておくべきことです。筆順は正しいにこしたことはないのですが、たとえ間違っていても「同じ筆順」で書くべきです。それによって、「手の運動で覚える」からです。我々も漢字を思い出すときに「空書」(字を空中に書くこと)します。あれは、手で覚えている証拠です。ちなみに、欧米人は空書しないらしいですね。アルファベットしかないからでしょうか。

 

さて、漢字を覚えるときにしてはいけないことは、今の逆、つまり、日によって違う筆順で書いたりすることですが、同じ理由で、

10回書きなどの宿題が出たときに、先に部首だけ埋めて、後で「つくり」を埋めるというようなことをやってはいけません。一字全体を手の運動で覚えることができなくなるからです。

 

また、家族とおしゃべりをしたり、テレビを見たりしながら漢字の練習をしてはいけません。そもそも覚え方として、部首の意味や熟語の意味を考えながら覚えることが前提なので、他のことをしながらでは、構造や意味の理解が伴わないので、結果的に覚えられません。

 

逆に、手本の上からなぞること、手元に何もないときに空書することは、手の運動で覚えることになり、有効であるということは、小学校教師の間で定説になっています。

(※)2018/10/22,10/30,11/01のつぶやき参照。

2/17、18日は「つぶやき」をお休みします。

2019/02/13

 

先行オーガナイザー

 

「先に文章を読むことが、解くときのヒントになる」

 

問いを先に読めという人もいますが、あまりお奨めできません。

 

原則として文章を読んでから問いを読む方が有利です。その理由を以前は「注意の範囲」で説明しました(※)が、心理学的には「先行オーガナイザー」(Ausubel,1960)も理論的根拠になります。

 

先行オーガナイザー(先行して提供するおおよその枠組み)は、「予習」の必要性に根拠を与えていることが知られています。

いきなり「授業」を受けるよりも、ざっとでもテキストに目を通しておけば(「予習」しておけば)、「授業」の理解がしやすいのは当然です。この場合「予習」が先行オーガナイザーとなっています。「オーガナイザー」とは、「組み立て・理解を助けるもの」という意味です。

 

新聞は、「見出し」→「リード文」→「本文」の順に読んでいくと理解しやすくなります。この場合は、「見出し」と「リード文」が先行オーガナイザーです。論文の最初にある「要旨」、本の「前書き」など、先行オーガナイザーは日常生活において多くの場面で利用されています。

 

国語の問題を解くときには、「解く」という作業が目的です。したがって、この場合、「文章を読む」ことが先行オーガナイザーになります。問いを先に読んで「解き」始めることは、先行オーガナイザーなしに作業をすることになるので、不利です。

 

「ざっと斜め読みする」「丁寧に読む」などと読み方はありますが、少なくともこのどちらかを「先行オーガナイザー」として行ってから問題を解く方が有利です。

 

文章を読まずに解ける問題もあるので、そういう問題は先に解いたり、読みながら解くことができる場合はあります。ただし、読まずに解ける問題かどうかの区別をすること自体が生徒にとって難しいことです。(一見単純に見えて、実際は最後まで読まないと間違うという問題もあります)。

 

したがって、原則としては、文章を読んでから解くようにした方がいいでしょう(ただし、読みながら、すぐに答えが思い浮かぶ場合だけ、とりあえず答えを本文の横に書いていく、という方法であれば、そんなに悪くありません)。

 

時間が足りなくなることを心配する人もいますが、まずは認知的に自然な方法で練習し、その後でスピードを高めていくようにすればよいのです。最初からスピードありきでは本末転倒です。

 

まれに先に問いを読んでほとんどの問題を解ける人もいますが、どちらかというとかなり特殊な能力を持った人です。全国レベルでトップクラスの人の中にはそういう人もいます。そういう人が、他の人に自分のやり方を教えるのは危険です(これはすべての学習法にいえることですが)。

 

逆に、帰国子女でほとんど文章が読めない人には、私も先に問いを読む戦略を教えたこともあります。

 

いずれにせよ、両極端の場合にしか、先に問いを読むことが有利になることは少ないと考える方がよいでしょう。

 

 

(※)2018/08/25のつぶやき(「メニュー」→「勉強法―今日のつぶやき―backnumber1」)。最初に広い範囲に「注意(attention)」をした後でも、狭い範囲に「注意」を切り替えることは容易だが、最初に狭い範囲に「注意」をすると、広い範囲に注意を向けるのが遅くなるという実験結果を紹介しています。

2019/02/12

 

宿題をやる理由

 

「知的活動の基本―生きるために―」

 

将棋の藤井聡太七段は中学生の時に「なぜ宿題をやる必要があるのか」と先生に聞き、30分ほど話し合いました。「十分でない理解を助けるため」と説明されて納得されたそうです。

 

「教師は授業で勝負する」と言う先生でも、授業で勝負するためには、十分な準備をし、授業後には振り返りや反省を行って、次の授業へのフィードバックを考えています。

 

生徒も同じ側面を持っていると思います。一時期話題になった「ハーバード白熱教室」でも、マイケル・サンデル教授授業に出るまでに、生徒達はチューターの指導のもとに入念な準備を行っています。

 

大学のゼミにしてもそうです。ゼミの中だけで全てが学べるのでなく、レポートやレジュメの準備があり、授業での議論やアドバイスを元にして、またテーマを自分で深めて追及していきます。

 

このように、学習・知的活動というものはその場で完結するものでなく、「準備・予見→実行→反省・フィードバック」のサイクルを描くものです。「予習→授業→復習」もこのサイクルの一種と言っていいでしょう。Zimmerman & Schunk(2011)は、このような自律的な学習サイクルを「自己調整学習(sef-regulated earning)」として理論づけています。

 

それだけでなく、社会に出ると「授業」はなくなります。その時にこのような学習サイクルを自分で回していく力を養っておかないと、その場しのぎの対応しかできなくなる可能性さえあります。宿題は、この力を養うためのきっかけとして利用できるものであり、最終的には自分で学習サイクルを回せるようになってもらうためのものです。

以上は、もちろん宿題が適正に出された場合の話です。あまりにも形式的な宿題だったら、藤井聡太七段も納得しないでしょうね。

2019/02/11

 

子どもが文章を読んだ後、簡単にいうとどんな話だった? と聞いてみる

 

「短く話せるように導く」

 

上の図(市川,2004)にあるように、情報を処理するとき(文章を読んだとき)人間は持っている知識を「内的リソース」として使います。レコーダーやビデオなどの機械であれば、物理的記録として処理するだけなので、「どんな話だった?」と聞いても、そのまま再生するだけです。

 

人間は、持っている知識(内的リソース)を使って内容を理解し蓄えており、それを必要に応じて要約して答えます。

 

ここから言えることは、「簡単に言うとどんな話だった?」と子どもに聞いたときに、話が長くなる(例えば、初めから話し出すとか)ようだと、「内的リソース」を使っていない可能性があるということです。もちろん「内的リソース」を使う方が理解(読み取り)や表現(答案を書くこと)に有利なことは言うまでもありません。

 

この場合は「もっと短く言っていいんだよ」と言ってあげるのが、できるだけ「内的リソース」を使うように導くことになります。

 

2019/02/10

 

成功か失敗か

 

「どちらからでも学べる」

 

成功、つまり問題が解けたときにやっておくことは、どのようにして解いたかを言語化しておく(例えば、頭の中で考えた手順を言葉によって反復しておくなど)ことです。こうすれば、この後、類似問題に当たった時に解きやすくなります(スキーマ帰納,Gick & Holyoak,1983)。特に算数などで有効です。

 

失敗、つまり問題が解けなかったときには、なぜ解けなかったのか、どうしたら良かったのか、何がわかったのかを教訓として引き出します(教訓帰納,Ichikawa,2005;2019/1/29のつぶやきなど参照)。全科目に有効です。

 

いずれにしても、漫然と問題を解くのでなく、一問一問から次に役立つことを抽出していくことが大切です。量より質ですね。

2019/02/09

 

低学年の説明文

 

「『なぜ どうして』のシリーズを」

 

物語より説明的文章が苦手だと、よく聞きます。そこで、低学年から練習した方が良い場合があります。

かといって、練習する教材があまりないですね。

 

おすすめしているのは『なぜ? どうして? かがくのおはなし』(コスモピア 大山光晴)です。問題集ではありませんが、学年ごとに別の本になっており、身近な話題についての短い文章がいっぱいはいっています。子どもが一つ読んだ後に、「どんなことが書いてあった?」と聞くと良い練習になります。

 

他の出版社からも類似書が出ています。「なぜ どうして」のキーワードでアマゾンを探すと出て来ます。 

2019/02/08

 

保護者が読解を教える時 番外編

 

『ドラゴン桜2』

 

「覚えておいて損はない」

『ドラゴン桜2』(「モーニング」三田紀房)という、東大受験を扱った漫画があります。国語の太宰府治(だざいふ おさむ)という先生がコツを教えます。
「文章構造は、対比関係、原因-結果関係、言い換え関係しかない」
「キーワードは、題、最初の段落、最後の段落、重要な接続詞の後にある」
と二つのことを教えてくれます。漫画なので単純化してあり、鵜呑みにはできませんが、使えるところもあります。
対比関係というのは先日のつぶやき(2019/01/27)で触れました。対立する主張のことですね。原因-結果関係は、主張と論拠のこと、言い換え関係は、主張の反復のことです。
子どもに教えるのには向いていません(そこまでの抽象化(※)が年齢的に無理、これ以外の要素が文章にある、却って文章を読まなくなる、などの理由)が、この教えを頭に入れておけば保護者が手早く文章を読むのに役立ちます。覚えておいてもいいかなと思います。
(※)「抽象化」=「形式的操作」:抽象的なことを考えること。11歳頃から発達し始める。(Siegler,DeLoache&Eisenberg;2006)

2019/02/07

 

保護者が読解を教える時 その19

 

読み方を教える その1  「地図を書く」

 

どのように問題を解くかということばかりに目がいくと、どのように文章を読むかというかということを忘れてしまいがちです。

今日はどのように文章を読むかということについて少し。

 

① 適当なところ(あらかじめ読んでおいた方がよい)まで読ませて、どんなことが書かれていたかを簡単に言わせます。これをモニタリング(※)と言います。最初は全部言おうとしがちですが、「もう少し簡単に言えるかな」と指摘することによって、少しずつ簡単に言うようになります。

 

② それを書き取ります。

 

①と②をくり返すと、紙の上に文章構造の「地図」ができます。子どもの言ったことがつながるように、字の大きさや書く場所(上下左右)を工夫してあげてください。

 

その地図を見ながら問題を解かせたり、説明をしたりしてあげてください(地図に書き加えてもいいです)。

 

子どもは問題が解きやすいと感じるはずです。自分で地図が書けるのが次の段階ですが、この段階を飛ばしてもいいので、頭の中で地図が書けるようになるのが最終段階です。そうすれば問題が解きやすくなることを説明してあげて下さい。

 

(※)キーワード「モニタリング」:自分がどのくらい理解しているのかを確認しようとするメタ認知的方略(Weinstein & Mayer, 1986)

2019/02/06

 

実力がついているかどうかの測り方 その2

 

「テストと違って、質問用紙だと確実に測れる」

 

私の場合は、科目に関する質問と、メタ認知(※1)に関する質問をすることにしています。

 

国語という科目についての質問だと、「接続詞の問題を解く時、必ず前の一文と後の一文は読むようにしている」のように、国語の問題を解く上で必須の知識や方略を質問します。算数であれば「検算することにしている」や「単位を書いているか確認することにしている」のようになるかも知れません。

 

メタ認知に関する質問だと、「計画を立ててから勉強することにしている」とか、「覚えるものによってやり方を変えている」「テストの後に、何点取れたかを出してみる」などのように、計画・実行・評価の各段階での様々な知識、方略、活動について質問します。

 

質問に対して、例えば「まったくそうでない」「どちらかと言えばそうでない」「どちらとも言えない」「どちらかと言えば、そうだ」「全くその通りだ」の五段階のどれかを選ばせます(七段階でも九段階で可)。

 

三ヶ月後~1年後(期間は勉強の濃度による)に同じ質問をして、段階が上がっていれば、実力がついています。

 

普通のテストでは(特に国語はそうですが)、テスト難易度の差や内容効果(※2)のために、偏差値が上がったり下がったりをくり返すことになりがちで、実力が測りにくいです。しかし、質問用紙を使えば、「同じ質問をするために」、そのような不確定要素が排除されるので、はっきりと実力の伸張がわかります。

 

ただし、質問用紙に対する子ども(実は大人も)の評価は、甘くなりがちな点には注意が必要です。

 

(※2)キーワード「内容効果」:論理的には同じ形式であっても,課題の表面的な意味内容が異なると正解率が大きく変わること。(Griggs & Cox, 1982)。特に国語であれば、文章によって、できが左右されるし、知っている話題であればわかりやすく、なじみのない話題であればわかりにくくなる。

 

 

(※1)キーワード「メタ認知」:Flavell,1987。認知の認知。認知(cognition)は、五感でものを感じたり、絵や図を見たり、本を読んだり、問題に取り組んだりという精神活動。メタ認知は、(自分が)行った精神活動を、更に高い次元から見ること。具体的には、「自分で改善していく」や、「勉強の仕方を考える」、「自分の理解状態を把握する」、「どうしたらよく覚えられるかを考える」「自分の行動に自分で優先順位をつける」などの様々な精神活動。例えば、漢字を十回書いてきなさいと言われて、何も考えずに十回書く生徒は、メタ認知を利用していない。「十回書くうちに覚えてしまおう」と考えながら書いていれば、メタ認知活動をしていると考えられる。「認知」が人間の精神活動全般に関わるものである以上、「メタ認知」は、人間の精神活動を高度にするもので、勉強も精神活動である以上、上に挙げた例のように、「メタ認知」的な考え方が直接勉強の成果に結びつくと考えられる。「メタ認知」は、小学校中学年ぐらいから発達し始めると言われている。

2019/02/05

 

実力がついているかどうかの測り方 その1

 

「質問用紙」

 

写真はリッカート法という質問用紙で、聞きたいことを質問の形式にして、5段階で答えてもらうものです。大人数に聞いて、統計処理をすることが多いですが、1人に対して、伸ばしたいところを質問の形式で聞き、三ヶ月程度の間を置いてもう一度同じ質問をすることによってその成長度合いを測ることもできます。

 

質問の仕方を考えるのは慣れないうちは難しいかもしれません。次項では質問の仕方について少し述べるつもりです。

2019/02/04

 

知っていると得する豆知識 その2 

 

複数問選択肢の解き方(苦手な子向け)

 

「一つ選んだからといって、安心しない」

 

 

( 1 )~( 5 )の中に入る最も適当な語を次の中から選び、記号で答えなさい。(一語一回に限る) ア しかも  イ ただ  ウ つねに  エ もしかしたら  オ やがて

 

…物語でも思考の書でもなく、( 1 )奇妙な一冊の本なのではないか。…

 

以上のような問題で、( 1 )にイの「ただ」を選ぶ生徒もいます。そこまでは仕方が無いかも知れないのですが、安心してしまわないこと。ほとんどの苦手な子は安心して、次の答えを選ぶ時にその選択肢を忘れてしまいます。これは、自分の解答が正しいかどうかを確認するというメタ認知(※)に関わっています。自分の選んだものが、他の所に使えないかどうかを常に考えるようにして下さい。

 

下に原文を載せておきます。解答は順にエ、ア、イ、ウ、オ(神戸女学院入試問題より)

 

(※)キーワード「メタ認知」:2019/01/29(その2)のつぶやき参照

2019/01/30

 

国語が1人で勉強しにくい理由

 

「子ども目線でフィードバックを」

 

国語は、選択問題にしろ、記述問題にしろ、自分の出した答えがどう間違いなのかがわかりにくくいですね。

 

算数であれば、式を見直せばどこが間違ったのかが分かります。暗記科目であれば、覚えてしまえばよい。けれど、国語には式がないし、答えを覚えても意味がありません。結局、子ども自身に何もフィードバックがないということになります。

 

Zimmerman & Schunk, 2011は、学習過程を「サイクルモデル(cycical phase model)」という言葉で説明しています。「どのように学習していけばよいか」を考え、「実行」し、「結果の分析」をします。「結果の分析」からのフィードバックが新たな「どのように学習していけばよいか」につながり、らせん状にレベルが上がっていくとしています。

 

「結果の分析」とフィードバックがない限り、国語学習のレベルは上がらないけれど、1人では行いにくい。この点に難しさがあります。

 

指導者の役割は、子どもの目線に立って「結果の分析」とフィードバックを行うことです。

2019/01/29 その1

 

【保護者が読解を教える時 何も書いていないときは?   教え方まとめ】

 

① 何も書いていない→

 

② 問題の意味がわかっているかを確認する(1/08,12,13,15)→

 

③ それでも答えが書けなかったら→

 

④ 文章が分かっているかを確認する(1/18)→

 

⑤ 答えが書ける(1/22)→

 

⑥ 書いた答えが間違っていたら、質問、考え直し、「教訓帰納」を行う(1/24,1/29)

 

【保護者が読解を教える時その12~18】が煩雑になったので、手順だけを簡単にまとめています。詳しくは( )内の日付に書いた「つぶやき」を御参照下さい

2019/01/29 その2

 

保護者が読解を教える時 その18

 

何も書いていないときは? そのH(終わり)

 

「書けなかった理由と書けるようになった理由を聞く」

 

前回は「教訓帰納」についてざっと書いただけなので、今回は順を追って詳しく書きます。

 

さて、最初は何も答えを書けなかった(1/8)のが、正解を書けるようになりました(1/22)。

 

まずは、「最初はどうして何も書けなかったんだろう?」と聞きます。「問題を読み落としていたから。」とか、「前の文を読んでいなかったから。」と、色々な答えが返ってきます。

 

次に、「どうして答えが書けるようになったのかな?」と聞きます。「文章をよく読み直したから。」とか、「『そして』の働きに気がついたから。」などと、やはり色々な答えが返ってきます。最初の質問に対する答えと同じような答えでも構いません。

 

三番目にに「この問題で学んだことは?」と聞きます。「前の文を読む」とか、「選択肢に○×△をつける」などと、子どもが言ったことを、ノートに書かせ、赤で囲ませます。最後に、例えば「前の文を読む」と書いたところを、「前と後の文を読む」というふうに、汎用性があるように付け足してやっても構いません。

 

以上のことによって、子どもが自分でやったことを振り返り、自分で改善していく「メタ認知」的思考を促します。

 

キーワード「メタ認知」:Flavell,1987。認知の認知。認知(cognition)は、五感でものを感じたり、絵や図を見たり、本を読んだり、問題に取り組んだりという精神活動。メタ認知は、(自分が)行った精神活動を、更に高い次元から見ること。具体的には、上記の「自分で改善していく」や、「勉強の仕方を考える」、「自分の理解状態を把握する」、「どうしたらよく覚えられるかを考える」「自分の行動に自分で優先順位をつける」などの様々な精神活動。例えば、漢字を十回書いてきなさいと言われて、何も考えずに十回書く生徒は、メタ認知を利用していない。「十回書くうちに覚えてしまおう」と考えながら書いていれば、メタ認知活動をしていると考えられる。「認知」が人間の精神活動全般に関わるものである以上、「メタ認知」は、人間の精神活動を高度にするもので、勉強も精神活動である以上、上に挙げた例のように、「メタ認知」的な考え方が直接勉強の成果に結びつくと考えられる。「メタ認知」は、小学校中学年ぐらいから発達し始めると言われている。 

2019/01/28

 

読解のためのことば その1

 

「話をたくさんする」

 

こどばをたくさん知っているほど読解力があるという研究は数多く報告されています。常識的な直感でも確かに正しいと感じられますね。

 

NRP(※1)によると、小学1年生などの文章を読み始める段階で、すでに読解力に差があるのは、話し言葉の差が影響しています。教科書や本に現れる文字を、すでに話し言葉として知っていれば、その意味がわかります。けれど、話し言葉として経験したことがない言葉に出会うと、たとえ音読できても意味がわかりません(NRP 4-3)。

 

これは当たり前のことなのですが、忘れられがちなことです。教科書を読んでいれば読解力がつくというのは、部分的に正しいですが、正確に言うと、特に初心者のうちは、「たくさん話すから教科書(本)を読む読解力をすでに持っており、教科書がが読めるから、さらに読解力がつく」のです。

 

保護者との会話(読み聞かせも含む)、友達との話は、この意味でとても大切な事です(※2)。

 

(※1)キーワード「NRP」…National Reading Panel U.S.(2000)。読解力を科学的に分析した報告

(※2)社会性を獲得する上でも大切です。

2019/01/27 

 

簡単に文章を理解する方法

 

「反対のものを見つける」

 

「戦争と平和」、「愛と憎しみ」のような反対のものや、「他者の主張と筆者の主張」のような反対のことをを見つけて囲むと文章が読みやすくなります。この手法だけで教えている塾教師もおり、本も出しています(※1)。

 

学習塾では「対比」と呼ばれることが多いこの構造は、論説文で特に使われやすいものです。「平和」の尊さだけを何度もくり返すより、「戦争」の悲惨さを伝えることによって逆に「平和」の尊さが伝わりやすいことがあります。このように論説文の筆者が、自分の主張を伝えるために「反対のこと」を文章に挿入するテクニックです。

 

子ども達も(大人もですが)、反対のものと比べることによって、難しい論説文が理解しやすくなります。物語でも同じように考えられます(優等生の兄と劣等生の弟、とか)。

 

ソシュールやレヴィ・ストロース(※2)の「二項対立」が元になっています。

 

文章構造の肝となるので、問題としても出題されやすくなります。2019/01/25で紹介した「結論・主張」に線を引くことに加えて、「反対のもの、こと(対比)」を枠で囲むようにすると、全体が把握しやすくなります。

 

(※1)和田吉弘『国語授業の実況中継―中学入試(上)(下)』

(※2)Saussure,1916;Levi-Strauss,1962

2019/01/26

 

一斉授業の塾か、個別指導の塾か その4

 

「個別指導のシステムを知る」

 

1対1~1対3まであります。1対2や1対3でも教師が一人ずつ教えます。生徒の学年が違うこともありますし、一斉授業ではありません。1対2や1対3は、1対1に比べて教えてもらう時間は減りますが、一斉授業に比べると多くなります。教わらない時間は指定された問題を解いて待ちます。

 

専任の教師か学生などのアルバイトかという違いもあります。教師を選べる場合もあります。

 

教師を選ぶなら、経験のある専任の教師の方が有名大学の学生よりも良いでしょう。学生やアルバイトで教える才能がある人ももちろんいますが、多くは自分自身が「できた」人で、「できる」ことと「教える」こととは違います。これについては2018/10/09のつぶやき(back number2)を参照して下さい。また、専任の方が、責任感を持って教える傾向が強いでしょう。

 

カリキュラムとテキストがあるかないかという違いもあります。お任せするのであればしっかりしたカリキュラムとテキストがある方がいいです(※)。個別にカリキュラムを作ってくれるところもあります。別の塾や学校のカリキュラムに沿って勉強しており、その上でわからないところを質問するのが目的であれば、カリキュラムにこだわらなくても構いません。

 

どの程度の頻度で実力テストがあるのかもチェックしたいところです。少なくても2ヶ月に1回、できれば1ヶ月に1回はあった方が、テスト経験不足にならなくてすみます。

 

保護者と教師の双方向の連絡、コミュニケーションがしっかりしているかどうかもチェックポイントです。連絡帳などがきちんと書かれ、保護者からの質問が気軽にできたり、まめに懇談してくれたりする方がいいです。

 

その他、自習室の有無や進路指導があるかどうか、曜日時間が選べるか、安全対策がなされているか、振り替え授業ができるか、なども確認する点です。

 

(※)市販のテキストよりも塾用の教材、塾用の教材よりもオリジナルテキストの方がいいですが、スケールメリットがないので、オリジナルテキストまでは手が回っていないようです。 

2019/01/25 文章中の線の引き方 その2

 

「引ければ引く」(高学年・苦手意識のあまりない子向け)

 

大事な所に線を引くことはあまりおすすめしませんでした(理由は1/19参照)。それでも一般的に引いた方が良いと言われているところはあり、私自身も場合によっては引かせることもあるので、ご紹介します。

 

面倒がらない子や、国語がそれほど苦手ではない子であれば、引いた方が、ワーキングメモリを(※1)を別のことに使えるので、試験に有利になりやすいでしょう。

 

説明的文章でひく所 ⅰ 「話題」「問題提起」

 

…「人生について」などとはっきり書かれている話題や、「考えるとはどういうことだろうか」という質問の形になっている問題提起に線を引きます。「先日シンポジウムがあり、私もバネラーの一人として参加してきた。私自身の専門は科学であるが、グローバリズムに無関係というわけでもないので、ずうずうしく参加したのである。」などと、はっきり示されていない場合(話題は「グローバリズム」)まで引けると上級者です。

 

「話題」がなにかということをはっきり認識すると、その後の展開が読みやすくなります。

 

説明的文章でひく所 ⅱ 「結論」「主張」「筆者の言いたいこと」

…「従って私は~と思う」などとはっきり書かれている場合もあります。「私が言いたいのは・重要なことは」などの文頭や、「思う・~ではないか・~のだ(である)・べきである・しよう・ことが大切である」のような文末に注意するというテクニックも使います。重要なことは文章末に多いという知識も活かせます。

 

「結論」はいうまでもなく最重要点なので、問題にもなりやすいですね。文章によっては、結論がいくつもあったり、いくつもあるように見えたりする場合もあります。この場合はやや上級者向けです。これについてはまた項を改める機会もあると思います。

 

説明的文章でひく所 ⅲ 重要な接続詞

…「つまり(などの言い換え)」は、簡単にまとめるとき、「従って(などの順接)」はここまでの理由説明を受けて結論を述べるとき、「しかし(などの逆接)」は、この後に筆者の主張が始まるときなどに使われるので重要です。「このように・要するに」は接続詞ではないが、「つまり」と同じように使われます。接続詞は線でなく○で囲んでもいいですね。

 

上に挙げたような接続詞を多発する文章もあります。煩雑になるので、重要度を見極める必要もあり、この場合はやや上級者向けになります。

 

説明的文章でひく所 ⅳ 「理由」

…結論を主張するための理由が書かれているところがあります。理由説明の問題はよく出題されるので、あらかじめ引いておくことが有効になりやすいでしょう。線が長くなり、見にくくなりやすいので、囲む方がよいと思います。

 

説明的文章でひく所 ⅴ 「具体例」

…話をわかりやすくするために具体例が挙げられます。具体例そのものは論理展開に関係がないので、慣れてくれば、そこを省いて読むこともできます。具体例であることに気がつくことは、読解のテクニックの第一歩でもあります。具体例も、文章が長くなるので、(理由とは区別できるように)その部分を囲むといいでしょう。

 

上にも書きましたが、煩雑にならない程度に、線や囲みの種類は工夫してもいいでしょう。他に「並列」や「対比」という観点もあります。これについては項を改めます(「並列」については2019/02/20のつぶやき参照)(「対比」については2019/01/27のつぶやき参照)。

 

くり返しになりますが、線を引くことは、「形式的操作(抽象的思考)」になり、形式的操作は11歳あたりから発達し始める(※2)ので、高学年向きです。

 

(※1)キーワード「ワーキングメモリ」:その時点で、現在進行形で頭の中で考えることのできる量。個人差がある。(Baddeley,1980)

(※2)キーワード「形式的操作」」:抽象的なことを考えること。(Siegler,DeLoache&Eisenberg(2006))

2019/01/24 その2

 

保護者が読解を教える時 その17

 

何も書いていないときは? そのG「教訓帰納」

 

子どもの書いた答えが間違っていたら教えるのでした(1/22)。

 

まず、間違っているとか合っているとか言わずに、「どのようにしてこの答えにしたの?」と聞きます。責める口調でなく、純粋に質問として聞きます。

 

問い詰めるように聞くと、子どもが警戒して心の内を明かしてくれない可能性があります。黙ってしまったり、「何となく分からなかった」と言ったり、「あれ?」と言ってごまかしてしまうこともあるのです。

 

ここでの目的は、「子どもがどう考えたかを聞き取ること」です。子どもが質問に対して、自分の考えていたことを話してくれたら質問は成功です。

 

子どもの考えを聞いてから、その間違っているところを指摘してあげます。できるだけ指摘だけにとどめ、その後はもう一度考えさせるようにするのがいいです。それによって自分で考える力がつきます。つい全部教えたくなるのをぐっとがまんしましょう。

どうしてもわからないようなら段階的にヒントを小出しにします。

 

子どもが正解を導き出せたら、「どうしてできたのかな?」と聞きます。相手が、できた理由や手順をもう一度自分で説明できればOKです。さきほど全部教えないようにと言いましたが、全部教えてしまっていると、「どうしてできたのかな?」という質問に対しては、「教えてもらったから」という答えが返ってくることになりかねません。これでは、勉強はやり方を教えてもらうものという考えがしみつき、自分で考える習慣が身につきません。

 

つぎに、「この問題で学んだことは?」と聞きます。子どもが「こういうときは、こうしたらよい」ということを答えたら、それをノートに書かせ赤で囲ませます。後々役に立つように、親が少し書き加えたりして助けてあげてもいいかもしれません。これを「教訓帰納」(市川,1990)と言います。これによって「転移」が起こりやすくなります。

 

次項は「教訓帰納」について具体的に説明します。

2019/1/23

 

一斉授業の塾か、個別指導の塾か その3

 

「わからないところを教えてもらうのなら個別(1対1)」

 

教師を独占できます。もちろん先生の教え方によります(※1)が、少なくとも物理的な効率がいいですね。

 

一斉授業の塾でも質問できるようにしている所が多いが、機能しているとは言い難いようです。

 

例えば、授業の前後に質問できる大手塾もありますが、生徒が多いので、物理的に無理です。

 

また、自習時間をとって教師を配置している一斉授業の大手塾もありますが、やはりいくつか問題点があります。

① よい教師が配置できなかったり、教師が別の作業(採点など)をしていたり、教室を出入りして別のことをしたりする。

 経営側は費用対効果から教師の有効利用を考えるので、このようなことが起こります。

② 生徒に積極性がない限り、教師の方からは教えてくれない。

 ①と関連しますが、教師にとっても、この時間は別のことができる時間です。また、自習する生徒が複数なので、教える時間が物理的に少なくなります。ただ、、親切な教師が積極的に教えてくれたり、生徒の方に質問をする積極性があれば、うまく利用できたりする可能性は残されています(※2)。

 

個別の塾であれば、上記のような問題点がないので、うまく機能すれば効果があります。

 

(バックナンバー:一斉授業の塾か、個別指導の塾か その1(2019/01/10)、一斉授業の塾か、個別指導の塾か その2(2019/01/14)

 

(※1)個別でも色々な教え方があります。これについては項を改めます。 

 

(※2)質問する積極性を持つために、前提として質問する習慣を付ける必要があります。重要なことなので、これも項を改めるつもりです。

2019/01/22 その2 

 

保護者が読解を教える時 その16 

 

何も書いていないときは? そのF

 

「該当部分の内容を説明させる」

 

「そのE」まで進んでも何も書けない場合は、文章の該当部分がわかっているかを確認するのでした(1/18)。

 

該当部分がわかっているかどうかを確認するには、

① 文章中の言葉でわからない言葉があるかを確認します。あれば、「そのB」(1/12)や「そのC」(1/15)のテクニックを適宜使ってわかるようにします。ただし、言葉がわからないと文章が読めない、と思わせないようにほどほどに。一つや二つ言葉が分からなくても文章の大意が分かることも多いからです。この辺りの加減は経験も必要です。

 

② 該当部分全体でどんなことが書いてあるかを簡単に説明させます。子どもなりの拙い説明であっても大体あっていれば良しとします(※1)。説明に明らかな間違いがあれば正します。もう一度読ませるなどして、できるだけ子どもが自分で気づくようにします。

 

この段階まで進む過程で解答が書けると思います(※2)。

 

(※1)要約的、抽象的な説明ができなくても構いません。羅列的で、不必要な内容が含まれていることが多いですが、この年齢はまだ抽象的な思考が芽生える段階です(Siegler,DeLoache&Eisenberg(2006))から、間違っていなければ良しとします。

 

(※2)この段階で解答が書けない場合は、問題の特殊性(記述問題や作業が複雑な問題など)に原因があることがほとんどです。これについては、項を改めて書きたいと思います。 

2019/01/21 その1

 

約1年教えた生徒が洛星中学校に合格しました。選択肢の選び方(2018/10/25)が役に立ったそうです。

2019/01/20

 

知っていると得する豆知識 その1【接続詞『そして』の見分け方】(低・中学年および苦手な子向け)

 

「文末だけを見る」

 

接続詞を空欄に挿入する問題をよく見かけます。

 

少し国語が苦手な生徒に、「この(   )に「だから」を入れたのはどうして?」と聞くと、「何となく文に合っているから。」と答えます。こんな答えをするときは、前の文末と、次の文の初めの辺りしか見ていません。

 

接続詞の空欄補充問題は、少なくとも「前の一文すべて」と「次の一文すべて」を読んでから、その「関係」を考えるのが本来の解き方です。

 

しかし、中学年までの子や苦手な子は「関係」を考えるのが苦手かもしれません。この時期は、具体的なものごとを扱う操作(具体的操作)から、抽象的な「関係」を考える「形式的操作」への移行期に当たるからです(※1)。

 

それでも、次の問題は解きやすいですね。「A君は財布があるか確かめた。(   )、ジュースを買いたかったから(だ)。」

次の文末に「から」があるので、答えが「なぜなら」であるとわかります。

 

実は、「そして」も同様に解けます。語源が「そう」+「して」なので、「歯を磨いた。(   )寝た。」のように、本来は「連続する動作をつなぐ働き」があります。したがって、

二つの文末だけを見て、同じような「動作(に類するもの)」があれば、「そして」と考えてよいでしょう。

 

例えば、次の様な問題です。

 

「…自分のそんな醜い思いに『辛くなるのだった』。(   )広場に彼の姿を見かける度に憂鬱になり、また『気が重くなるのだった』。」(辻仁成『そこに君はいた』)

 

「おとうさんはそこで言葉を『切った』。(   )ビニールぶくろからオレンジジュースをだして、乱暴に私に『おしつけた』。(角田光代『キッドナップ・ツァー』)

 

前の文と後の文で『   』部分が、同じ種類の言葉(二つの動作)なので、「そして」が入ることがわかります(※2)。

 

本来の解き方ができるようになるのが大切なのは当然ですが、あくまでも過渡期の知識として、このことを知っていると、他の選択肢がえらびやすくなるので、

接続詞の選択問題全体の正答率が上がります。

 

(※1)キーワード「形式的操作」:具体的なものごとを扱う操作が完成するのが11歳ぐらいまでで、この前後から抽象的なものごとを扱う操作(形式的操作)が発達し始める。Siegler,DeLoache&Eisenberg(2006)

 

(※2)「じゃがまるは、その仲間に入れてもらえす不(ふ)機(き)嫌(げん)に『なっていた』。(   )とうとう別れの前日に『なった』。」(麻布中学入試問題・森絵都『子どもは眠る』から)のように、多少の変化はあります。

2019/1/19

 

文章中の線の弾き方 その1

 

「わからないところに線を引く」

 

大切な所に線を引きなさいとよく言われますが、それが最初からできれば苦労しません。

 

国語が苦手な子にそう教えると、間違ったところに線を引き、かえって混乱したりします。あるいは、いつでも文章の最後に線を引いたりしますが、最後が必ず大切とは限らないし、そんな楽な話があるはずもないのです。

 

そもそも文章の大事な所がわかるということは、ある程度文章が読めているということです。読む力がまだついておらず、大切なところが判断できないから「苦手」なのです。

 

考え方を変えてみてはいかがでしょうか?

 

わからないところに線を引くと、そこがわかっていないということがわかります。これを「メタ認知」と言い、学習していく上でとても大切な事です(※)。苦手な子は、「どこがわからないかと」いうことがわかっておらず、「漠然とわからない」と思っていることが多いのです。

 

線さえ引けば、次は「わからないところ」を解決する方法を考えればいいのです。解決方法については、「推理」「辞書引き」「質問」の順で行います。

 

推理については2019/1/12のつぶやき、辞書引きについては2019/1/13のつぶやきをご参照下さい。(二つの「つぶやき」は、「問いの文」の推理について述べていますが、文章の推理についてもほぼ同じです。文章の推理については、『保護者が読解を教える時』のつぶやきで書いていく予定です。)

 

 

キーワード「メタ認知」:metacognition(2018/11/23のつぶやき参照)

2019/1/18

 

保護者が読解を教える時 その15

 

何も書いていないときは? そのE

  

「該当部分の文章が分かっているかを確認する」

 

問いが理解できたら問題を解くのでした(1/15)。(もちろん、初めから問いが理解できていたら、「そのB」~「そのD」は省略可能です。)

 

初めは何も書けていなくても、問いが理解できた後では、生徒なりの解答を書くようになります。その解答を見て、教える段階に進みます。

 

ただ、問いが理解できた後で何も書けない場合があります。それは文章中に理解できない部分があるということですから、文章の該当部分をもう一度読ませ(※)、わかっているかどうかを確認し、わからないところをわかるようにします。

 

わからないところをわかるようにするには、問いの意味を確かめるときに使った「そのA」~「そのD」までのテクニックを適宜利用します。

 

あわてて保護者が教えない方がいいです。目的は読解力の養成ですから、保護者が教えて量をこなしても意味がありません。子ども自身が推理し、調べることが読解力につながります。特に推理が重要で、推理する過程は、初見の入試問題(国語に限らず英語、古文なども同様)を解く力にもなります。従って、特に「そのB」のテクニックは重視して下さい。

 

(※)文章の該当部分をもう一度読ませるときですが、最初からすべて読ませる必要はありません。どの程度の範囲を読ませるかは、慣れないと難しいですが、次善の方法として、以下のような簡単なやり方もあります。

 

文章中には問いになることを示す傍線部分や空白があります。まずはそれらを含む一文を読ませて分かっているかを確認しましょう。それで足りる場合もあります。足りなければ、その文の前後、あるいはその文を含む一段落を読ませます。このようにして、少しずつ範囲を広げるといいでしょう(続)。

 

キーワード「モニタリング」:National Reading Panel(U.S.)(NRP)4-70(2018/10/11のつぶやき参照)

          「NRP」:読解力の科学的分析報告https://www.nichd.nih.gov/sites/default/files/publications/pubs/nrp/Documents/report.pdf

2019/1/17

 

塾講師を辞めて個別指導を始めた理由 その2(※)

 

「生徒アンケート」

 

生徒が教師を評価する「アンケート」を実施している大手塾は多いです。

 

生徒の評価を見て自分の成長に資するという利点があります。アンケートを実施しない塾で働いていたときには、私自身が個人的にアンケートを採っていました。

 

ただ、それが「査定」に結びつくとなると悪影響もあります。アンケートをよくするために教師が生徒に迎合するケースが多くなるからです。

 

例えば、「おもしろいかどうか」について、生徒が教師を5段階で評価して、教師に点数化されて示されます。よくわかって面白い授業を生むこともありますが、面白さのために何かを犠牲にしている授業を生むこともあります。

 

また、点数は教師に対するフィードバックとしても十分ではありません(個人的に採っていたときは、文章で書いてもらっていました)。

 

直接の理由ではありませんが、そういう無機的な管理ふうのシステムよりも、自由に考え創意工夫する方がよい教え方につながるのではないかとは思い始めていました。それが個別指導につながっているかも知れません。

 

(※)(その1は、2018/11/14) 

2019/1/16

 

記述問題の教え方 その2

 

「過去の答案を取り置く」

 

問題を置いておく必要はありません。間違えた答案を取り置いて一定の期間後1に本人に見せ、どこがおかしいかを聞きます。

期間をおくと、本人も成長しており、また冷静に読むことができるので、答案を見ただけでおかしなところが本人にわかります。

 

例えば、前回(1/11)に述べたような「水増し」や、主語述語の不一致、不適切な接続語、おかしな助詞の使い方などを本人が指摘すれば、それを「教訓帰納」(※2)としてノートに書かせます。

 

指摘できたことに満足するのでなく、教訓帰納することが大切な所です。なぜなら、その答案について指摘できても、放っておくと別の問題を解くときにはまた(時間に追われてあせったりすることによって)同じ間違いをすることが多いからです。知っていることと出来ることとは違う、ということですね。

 

手軽ですが有効なのでお試し下さい。

 

(※1)個人差がありますが、一年後、半年後ぐらい後がいいでしょう。

 

(※2)キーワード「教訓帰納」(市川,1193):2018/12/29のつぶやき参照

2019/1/15

 

保護者が読解を教える時 その14 

 

何も書いていないときは? そのD 

 

「仮想的教示を使う」

 

問いの文に分からない言葉があるときは、意味を推理させたり(1/12)辞書を引かせたり(1/13)するのでした。こうして言葉の意味が全てわかったら、もう一度問いを読ませて、意味がわかっているかどうかを確認します。

 

わかっているかどうかがはっきりしないときは、「仮想的教示」という方略を使うといいでしょう。これは生徒が先生役に、保護者が生徒役になって、先生役が生徒役にわかりやすく教える演技をするというものです。遊びの要素が入っているので、子どもは好みます。

 

問題の意味がわかったら、いよいよ問題を解く段階です(続)。

 

キーワード 「仮想的教示」(市川,2010):2018/10/03と、2018/11/22のつぶやき参照。 

2019/1/14

 

一斉授業の塾か、個別指導の塾か その2

 

「安心感を得るなら一斉授業の大手」

 

一斉授業というより大手塾ですが、スケールメリットがあります。入塾すれば受験まで進むシステムが整っていますし、科目別に教師がそろっており、教材や模試も塾で用意しています。受験情報も入手しやすいです。学校を招いて説明会を開く塾もあります。弁当の用意があったり、駅まで送ってくれたりなどのサービスがあるところも多いです。(※)

 

勉強内容と直接関わるわけではないですが、保護者にとっては安心感が得られます。

 

個別指導の塾は規模が小さいので、同じ教師が複数の教科を教えたり、出版社が塾用に販売している教材を使っていたり、模試や説明会を外部に受けに行かなければならなかったりします。なかなか駅まで送ることもできないでしょう。スケールメリットの恩恵にあずかることは難しいのです。

 

では、大手塾がやっている個別(そういうものもあります)に行けば、スケールメリットと個人に合わせた指導との両方の良さが得られるのではないか? 当然の発想ですが、そううまくいくとは限らないところもあります。大手とは言え、個別の教師までそろえるとなると、さすがに費用対効果が得られないので、アルバイトに教えさせることが多いからです

 

 

(※)全ての大手塾に同じサービスがそろっているわけではなく、塾によって違いはあります。大手の中でも、教師が二科目教えていたり、教材や模試の中身だけを外部に発注していたりするところもあります。

2019/1/13

 

保護者が読解を教える時 その13  

 

何も書いていないときは? そのC

 

 

「辞書を引かせる」

 

さて、問いの文に分からない言葉がある場合は、意味を推理させるのでした(1/12)。その推理が大体当たっている場合、次のステップ(後述)に進みます。

 

しかし、推理が外れている場合や推理しにくい場合(例えばカタカナ語)もありますから、そのときに初めて辞書を引くように指示します。口頭で教えた方がその場は早く済みますが、長い目で見れば辞書を引く習慣を付けた方がいいです。分からないときに自分で解決する経験をさせることによって自律性(Erikson,1950)の発達を助けます。また、何も考えずに引かせるのでなく、少しでも前後関係から意味を推理させてから引かせるようにした方がいいですね。何通りも意味が書かれていることがあるので、その中から一つを選ぶ時に「推理」が活きます。必ず例文も見るように指示して下さい。例文で初めて意味が分かる場合もあるからです。

 

こうして言葉の意味が全てわかったら、もう一度問いを読ませて、意味がわかっているかどうかを確認します。

 

 2019/1/12

 

保護者が読解を教える時 その13  

 

何も書いていないときは? そのB

 

「わからない言葉を推理させる」

 

解答らんが空白の時は、問いの意味を確認するのでした(1/8)。子どもにとって意味のわからない言葉があった時、(ここが大切です)すぐに教えてはいけません。いつまでたっても教えてもらおうとして、自律性(Erikson,1950)の発達を阻害する可能性があるからです。

 

まずはその言葉の意味を推理する方法を教えます。一つは使われている漢字の意味から類推できることを教えます。漢字は表意文字ですから、その特徴を利用しない手はありません。「話題」という言葉がわからなくても「話」と「題」という漢字からおおよその意味が推理できます(後で正確な意味も教えてあげて下さい)。子どもはこの方法が好きです。

 

もう一つは、前後関係から意味を類推できることを教えます。これは少し難しめです。「示している」の意味がわからなくても、「それが示していることばを答えなさい」という前後関係から、類推できます。

 

このようにして、まずは言葉を推理させることです。言葉の意味を推理することは、文章を読んだり問題を解いたりするとき、つまり「読解」をするときにも行う基本技能なのでとても重要です。さらに、英語や古文の読解をするときにも役に立ちます。

2019/1/11

 

記述問題の教え方 その1

 

「解答に『水増し』がないかをチェックする」

 

 

ある問い: 初江はどのようなことを不安に思っているのですか。50字以内で答えなさい。

 

 

 

ある生徒の答え:初江が、ゆり子さんと、学校から帰るときに、いっしょにかえらなければならないかどうかということ。47字

 

 

 

こんな答えを書くケースが多いですね。何がいけないかというと、不要なところが多すぎます。

 

 

 

「初江」は、問いに書かれているので不要。「帰る」と「かえら」が重複しています。しかも片方はひらがなです。「なければならないかどうかということ」も、いかにも長ったらしい。読点(、)も多すぎます。

 

 

 

この内容であれば、「ゆり子さんと(学校から)帰ること。」で十分です(15字。「学校から」がなくても通じる場合もあるので、その場合は11字)。

 

 

 

なぜこういう答えになるかというと、一つには読み落としている内容があるからです。もう一つは、8割以上(※)書かなければならないと思い込むからです。結局内容を「水増し」することになります。非常に多いケースです。

 

 

 

こういう解答を見たときは、重複部分を指摘して、もう一度文章を読むように指示してあげるといいです。

 

 

 

元の文章は長くなるので割愛しますが、「答案の取り違えというトラブルがあった」「(そのせいで)気まずくなるかもしれない」という内容をが読み落とされており、解答例としては、「答案の取り違えがあったので、ゆり子さんといっしょに帰ると気まずい気持ちになりそうなこと。」(44字)などが考えられます。(洛星中過去問より一部改訂)

 

 

 

 

 

(※)「8割以上」については、2018/10/31参照。 

 

2019/1/10

 

一斉授業の塾か、個別指導の塾か その1

 

「競争意識がうまく回るのなら、一斉授業」

 

一斉授業の利点の一つは、競争意識が持てることです。競争意識がうまく働けば、成績が上がります。西村、古村、鈴木(2018)は、競争意識と成績に相関関係が見られる場合があることを示しています。ただし、彼らも指摘している通り、競争意識が「他の生徒より良い成績を収めようとする『遂行接近目標』につながるときには成績が上がりますが、自分が有能でないことが明るみになる事態を避けようとする『遂行回避目標』につながるときには、成績が低下します。

 

 

これは、Murayama & Eliot(2012)も指摘している(2018/06/14のつぶやき:「メニュー]→「勉強法-今日のつぶやき-back number1」)ことで、従って、塾に通わせて安心するのでなく、保護者が子どもの目標・モチベーションを見極めたりうまく導いたりする必要があります。

2019/1/09

 

どうしたら本を読むようになりますか その2(※)

 

「読み聞かせで、同様の効果」

 

読むのでも聞くのでも、認知心理学的には同じ処理が行われていることが指摘されています(高井,1989;Cole,1996,2002など)。

 

従って、子どもが読もうとしない場合は読み聞かせをすることによって同じ効果(読解力向上など)が期待できます。

 

自分で読むのが面倒くさく感じる子どもでも、保護者が読むのであれば少しとっつきやすいでしょう。

 

できるだけ面白いもの、ストーリー性のあるものを選んであげましょう。お話しや語り口に引きつけられることによって、そのうち自分で読み始めることも期待できます。

 

また、子どもによって好みが違うので、よくある推薦図書でなくてもかまいません。子どもの好むものを選んでいいと思います。

 

もちろん、言語による思考の訓練を行っているのですから、マンガはこの場合適切ではありません。 

(※)その1は、2018/11/05参照 

2019/1/08

 

保護者が読解を教える時 その12  

 

何も書いていないときは? そのA

 

「問いの意味を理解しているかを確かめる」

 

2019/01/07に述べたように時間を扱った上で、いよいよ教える段階です。

 

まず、問題が空欄であった時。どうして空欄になったのかを聞きます。「ここは、書いてないね。どうして書かなかったのかな?」など、生徒の年齢や性格に合わせて下さい。責める口調にならないように注意します。

 

「わかならかった」という返答が予想されますが、「では、問いをもう一度読んでみようか」と言います。問いの意味がわかっていないことがとても多いからです。特に小学生の場合、問いを理解しているかが重要(坂本,1997 ;多鹿・石田,1989)で、「問いを理解できていればもうその問題はできている」とよく言われます。(※)

                                                                                     

まずは、問いの中に使われていることばの意味がわかっているかを確認しましょう。低学年であれば、問いの中に使われている言葉が難しい場合があります。高学年でも、答え方を指示する「文中の言葉を使って」、「具体的に」、「内容」などという意味がわかっていない場合があります。また、学年を問わず、問いに引用されている本文の中に難しい言葉が含まれている場合もあります。

 

問いの中に、子どもにとって難しい言葉がないかを見つけてやることがとても大切なことです。

 

(※)これは、算数においても重要です。 

2019/1/07

 

保護者が読解を教える時 その11

 

時間を計った方がよいか?

 

「Yes and No」

 

短い時間で量の多いテストが毎週ある学習塾もあります。しかもそれがクラス分けに反映されることが多いようです。それならば家庭でも時間を計って問題を解かせるべきだということになります。

 

しかし、ここに落とし穴があります。時間内に解くことを優先しすぎると、読む行為がおろそかになり、読解力養成のさまたげになりかねないので、細心の注意を払うべきです。

 

実際そのような生徒がたくさんいます。例えば、傍線の近くから答えをさがすことだけを考えたりしがちな生徒は、文章全体を読まなければならない問題を解く力が付きにくくなります。

 

また、先に挙げたいくつかの学習塾では、授業などで既に読んだ文章がテストとして出題されます。同じ問題が出るかどうかの程度は塾によって違いますが(※)、いずれにせよ既読の文章で問題を解くのと、初見の入試問題を解くのとでは違います。目的を誤らないようにしたいものです。

 

では、どうすればいいでしょうか?

 

家庭学習で塾のテキストを解くのにかかる時間は、大体15分~20分です。その時間になったら知らせるだけにして、できていなくても続けるようにするのがいいと思います。時間を意識してもらうようにしながらも、じっくり考える練習もしていくということです。

 

読解力さえあれば、時間内で解く事は後でできるようになります。6年生の秋ごろから入試問題演習が始まるので、それから時間内で解く練習をすれば十分です。順番を間違えないように、慎重に子どもに接してあげて下さい。

 

 

(※)問題が少し変えてあったり、全く違う問題であったりと、塾によって違います。 

2019/1/06

 

中学受験や模試のために、習ったことをいつ復習すればいいか?

 

「一ヶ月以内に」

 

国語もそうですが、それ以上に次々に新しいことを習う算数・理科・社会では、一体いつ復習すればよいのかという疑問が生まれます。

 

潜在記憶の保存期間が一ヶ月と考えられている(池谷,2011)ので、少なくともこの期間内に復習しないと、習ったことは忘れてしまっていると考えていいでしょう。一ヶ月以内を目安にして復習計画を立てましょう。

 

計画の立て方としては、習ってからテストまでの期間を6等分して、覚えるまで(理解するまで)復習するのがベストです。

 

例えば、習ってから試験が60日後にあるとしたら、10日後に一回目、20日後に二回目と続け、覚えた(理解した)時点で、それ以上する必要はありません(竹内,2014)。

2019/1/05

 

どのような教え方が良い教え方か? 

 

「教える必要がないように導く『教え方』」

 

一つの問題を解いて、間違ったら、「何故間違ったか」と「次に間違わないためにはどうすればよいか」の二つが分かれば、教師がいなくても自分で勉強を進めることができます。

 

これは、「問題の解法を覚える」こととは、全く別のことです。もし、問題の解法を覚えるのが勉強だとしたら、無数の解法を覚えなければならないので、きりがありません。また、もし「解法を教えてもらう」のが勉強だとしたら、いつまでたっても教師から離れることはできません。

 

「何故間違ったか」を自己でふりかえり、「次に間違わないためにはどうすればよいか」を考えられるようになることが「勉強」です。

 

このことを、Erikson(1980)は、ライフサイクル理論の中で、狭義の「勉強」だけでなく、人間として問題を解決しながら生きていくために必要な能力として、「自律性(Autonomy)」と呼んでいます。

 

初めは指導者の役割も重要ですが、指導者や保護者の最終目的は生徒が勉強において「自律性」を持ち、ひいては生きていくために必要な力を持つことです。

 

では、どうして導けばよいか。以後、昨年から触れている「転移」の考え方に基づき、国語の勉強法として述べていきたいと思います。

2019/1/04

 

「故に之を進め、故に之を退く。」

 

明けましておめでとうございます。

 

孔子が、二人の弟子から、別々の時に、同じ内容の質問をされました。ところが、孔子は、二人の弟子に違う内容の答えを与えました。

 

不思議に思った人が、同じ内容の質問なのに、どうして言うことが違うのですかと問うと、「一人の弟子は引っ込み思案だから、行動を促した(故に之を進め)。もう一人の弟子は出しゃばりだから、慎重に行動しなさいと抑え気味に言った(故に之を退く)。」と答えました(『史記』)。

 

二千年以上前に言われたことですが、個別指導のポイントでもあります。このような「その生徒に合わせて教え方を変える」手法を、同時に「最新の科学的知見に基づいて」実施していきます。

 

今年もよろしくお願いいたします。

2018/12/29 

 

学習の転移(2018/12/23参照)その2 

 

もっと算数の問題が出来るようになる方法 その3 

 

「教訓帰納」

 

2018/12/28のその2の「2つの例題とその解き方を比べる方法」の代表的なものは、「てんびん」と言われるものです。理科のてんびんのつりあい問題と算数の食塩水の問題の解き方が同じことに注目して、「てんびん」といわれる解法が見つけられ、理科のてこや滑車、算数の食塩水の問題、平均算、速さの問題を同じ方法で解くができます。これはすでに多くの学習塾で取り入れられています。

 

さて、その1とその2の方法もいいですが、抽象化するのが難しいという問題が残されています。また、国語には適用しにくいという問題もあります。その場合、「教訓帰納」という方法をおすすめします。

 

 この良いところは、保護者ができるだけでなく、最終的には一人でできるようになり、自律的な勉強につながることです。

 

教訓帰納については、2018/11/24に概略を述べていますのでご参照下さい。来年度にはもう少し詳しく述べる予定にしています(12/30~1/3はつぶやきを休みます)。では、よいお年をお迎え下さい。

2018/12/28 

 

学習の転移(2018/12/23参照)その2 

 

もっと算数の問題が出来るようになる方法 その2 

 

「二つの例題を比べる」

 

Ross & Kennedy(1990)は、2つの例題とその解き方を比べることによって、解き方が抽象化されて、問題のつくりが頭に入る(転移が起こる)ことを示しました。そうすることによって、同じつくり、構造の問題が広い範囲で解けるようになります。これについては、2018/09/21でも少し触れています。解きながら2つの解き方の共通点を考えることがポイントです。

2018/12/27

 

学習の転移(2018/12/23参照)その2 もっと算数の問題が出来るようになる方法 その1 

 

「問題文を抽象化する」

 

 

とりあえず算数の問題が出来るようになる方法 その1と2の工夫を取り入れて学習すれば、最難関と言われる灘中のような学校を除いて、算数で及第点が取れるようになると思います。

 

 

 

では、最難関と言われる学校の問題を解くにはどうすればよいか? 考えられる工夫をあげてみます。

 

 

 

鈴木,栗山(1996)は、」仕事算(下の例参照)」の問題に「(仕事を)達成する」という表現を入れて教えると、他の問題も解けるようになる(転移が起こる)ことを実験で示しました。例えば、よく出題される「水槽に水を入れる問題」も「達成する問題」であると理解して解けるようになります。

 

 

 

このように例題の文を「抽象化」することによって、一見別の問題に見える問題が同様の問題であることがわかるというのです。

 

 

 

確かに、例えば、「追いつく問題」と抽象化すれば、「旅人算」「時計算」「流水算」などは同じ問題であることがわかります。これは一つの方法です。

 

 

 

仕事算の例:あきら君が一人でやると20日で終わり、かずき君が一人でやると30日で終わる仕事があります。この仕事をあきら君とかずき君の二人でやると何日で終わるでしょうか?

2018/12/26

 

学習の転移(2018/12/23参照)その1 

 

とりあえず算数の問題が出来るようになる方法 その2 

 

「問題文を親しみある表現に書き換える」

 

とりあえず算数の問題ができるようになる方法その1で示した方法(2018/12/24参照)にも欠点があり、それは「最も単純な問題」と「最も複雑な問題」を選ぶのは、生徒自身にも保護者にもが手間がかかったり難しかったりするので、結局は「たくさん(全て)の問題を解く」ということになってしまいがちだということです。

 

もう一つ考えられる方法としては、「問題文を、日常的な親しみのある文に変える」という方法です。

 

鈴木(1995)は、仕事算(算数の代表的な問題)の問題を「棒あめを2人が両端から食べる」ことにたとえて説明すると、仕事算ができるようになる(転移が起こる)ことを実験で示しています。

 

これは筆者にも経験のあることで、算数が苦手な子に、「問題文を、自分にわかるように書きかえてから解いてごらん」と指示すると(一回目は筆者がアドバイスしながらやった)、解けるようになりました。その後も自分で書き換えると解けるようになっています。

 

この方法であれば、保護者も手伝いやすいと思います。試してみてはいかがでしょうか?

2018/12/25

 

保護者が読解を教える時 その10 

 

「わからないものを無理に教えない」

 

なぜその答えになるのかが保護者にも分からないときがあります。そういうときは、無理に解答にこじつけるよりは、子どもといっしょに考えてみて、二人がわかる範囲まで教える方がいいです。後は先生に聞けばいいのです。よくわからないことを無理に教えると、子どももわからなくなってしまいます。

 

話は飛びますが、教師の力量を試す子どもがいます。テキスト以外の教材から、模範解答を知っている記述問題を持ってきて質問したりします。教師の出した解答が模範解答と大幅に違っていたり、説明があいまいだったりすると、信頼関係は得られず、教える上での効果も上がりません。しかし、模範解答と全く同じでなくても、理路をわかりやすく説明すれば子どもは納得し、信頼関係が得られます。信頼関係が得られれば成績も上がります。重要なのは信頼関係です。

 

保護者の信頼関係はまた別です。子どもがすでに信頼しているのはもちろんですが、専門の教師でないことも子どもは分かっています。だから、分かる範囲まで一緒に考えてあげて、あとは先生に聞きましょうという方が、むしろ「師弟」としての信頼関係も深まるでしょう。

2018/12/24

 

学習の転移(2018/12/23参照)その1 

 

とりあえず算数の問題ができるようになる方法 その1 

 

「一番単純な問題と一番複雑な問題を解く」

 

Reed & Bolstad(1991)は、「仕事算」(どのテキストにも載っています)の最も単純な問題と、最も複雑な問題(※1)を学習した後では、すべての仕事算ができるようになる(転移が起こる)ことを実験で示しました。

 

これは、どの仕事算にも、上記2種類のどれかの式が含まれているので、その式を利用すればよいからです。※2

 

参考書や学習塾のテキストには例題から発展問題まで載っているので、原則的にこの考え方が利用できます。※3

 

※1 ゼロから2人が同時に仕事を始めるのが「最も単純な問題」で、仕事の一部が完成しているところから、1人が仕事を始め、もう1人が遅れて仕事を始めるのが「最も複雑な問題」です。

 

※2 例えば、「仕事の一部が完成しているところから、2人が同時に仕事を始める」問題なら、仕事の一部が完成しているところについては、最も複雑な問題の解き方を使い、2人が同時に仕事を始めるところは、最も単純な問題の解き方を使えば良いということです。

 

※3 テキストの作成者が、Reed & Bolstad(1991)のような分析をしているかどうかは別問題です(入試問題を切り貼りしているだけのテキストもあります)。この問題については、後に述べるつもりです。

2018/12/23

 

なぜたくさん問題を解いても力が付かないのか。

 

「学習の転移がないから」

 

どの科目にも言えることですが、たくさん問題を解いても「学習の転移(例題で学習したことを他の新奇な問題に適用して解く能力)」が起こっていないからです。入試を受けるとして、もし学習の転移が起こらないのであれば、出題される可能性のある問題をすべて解いて覚えるしかありませんが、これはそもそも不可能です。

 

学習の転移は、起こることはわかっているけれども、起こすのが非常に難しいこともわかっています。

 

算数を例にとれば、例題と「同型問題(例題と同じ式で出来る問題)」でも学習の転移は起こりにくく、「類似問題(例題の式に一つ式が加わった問題)」だと、非常に起こりにくいことが知られています(寺尾,楠見,1998)。 

国語であれば学習の転移はさらに起こりにくいでしょう。式がないので数字を例にとって考えることができないからです。たくさん問題を解いても力がつかないと言われるゆえんです。

 

では、どうすれば学習の転移が起こりやすいのか? いくつかの方法について今後「つぶやい」ていきたいと思います。

2018/12/22

 

記述問題の解き方 その2 

 

「下書きをする」

 

小学校高学年向けです。

 

ほとんどの生徒がいきなり解答らんに書きこみます。時間が惜しいからです。

 

しかし、50字を越える問題を制限字数に合わせて書くのは大人でも難しいことです。中には「100字以上120字以内で」という指定さえあります。こうなると下書きなしでは無理です。

 

いきなり解答らんに書いてしまうと、消して書き直す時間を無駄にしたり、解答らんを汚して字を読めなくしたり、たくさん消す時間を惜しんで無理に文をつないで減点されたり、誤字脱字に気づかないままだったりします。

 

下書きをすることによって、そういうリスクが減らせます。個人差はありますが、問題が50字を越え、100字に近づくにつれて、下書きを取り入れるべきです。

 

計ってみるとわかりますが、慣れないうちは余分にかかる時間は1分です。なれれば縮小できます。

 

また、下書きの習慣をつけることによって、徐々にいきなり清書できる字数が増えていき、結果的に問題を解く時間が短縮されます。

 

少なくとも練習では下書きをするべきですね。

 

下書きの字数を数えるのにも以下のようにすれば時間がかかりません。

 

1 余白に、5センチほどの横線を素早く9本引く。きれいに引く必要はなく、3秒ほどしかかかりません。

2 最初の線の上から、最後の線の下まで1字ずつ書く。これで10字です。

3 下まで行ったら線の上に戻り、最初の字の左から同様に一字ずつ書いていく。

 

こうすれば見ただけで字数がわかり、数える必要はありません。

2018/12/21

 

「転移」 

 

「一粒で二度(以上)美味しい?!」

 

例えば、「庭」という漢字を覚えなさいと言うと、覚えてもそれだけです。

 

元々は建物の中にある空間(にわ)のことで、「まだれ」は建物を表す(象形)文字だよ。だから、「店」も建物だよね。というと、「庫」などの字を見た時に建物であるとわかります。このように、学習したことを別の学習に役立てられることを「転移」といいます。

 

 

上の例で言えば、まだれのようなものを「部首」と言って、漢字の意味を表す部分だよと教えると、漢字のとらえ方全体に「転移」が広がります。ここまでは「科目内転移」です。さらに、部首は(辞典などで)調べることができることを示し、「調べる」ことの有効性を認識すると、他の科目でも調べることができるようになります(教科横断的な転移,植阪,2008)。

 

 

「転移」の多い教え方がよい教え方です。

2018/12/19

 

作文の書き方 その2 

 

「主語を最初に、述語を最後に書く」

 

A サリーは どこに ビー玉が あると 思っているかな。

B サリーは ビー玉が どこに あると 思っているかな。

C どこに ビー玉が あると サリーは 思っているかな。

D どこに サリーは ビー玉が あると 思っているかな。

E サリーが ビー玉が あると 思っているのは どこかな。

 

AからEに行くにしたがって理解が難しくなることがわかっています(AとBは同程度)(鈴木,2018)。

 

従って、採点者(の無意識)を考慮に入れて、主語を最初に、述語を最後に書くようにします。

 

当たり前のようですが、作文の苦手な人は案外できていません。Eの文を書いていたりします。つい、話し言葉と同じにしてしまうのですね。話し言葉と書き言葉を区別する意識を持つことも大切です。

 

以上のことは、記述式問題を解く時でも同じです。※ただし、同じ主語が二回続くときは、主語を省きます。

 

また、主語と述語を意識することには、副産物として読解問題が解きやすくなるという効力があります。

主語と述語に目を付けていく解き方もあるぐらいです。いずれ紹介したいと思います。

 

※一部の記述問題では、主語を書かなくていい場合があります。問いの中に前提として主語が書かれているときなどです。